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2013年6月12日

組織深部の高速な生体反応を捉える

多光子励起(たこうしれいき)レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」を発売

多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」

多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」

オリンパス株式会社(社長:笹 宏行)は、ライフサイエンス・産業事業の新製品として、多光子励起レーザー走査型顕微鏡※1「FLUOVIEW(フロービュー) FVMPE-RS」を、2013年7月1日から日本をはじめ世界で順次発売します。

当社は、生命科学の最先端研究に使用される生物用共焦点レーザー走査型顕微鏡※1と多光子励起レーザー走査型顕微鏡※2を、「FLUOVIEW」シリーズとして展開しています。同シリーズは、レーザー光を試料に照射し走査(スキャン)しながら、試料から発する微弱な光(蛍光)を検出することで、コントラストの高い立体画像を得られるのが特長です。

今回発売する「FLUOVIEW FVMPE-RS」は、同シリーズにおける新たなラインアップです。高速スキャナの開発により動きの早い生体反応の観察が可能なことに加え、光の散乱が大きい標本でも、組織の表面から最大8mm※3の深さまで明るく観察できる「ディープフォーカスモード」を搭載しています。これらにより、いまだ明らかになっていない脳神経のメカニズムの解明など、最先端研究への貢献が期待できます。

なお、当社は本製品を6月20日(木)~23日(日)まで、国立京都国際会館で開催される「第36回日本神経科学大会」、「第56回日本神経化学会大会」と「第23回日本神経回路学会大会」の合同大会「Neuro2013」に出展します。

※1 焦点以外の蛍光をカットし3次元撮像が可能な顕微鏡。レーザー光源を用い、試料・標本を走査しながら画像を得る
※2 焦点のみから蛍光を発する特性により3次元撮像が可能な顕微鏡。IRパルスレーザー光源を用い、試料・標本を走査しながら画像を得る
※3 多光子専用対物レンズ「XLSLPLN25XSVMP2 W.D.8mm」と標本透明化液「SCALEVIEW-A2」を使用した場合

発売の概要

商品名 発売日
多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」 2013年7月1日

主な特長

  1. 高速スキャナの開発により、動きの速い生体反応も観察可能
  2. 光の散乱が大きい標本でも、組織深部の高画質観察が可能
  3. 2つの色素を同時に観察できる、2波長の多光子イメージングを実現

市場導入の背景

生命科学の研究分野では、生きた細胞を用いてタンパク質や神経などの役割・機能を解明し、創薬や新しい領域への応用を目指す研究が盛んに行われています。これらの分野で利用される、生物用共焦点レーザー走査型顕微鏡と多光子励起レーザー走査型顕微鏡は、蛍光観察を行える機器として、また、一般的な顕微鏡では難しい深さ方向の情報を取得し細胞を細部まで立体的に観察できるという特長から、多くの研究機関で活躍しています。

特に脳神経分野において、脳神経のメカニズム解明や、未解明の病気の治療法・治療薬の研究・開発のため、組織表面からより深い内部の生体反応を観察できる性能が求められています。

こうした研究者のニーズに応えるため、当社は長年培ってきた光学技術とデジタル技術により実現した「FLUOVIEW FVMPE-RS」を新たに市場に導入します。

主な特長の詳細

1. 高速スキャナの開発により、動きの速い生体反応も観察可能
新開発の高速スキャナにより、毎秒438枚の速さで標本をスキャンすることが可能です。これにより、組織内の血液の流れや、膜電気感受性色素を用いた脳神経の動きなど、高速な動きを逃さず観察することができます。

2. 光の散乱が大きい標本でも、組織深部の高画質観察が可能
標本におけるレーザーの散乱光の状態に応じて、レーザービーム径を調整することができる「ディープフォーカスモード」を搭載しました。これにより、拡散が大きい生体標本でも深部のレーザーの集光性を確保し、明るい深部画像を取得することが可能です。

3. 2つの色素を同時に観察できる、2波長の多光子イメージングを実現
2本のIR レーザーラインを装備したことにより、励起波長が異なる2つの色素を同時に観察する多光子イメージングを実現しました。さらに、レーザーラインごとにレーザービームの位置ズレや入射角を補正する自動調整機構も搭載しています。

ライフサイエンス・産業事業とは

「医療」および「映像」と並ぶ、オリンパスの3大コア事業のひとつで、主な製品は光学顕微鏡と非破壊検査機器です。ライフサイエンス事業では生物用光学顕微鏡を核とした製品により、生物・医学の「研究」および「病理」「教育」分野において広く社会に貢献しています。

FVMPE-RSの主な仕様

レーザー光源 メインレーザーライン:
ネガティブチャープ搭載
多光子パルスレーザー
モードロックチタンサファイアレーザ本体、電源ユニット、水冷循環式チラー
・MaiTai HP DS-OL/eHP DS-OL/InSight DS-OL
・Chameleon Vision I/II/S Olympus
第2レーザーライン:
光刺激用またはイメージング
レーザーライン用
・MaiTai HP DS-OL/eHP DS-OL
・Chameleon Vision I/II/S Olympus
・InSight DS Dual-OL:1040nm固定波長(Dual Lines Systemのみ)
光刺激用可視光レーザー(オプション) 固体レーザー 405nm、458nm、588nm
スキャンユニット 走査方式 銀コートガルバノメータスキャナミラー2基、または銀コート共振スキャナーセットによる光偏向方式
同時光刺激スキャナ(オプション) ガルバノメータスキャナの同時刺激スキャナ、IRと可視光レーザーポート
多光子用検出器 落射光路 フォトマルチプライヤ2CH、追加フォトマルチプライヤ2CHまたは冷却GaAsP型フォトマルチプライヤ2CH
透過光路 高NA集光用コンデンサ付フォトマルチプライヤ2CH
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