倒立型金属顕微鏡

現在の倒立型の金属顕微鏡のスタイルは、昭和29年(1954年)発売のPMFにルーツを見ることができます。金属顕微鏡としては、戦前にPMC、PMD、PMEという製品がありました。しかし、これらの顕微鏡は、横型で、写真撮影の感光材に大判乾板を使うため、決して使いやすいものとは言えませんでした。
PMFには、次のような特長がありました。

  • 試料(金属研磨面)をステージに載せるだけで水平出しができるため、観察しやすい。
  • 倒立型で写真装置が低位置にあるため、カメラの震動が少ない。
  • すべての操作ハンドルが使いやすい位置に配置され、楽な体勢で操作できる。
  • 位相板や偏光板を使って、位相差検鏡、偏光検鏡が簡単にできる。
  • 光源を内蔵し、コンパクトで使いやすい。

この後、あらゆる金属材料表面の観察、組成研究用に、さらにセラミックスやプラスチックなど新素材の研究用に、倒立型金属顕微鏡は、PMFの特長を継承しながら進化します。
昭和31年(1956年)には、普及型倒立顕微鏡MEが登場。昭和39年(1964年)には、写真撮影用の露出計を内蔵した名機PMGが、昭和42年(1967年)にはPMEが誕生します。