オプトデジタルマイクロスコープDSXシリーズスマートフォン感覚の直感操作 - 前編 -

電子部品や金属部品などの開発・生産現場に欠かせない工業用顕微鏡。オリンパスが2012年初に発表した「オプトデジタルマイクロスコープ DSXシリーズ」(DSX500、DSX500i、DSX100の全3機種)は、観察性能の高さはもとより、デジタルカメラやスマートフォンと同様のタッチパネルを採用、直感的な操作などによる「使いやすさ」に徹底してこだわりました。観察データや観察スキルを組織内で共有するための機能も豊富に搭載しています。今回は工業用顕微鏡に長く携わる西山泰央と小林祐紀の2人がDSXシリーズの技術をご紹介します。

ここに掲載されている内容は2012年3月31日時点の情報です。

西山 泰央

オリンパス株式会社 開発本部 プロダクトマネージャー

工業用顕微鏡分野の電気系開発者、プロダクトリーダーとして製品開発に長く関わった後、マーケティング部で幅広く商品企画に携わる。現在はDSXシリーズを含む工業顕微鏡分野全般の開発プロダクトマネージャーを務める。DSXシリーズの企画にはゼロから取り組み、思い入れは強い。

小林 祐紀

オリンパス株式会社 産業システム事業本部 課長代理

工業用顕微鏡の国内営業として、顕微鏡の技術的な奥深さを知ると同時に、それを伝えていく難しさを知った。マーケティング部に異動して作り上げたDSXシリーズは「顕微鏡側がユーザーにかなり歩み寄ることができた製品。顕微鏡の本来の魅力をより多くの人に知っていただきたい」。

観察者が使いこなせる操作性を求めて

顕微鏡は、観察技術を駆使して観察対象にアプローチしていく機器です。観察対象を視野に入れて望ましい状態で見るために倍率を変更したり、通常に光を当てただけでは見えないものを観察するために偏光(特定の方向にのみ振動する光で、鉱物や結晶の観察などに用いられる)で見るなど、さまざまな観察方法を駆使して観察対象の微細な構造に向き合います。そのアプローチの良し悪しによって、微細構造をどれだけ鮮やかに観察できるかが決まります。

一般的に、顕微鏡観察には、観察対象に関する一定の知識があり、顕微鏡の扱いに習熟したオペレーターの存在が不可欠です。しかし、操作の自動化と使いやすいUI(ユーザーインターフェース)によって誰もが使いこなせる顕微鏡があれば、オペレーターに依存することなく、より多くのユーザーが顕微鏡を活用できるようになります。あるいはオペレーターの負荷が大幅に軽減されます。

デジタルカメラの画像処理技術を取り込む

DSXシリーズは、光学的に観察するという顕微鏡の本質的なポテンシャルの高さをそのままに、誰もが使いこなせる操作性の良さを兼ね備えた製品として開発しました。その実現には、デジタルカメラでもお馴染みの技術が貢献しています。

例えば、DSXシリーズでは、顕微鏡のレンズを通して見える画像を高解像にディスプレイ上に表示します。解像度の高さを損なうことなく操作を自動化するためには、レンズを通して入力される画像情報を高精度なデジタル画像に変換する「画像処理技術」が不可欠でした。観察対象に自動的にフォーカスを合わせる技術や、観察に適した明るさに画像を自動調整する技術なども同様です。

顕微鏡操作の敷居を低くした「ビギナーモード」

DSXシリーズでは、ユーザーの習熟度に合わせて操作モードを選択できるようにしました。まず、顕微鏡やDSXシリーズを初めて操作するユーザー向けに、画面上の手順に従うだけで最適なアウトプットにたどり着くことができる「ビギナーモード」を用意しました。開発や製造現場で、顕微鏡のオペレーターを介さずに、素材や加工技術の専門家が直接サンプルを観察するケースが増えていくと期待しています。

顕微鏡の基本知識を有する方には、作業の流れに沿ったボタン類の配置により、スムーズな操作を可能にする「標準モード」が最適です。さらに、標準モードをカスタマイズした「オペレーターモード」は、繰り返し同じ観察をする場合などに適しています。


ビギナーモード


標準モード

信頼性維持の機能も自動化


設定によるバラツキのない「オートキャリブレーション」

電子部品など、サイズが厳格な生産現場での使用に不可欠なのが、キャリブレーションという作業です。これはサイズが保証されている基準サンプルを測定して、結果が正しくなるように顕微鏡を調整する作業ですが、今までは手順が難しく、作業者によって精度にばらつきが発生することもありました。

DSXシリーズでは、基準サンプルをセットして「オートキャリブレーション」の機能を実行するだけで、自動操作により、ばらつきのない調整が可能です。信頼性のある解析・測定結果を、手軽に得ることができます。

スマホ感覚で、直感的な拡大操作が可能

操作性の良さに関する欠かせない条件の1つが、「直感的に操作できる」ことです。従来の顕微鏡では、「もう少し高い倍率で観察したいときには、○倍のレンズに換える」など、自らが望む結果と、それに必要な操作については、経験知としてオペレーターの頭の中で関連づけられていました。


スマホ感覚で、直感的な拡大操作が可能

DSXシリーズでは、スマートフォンで指を開く操作で見たい箇所を拡大するのと同じ要領で、直感的に拡大操作を行えます。

シームレスな観察を実現


シームレスな倍率変換を実現

顕微鏡で拡大倍率を変更するためには、複数のレンズをその都度交換する操作が必要でした。低い倍率で観察位置を絞り込み、レンズを換えて倍率を上げ観察する。広い視野で観察位置を見直したい場合には再度低い倍率のレンズに切り替える…。この操作の繰り返しでした。

DSXシリーズのDSX500では13倍の光学ズームレンズを内蔵しており、1本のレンズで観察位置の絞り込みから細部の観察まで、シームレスに(断絶なく)倍率を変更して観察できます。デジタルズーム機能と併用すれば、30倍までの倍率変更が可能です。「より広い視野で見る」「観察位置を拡大して見る」といった操作は、顕微鏡観察では最も基本的で頻度の多い操作です。これを、幅のある倍率範囲で、直感的に行うことができます。

観察の見落としを防ぐ「マクロマップ機能」


観察場所をつねに表示する「マクロマップ」

規則的に構造物が並ぶ微細加工部品を観察するような場合、倍率を変えながら見ていくと、観察中にサンプルのどの部分を見ているのかが分からなくなることがあります。これは、検査目的の観察では、異常のある箇所を見落とすリスクにつながりかねません。

DSXシリーズでは、低倍率での広い視野の観察結果を傍らに表示したまま、拡大したい箇所をズームアップして観察できます。これが、広い視野の中でどこを拡大しているかを確認できる「マクロマップ機能」です。ストレスなく、観察対象全体を高倍率で観察できます。