オプトデジタルマイクロスコープDSXシリーズスマートフォン感覚の直感操作 - 後編 -

オリンパスの光学技術とデジタル技術を融合させた「オプトデジタルマイクロスコープ DSXシリーズ」は使いやすいだけではありません。これまで「見えなかった」ものの数々を簡単な操作で見えるようにしました。それは単に観察対象の画像だけでなく、習熟度によって左右されていた観察スキルなど、「ノウハウの可視化」にも及びます。

ここに掲載されている内容は2012年3月31日時点の情報です。

西山 泰央

オリンパス株式会社 開発本部 プロダクトマネージャー

工業用顕微鏡分野の電気系開発者、プロダクトリーダーとして製品開発に長く関わった後、マーケティング部で幅広く商品企画に携わる。現在はDSXシリーズを含む工業顕微鏡分野全般の開発プロダクトマネージャーを務める。DSXシリーズの企画にはゼロから取り組み、思い入れは強い。

小林 祐紀

オリンパス株式会社 産業システム事業本部 課長代理

工業用顕微鏡の国内営業として、顕微鏡の技術的な奥深さを知ると同時に、それを伝えていく難しさを知った。マーケティング部に異動して作り上げたDSXシリーズは「顕微鏡側がユーザーにかなり歩み寄ることができた製品。顕微鏡の本来の魅力をより多くの人に知っていただきたい」。

解析、測定の確実な再現で、観察の効率性アップ

微細加工部品の観察は、いくつかの解析や測定のパターンを使って、「異常がないことを確認する」作業です。例えば、異常発見後に対策を施した部品を観察する場合は、障害原因を特定したときと同じ設定で観察する必要があります。再観察までに顕微鏡が他の用途に使われていれば、改めて設定を元に戻さなければなりません。

DSXシリーズには観察状態を記憶する機能を備えています。過去に観察したときの設定をワンタッチで復元できます。解析・測定の再現性が確実かつ容易になるため、観察作業の効率が飛躍的に高まります。

また、異常原因が特定できていない段階で観察をする場合、複数の条件で観察をしてから、ターゲットを絞り込むことがあります。このようなときも、DSXシリーズでは観察条件に名前を付けて設定を保存できるため、過去の観察方法を容易に見つけ出して再現できます。より早く絞り込みの作業に入れるわけです。

レポート機能で観察手法・結果を共有

DSXシリーズには、観察結果に観察条件(観察時の設定)を付加したレポートを作成する機能があります。PCでよく使うオフィスツールソフトウエアの形式によるデータ作成や、閲覧が容易なPDF形式でのデータ書き出しにも対応しており、企業内で利用可能なレポートを少ない労力で作成するのに貢献します。


「レポート作成」と「レポート出力」

また、この機能を使うと、観察手法と観察結果を関係者間で共有し、解析・測定結果をいち早く研究開発や生産現場にフィードバックできます。担当者間で観察手法を共有し、チーム内での観察スキル向上に生かすこともできます。

複数の観察結果を同時に表示

顕微鏡での観察では、サンプルに対応する最適な観察法の選択に迷うことが少なくありません。微細加工部品の状態を観察する場合には、正常と異常の違いを特定しづらいことも多くあります。

DSXシリーズでは、観察法を変えて撮影した複数の画像を、観察目的に合わせて一覧表示できます。操作パネルをタッチするだけで、すぐに最適な画像が手に入れられるため、各観察法に対する知識は必要ありません。変更操作そのものも簡単であり、時間の制約が伴う開発や製造の現場での使用に適しています。

また、一覧表示をさまざまな観察対象で実施していくと、観察法による見え方の違いが実例を伴って理解できるため、観察法に関する習熟が短期間に深まることも期待できます。

観察方法の違いによる見え方の違い



1:BF 明視野観察。光学顕微鏡における一般的な観察法です。
2:DF 明視野観察。斜めから光を照射し、キズなどを強調。欠陥検出能力に優れた観察法です。
3:DIC 微分干渉観察。凹凸ある被検物に適した観察法です。
4:PO
5:MIX(BF+DF)

目視で捉えにくいものも観察しやすく

光の反射率が異なるものに光を当てて同時に観察すると、目視では暗い部分が黒く潰れる、あるいは明るい部分が白く飛ぶために、微細な表面の凹凸などを見逃してしまうことがあります。

DSXシリーズでは、操作パネルをタッチするだけで、明るさを変えて複数回撮影し、撮影結果を観察しやすい明るさの1枚の画像に合成します。反射率の差が大きい素材の部品などを観察する場合、1つの画像でその状態を詳しく観察できます。また、複数の素材にまたがって発生している現象も詳しく観察できます。


暗視野画像やDIC画像でも、ワンクリックで鮮明な観察を可能にする「HDR」

高解像度のパノラマ画像を簡単に作成

観察結果を見るときに、視野外(その時に見えていなかった)部分をなくすためには、パノラマ撮影が有効です。従来の顕微鏡でも一定の技能があれば、観察位置を移動させながらカメラで撮影を繰り返し、取得した画像を画像編集ソフトで合成することは可能です。


指やマウスなどでの直感操作で、簡単に貼り合わせを実現する「パノラマ撮影」

しかし、DSXシリーズではステージの移動と画像の合成を完全自動で行えるため、より容易に高解像のパノラマ画像を得ることができます。微細加工の安定度を確認する場合などは、全体を高精度で比較検証する必要があります。このようなとき、DSXシリーズのパノラマ撮影によって観察対象の全体を高解像のまま一望できます。

凹凸のあるサンプルをそのまま見る


サンプルをありのままに観察する「3D撮影」

一部分を拡大する機能を備えた顕微鏡は、視野が狭く、フォーカスが合う範囲(被写界深度)も狭いのが特徴です。この傾向は観察倍率が高まるほど顕著になります。

DSXシリーズでは、凹凸、すなわち被写界深度に大きな差があるサンプルを観察する場合に、凹凸のそれぞれの位置にフォーカスを合わせながらフォーカスの合った画像だけを合成して、1つの立体的な画像を作成できます。また、フォーカスを合わせる際に深度情報を合わせて取得することで3D画像を作成し、サンプルを回転させて観察することができます。

これは、微細な積層加工が設計どおりに形成されているかを確認したり、サンプルに付着した不純物を立体的に見て、その物質を特定したり、付着の仕方を確認したりするのに役立ちます。さらにこの機能は、パノラマ画像の撮影と併せて利用できるため、広い範囲で高解像の立体映像を作ることができます。

高度な観察性能や利便性が求められる顕微鏡の操作性はどんどん複雑さを増してきました。DSXシリーズでは光学(オプト)にデジタル技術を融合し、習熟度によらず、研究や測定をするユーザー自身が簡単な操作でより深く観察に集中できることを目指し、タッチパネルを採用するなど直感的な操作性を追求しました。これからも、オリンパスは常識にとらわれず、お客さまの利便性にかなう新しい価値の提案を続けてまいります。