学ぼう!顕微鏡とは?
1. 顕微鏡の基本的な仕組み
顕微鏡は、レンズや照明を工夫することにより、小さなものを、より大きく、よりはっきり見えるようにして、対象物(拡大して見たいもののこと)を観察できる装置です。一般的な顕微鏡は、違った働きをする何枚ものレンズを組み合わせて作られています。そして照明装置は、見たい対象物の性質や、観察の目的に合わせてより良く見えるよう、光の当て方や種類を変えることができます。
一般的な顕微鏡は、主に対物レンズと接眼レンズという2種類のレンズや、対象物をのせるステージという台、そして照明装置などで組み立てられています。ステージの上にのせられた対象物は、まずは対象物のすぐ近くにある対物レンズで拡大されます。そしてさらに接眼レンズで拡大されて、大きく見ることができる仕組みです。
また、対物レンズの中には、より良くはっきりと対象物が見えるように、何枚ものレンズが組み合わされて入っています。
2. 顕微鏡で見えるもの
では、顕微鏡ではどのくらい小さなものが見えるのでしょうか。人間の目で見えるものの大きさは、だいたい0.1mm位まで、と言われており、細い髪の毛の太さ程度です。
オリンパスで作っている「光学顕微鏡」という種類の顕微鏡では、だいたい0.2μm(マイクロメートル)、つまり0.0002mm位の小さなものまで見ることができます。人の目で見ているものを1倍とすると、光学顕微鏡では約1500倍までにして見ることができるのです。
では、実際に顕微鏡では対象物がどのように見えるのか、いくつか紹介します。
顕微鏡は、このような生物の観察にも使われますが、それ以外にもいろいろなところで使われています。
では次に、初期の顕微鏡の歴史を紹介します。
3. 顕微鏡の歴史
最初の「顕微鏡」と呼ばれるものは、1590年にオランダで眼鏡を作って売っていたヤンセン親子が二つのレンズを組み合わせて作ったものと言われています。ただし、当時の顕微鏡は充分な倍率がなかったため、珍しいものが見えるオモチャとしての扱いだったようです。
そして1665年頃、イギリスのフックという人が二つのレンズを工夫して、拡大して見ることができる顕微鏡を作りました。これは現在の顕微鏡の基になるもので、「複式顕微鏡」と呼ばれています。フックは、「コルクの細胞」や「のみ」などを観察し、とても細かく正確な観察図を描き残しています。
同じ頃、オランダのレーウェンフックという人も顕微鏡を作っています。「単式顕微鏡」という、レンズが一つだけ付いたとても小さな簡単なもので、虫眼鏡の倍率を大きくしたものでした。しかしその倍率は、約70~250倍もあったそうです。この顕微鏡によって、血液中の赤血球や水中の微生物などが発見され、生命を研究する学問の基となりました。
その後、ドイツを中心に顕微鏡のレンズや照明装置は改良され、現代の顕微鏡の基本となる形が確立されました。
ちなみに、日本に初めて顕微鏡が輸入されたのは江戸時代の1750年頃とされています。さらに1781(天明元)年には、日本初の顕微鏡が作られましたが、まだ木で作られたものでした。その後、明治時代の1880年頃から、金属製の顕微鏡がドイツなどから輸入されるようになりました。
そして、オリンパスの顕微鏡が誕生
今から約100年前の日本で、オリンパスが初めて顕微鏡を作ったのは1920年のことでした。当時の日本では顕微鏡を必要としている人は大勢いましたが、海外製のものは値段が高く、多くの人が手に入れるのは難しい状況でした。
その頃、日本が外国に売っていた主な輸出品が生糸でした。生糸は蚕の繭からつくられるので、蚕が病気になってすべて死んでしまうと、当然、生糸を作ることはできません。当時の日本では、顕微鏡を使って蚕の病気の検査を行うことが、非常に重要だったのです。
そのためオリンパスは、手に入りやすい値段の顕微鏡を日本で作ることに挑戦し、同じ品質の物をたくさん作る「量産化」に成功しました。それが、「旭号」という顕微鏡です。
こうして、初めて日本製の顕微鏡が量産されて以来、オリンパスの顕微鏡は現在も進化し続けています。そこで次の項目では、現在、オリンパスのさまざまな顕微鏡がどのような場面で使用され活躍しているのかを紹介します。
5. 顕微鏡が活躍している場面
オリンパスの顕微鏡には色々な種類がありますが、どのような場面で使われて活躍しているのかをお話します。
病院で
オリンパスの顕微鏡は、病院の医者や、検査センターの臨床検査技師といわれる検査の専門家などに使用されています。人や動物の、細胞や血液、尿などを見て、病気の検査や診断などをする時に使われます。
病院や検査センターなどで活躍するオリンパスの顕微鏡
細胞や血液、尿などを検査したり、病気の診断をする時に使用される顕微鏡です。
研究所で
オリンパスの顕微鏡は、大学や企業などのさまざまな研究所で先生や学生、研究者に使用されています。顕微鏡は、生命のなぞを解き明かそうとする研究や、病気の原因を詳しく調べて病気に効く新しい薬を開発したり、製品に使用する丈夫な新素材を研究開発する時などに使われています。例えば、「iPS細胞の研究」や「脳・神経機能の研究」などの生命科学・医学の分野や、「軽くて柔らかいのに強くて丈夫な新素材の研究」といった産業分野など、さまざまな研究開発の場面で広く使用されています。
大学や企業の研究所などで活躍するオリンパスの顕微鏡
最新の研究にも適した最高級の顕微鏡です。ノーベル賞を受賞された先生方にも使われています。
製品をつくる工場で
オリンパスの顕微鏡は、ものを作るさまざまな会社の製造工場で、製造部や検査部というところでも使われています。小さな部品を組み立てる時や、製品を売る前に、その製品の細かい部分が正しく作られているかどうかを検査する時などにも、顕微鏡が役立っています。
ものを作る工場で活躍するオリンパスの顕微鏡
対象物が立体的に見える実体顕微鏡です。細かい部品を組み立てたり、製品を検査する時に使われます。
「レーザー」という技術を使っている工業用顕微鏡です。小さなものの大きさを正確に測ることもできる、最新技術を使った顕微鏡です。
このように、オリンパスの顕微鏡は、医療や科学の研究、ものづくりの現場などで役立っています。このほかにも、水道の水質検査や食品の検査に使われるなど、社会のさまざまな場所でいろいろな顕微鏡が活躍しています。