人を知る

いい設計ができる人は、課題から逃げない人だ。

  • 生産技術開発・サービス技術開発

メカニカルエンジニア

人の命に関わる医療機器、その設計の道のりは、必ずしも平坦ではありません。徹底的に話し合い、そして地道に改善を積み重ねながら、ひとつひとつ課題をクリアしていく。オリンパスというチームが一体となってものづくりをしている感覚です。設計者としてだけでなく、人としても「あいつと仕事をしたい」と思ってもらえるように。まだまだ挑戦はつづきます。

対話と改善の積み重ねこそが、製品を強くする。

業務内容を教えてください。

医療機器のメカ設計担当です。現在は、生体組織の凝固・切開や血管のシール・切開を1台で行うことができる「サンダービート」の後継機種関連の設計に取り組んでいます。従来機種よりも手術を早く、かつダメージが少ない手術を行えるように改良を目指しています。

仕事の流れとして、改良点やユーザーニーズ、それらを満たす機能が決定されたあとに詳細設計がはじまり、市場で問題が起こらず工場で量産可能な品質を確保できるように設計し、検証するまでが役目です。と、言葉にすると簡単ですが、設計完成後に部品や資材を手配してプロトタイプを作り、機能や品質が目標に達しているか、工場で量産できるかなど、各関係者からの多角的なレビューを受け、その全てをクリアするまで検証や改善を重ねます。ゴールまでの道のりは平坦ではありません。

関係者というのは?

設計者は一人で設計が完結できるわけではありません。ユーザーニーズの観点や安全面、品質面など、多角的な方面から膨大な検証をする必要があります。そのため関係者は多く、様々な部署の人とやり取りしなくてはなりません。

ユーザーである医師たちのニーズを把握しているマーケティング部門、実際に製造を担う工場、品質面をチェックする品質保証部門、設計とは別にデザインを担当する人もいます。たとえば、マーケティング部門から医師のニーズに基づいた希望が出たと思えば、実際に製造する現場や品質保証部門から「これでは量産が難しい」と指摘があったり。さらにデザイン担当者からは「デザイン的にもうちょっと…」と言われたり。そんな様々な意見を受け止めて設計に落とし込み、みんなが納得するまで改善していくのが設計担当の手腕が問われる点です。

すべての条件を満たす解の模索は本当に難しいですが、この妥協のない話し合いとフィードバックこそが、良い製品づくりに欠かせないプロセスだと思っています。最終的にみんなの意見を整合でき、なおかつ品質もクリアした製品が完成すると「いいものができた」と心底うれしいですね。

「外から」だから、オリンパスの良さが見えてくる。

どのような点にやりがいを感じていますか。

私は中途入社しました。前職ではカメラの一部分のみ専門に設計していましたので、オリンパスの多種多彩な製品、それも医療機器という命に関わる責任の重い製品の設計に携われるのは大変なやりがいです。その分、緊張感やプレッシャーもあり、ハードルは上がりましたが、それ以上に仕事の質と量への満足感が高く、仕事の充実度はオリンパスに来て格段に上がりましたね。プロトタイプについて医師が評価する現場に立ち会える機会もあり、自分が設計した製品が使われるのを目にすると緊張感がありますし、同時に社会に貢献できる手応えも感じられます。

他社を知っているからこそ、オリンパスならではの良さ、逆に課題も見えたりするのではないでしょうか。

オリンパスは「みんなでいいものを」という良い風土がある会社だと思います。多様な人と意見を忌憚なくかわすことができ、様々な有識者の観点を吸収しながら設計に挑み、どんどん良い製品が出来上がっていく過程はオリンパスだからこそで、仕事をする面白みのひとつ。この「みんなで」精神は業務以外でも感じますね。コロナ禍になってリモートワークの方法を模索していた時も、みんなで課題を共有し合い改善策を出し合って、混乱のなか前向きに対応して「仕事=出勤」の常識を打ち破った時には感動すら覚えました。業務効率や就業規則など、これから他にも改革すべきことを改革してお互いに満足できるスタイルを探り、会社がどんどん良くなってほしいと思いますし、それができる集団ですよね、オリンパスは。

課題の方は、強いていうなら技術やスピリッツの継承でしょうか。今、現役を退くぐらいの世代の方はオリンパスの高い技術を作り上げ支えてきた方々で、技術も知識も知見も非常に豊富ですが、それらが下の世代にきちんと受け継がれているかというと、少し物足りなさを感じます。知見をストックする環境、経験豊かな先輩方が社内に揃っているのに、もったいないというのが正直な想いです。自分も貪欲に吸収して次世代に伝えていけるような存在になりたいと思っています。

一緒に仕事をしたい、そう思ってもらえる人間に。

仕事をする上で心がけていることはありますか。

必要とされる人間でいたい、ですね。繰り返しになりますが業務では多くの人と関わりますから、設計者としてはもちろん人としても信頼を得て、設計できる人なら誰でもいいじゃなく「乾さんと仕事がしたい、設計してほしい」と思ってもらえたら最高です。それにはコツコツ信頼を積み上げることですよね。意見をいただいたら素直に耳を傾ける、反対意見を伝える時は改善策も一緒に伝える、納期はきちっと守る、人の意見を否定しない、できるだけ多くの人と関わる、感情を乱さない……そんな基本姿勢は意識しています。

これからの目標を教えてください。

グローバルに活躍できる人間になりたいです。医療機器の本場はアメリカやヨーロッパであり、日本でつくった製品を海外にも持っていきますから、世界で勝負するにはグローバルな能力が必要なんです。オリンパスはアメリカやヨーロッパにも拠点があるので、日本にとどまっているだけじゃなく、せっかくの環境を活かして活躍の場を広げていきたい。

と、一丁前に言っても私はまだ英語がしゃべれませんので、まずは英語力を身につけたくて今は会社の制度を利用して英会話の勉強を頑張っています。アメリカ人と日本人は設計や技術に対する考え方やその方法が違うと聞きます。仕事の仕方やそもそもの文化が異なる環境にどっぷり浸かり、新しい知識を吸収して、たくさんの経験を重ねて、設計者としての幅をもっと広げていきたいですね。

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