カレンダー撮影記:マダガスカル 第3話

第3話:ベローシファカが横っ跳びしていく。ユーモラスな姿ではあるが、実は悲しい。

マダガスカル最初の撮影地はベレンティ保護区。ここには、ベローシファカという原猿がいる。みなさんもきっとテレビの動物番組などでご覧になったことがあるかと思うが、彼らは地面を横っ跳びする。枯れた草原を、ベローシファカの家族が身軽に跳んでいく。子どもをおんぶしたベローシファカもいる。広げた手と尻尾でバランスをとり、2メートル近くも跳ぶ。しかし、僕が初めてマダガスカルに訪れた39年前は、ベローシファカが大地を横っ跳びする姿など見たことがなかった。本来、彼らは樹上生活で、木から木へとジャンプして移動し、地面に降り立つことは稀だ。大地には、彼らの天敵である肉食動物フォッサもうろついているからだ。ところが森の伐採が進み、跳び移る木々が減ってしまった。そのため、彼らは地面を跳んで移動するしかなくなったのだ。人にはユーモラスに見えるその姿には、そんな悲しい事情が隠されている。


ベローシファカ 野生動物図鑑


ベローシファカ 野生動物図鑑

あるとき、森の中を進んでいくと、ふいに背後に気配がした。振り向くと、枝にベローシファカがいた。そっとカメラを向ける。彼は顔をぐっと前に突き出したかと思うと、体を後ろにのけぞらせ、別の木に移っていった。ニホンザルなどの動きはある程度予測がつくが、原猿の動きはわかりづらい。


ベローシファカ 野生動物図鑑