カレンダー撮影記:パンタナール 第5話

第5話:雨季、水の中から生えているような森林で、フサオマキザルやアカハナグマを撮影した。

多くの土地が水に浸かる雨季のパンタナールは、森林も水の中から生えているように見える。そんな森の中を歩いていると、ネズミに似たアグーチがいた。食べているのは、おそらく鳥が落とした木の実だろう。

頭上で葉をゆする音がする。見上げると、フサオマキザルのファミリーがいた。頭にフサフサの毛が立っているのは、大人のオスだ。硬いアクリヤシの実をかみきるようにして食べている。子どもが一緒に食べようとすると、親はジャマだとでも言うように手で振り払う。僕は、夢中になって食べているサルを刺激しないよう、そっと近づいては立ち止まり、また、そっと近づいては立ち止まる。サルは気配を感じたのか、ふと顔を上げる。しかし逃げる素振りは見せず、また食べ続ける。野生のサルにここまで近づけるのは珍しい。それだけパンタナールは、サルにとって危険が少ないということかもしれない。


アグーチ


フサオマキザル


フサオマキザル


フサオマキザル 野生動物図鑑

パンタナールの森には、アカハナグマも生息する。赤茶っぽいからだに、長いシマシマの尻尾をもち、遠くからでも「あそこにアカハナグマがいるな」とよくわかる。木登りがとても上手く、垂直でも駆け上っていく。その動きはせわしない。彼らは主に、果実や昆虫、小動物、鳥の卵などを食べる。群れは食べ物を探して移動するのだが、鳴き交わしで仲間同士のコミュニケーションをとっているようだ。一頭が「おいしそうなものを発見」とでも言うように、クルクルッと喉を鳴らすような音を発すると、みんながワーッとそこに駆け寄る。危険を感じるときは、キャンキャンという警戒音を発する。

あるとき、尻尾をピーンと上げながら、僕の前を散歩するアカハナグマの群れと出会った。僕のほうにはお尻を向けている。僕は彼らを正面から撮影したかった。彼らが茂みに入ったとき、出てきそうな場所を先読みして待ち伏せすることにした。僕の読みどおり、彼らはそこに出てきた。先頭の一頭が、「ええーっ、なんでイワゴーさん、そこにいるの?!」とでも言うような顔をした。


アカハナグマ 野生動物図鑑