「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール) 第7話

第7話:カピバラの顔が、僕のすぐ目の前に。彼はすっかり警戒心を解いていた。

湿地の大半から水がひく乾季は、干上がらずに残った大きな川に魚が集中する。この時期、パラグアイカイマンは労せずして魚を捕まえることができる。落差のあるところで、大きな口を開けて待ち構えていれば、水の流れに乗って魚が口に飛び込んでくる。カイマンの腹が膨らんでいく。
岸辺にいるカピバラたちは、パラグアイカイマンを気にする様子はない。襲われることはないとわかっているのだ。


パラグアイカイマン 野生動物図鑑


パラグアイカイマン

カピバラを撮影するのは簡単そうに思われるかもしれないが、これがなかなか難しい。カメラを向けると最初は警戒して、ファミリー全員が「何なんだ?!」という顔をする。僕の存在に慣れてからでないと、あるがままの自然な動きを見せてはくれない。僕はカメラを構えながら、「ダルマさんが転んだ」の要領で近づいた。お母さんが授乳しているスキにそっと近づき、お母さんが気配を感じて振り向くと、何事もなかったかのようにピタッと止まる。そんなことを繰り返した。


カピバラ 野生動物図鑑


カピバラ


カピバラ

最もそばまで近づけたのは、砂地にいるオスのカピバラに、ほふく前進で近寄ったときだ。何と彼のほうから僕の顔の真ん前まで近づいてきて、僕の頭のニオイを嗅いだのだ。僕と同じくらいの大きさの顔だった。ウシタイランチョウがカピバラの頭に止まった。そしてその後、カピバラは水の中に入っていくと、僕のほうを振り返って、「キミも一緒に来るだろう」というような顔をした。


カピバラ  ウシタイランチョウ野生動物図鑑