「Wisdom of the Wild / 時の鼓動。生命の躍動。」(パンタナール) 第8話

第8話:カピバラの家族が、みな同じ方向を凝視している。緊張感が伝わってくる。

カピバラは、ちょっとトボけた愛嬌のある顔をしている。その風貌のせいか、ボーッとしているように思えるが、ああ見えて、森全体の気配をじつに敏感に感じとっている。ジャガーが近づいてくるのを察知するや、目にも留まらぬ瞬発力で、鉄砲玉のように水へ飛び込む。その逃げ足の速さには驚かされる。


カピバラ 野生動物図鑑


ジャガー 野生動物図鑑


カピバラ  ズグロハゲコウ野生動物図鑑

ジャガーを探しに毎日のように水辺に出かけているうちに、すっかり顔なじみになったカピバラの家族がいた。子どもたちがお母さんにキスするようにして甘えている。ジャガーを撮影しているときは、カピバラにはわるいけど、ハンティングするシーンをカメラに収めたいと思うものだが、カピバラにカメラを向けているときは、「ああ、今日も家族全員が無事でよかったなぁ」と心から安堵する。ジャガーを撮っているときはジャガーの立場に、カピバラを撮っているときはカピバラの立場に、僕の心境も移り変わる。


カピバラ

ある日のこと、岸辺にいるカピバラのファミリーが、みな同じ方向を凝視している。小さな子どもまでもが、同じ方向を見つめている。全員身を固くして、緊張感が漂っている。何事かと、僕は彼らの視線の先に目をやった。川の向こう岸に、一頭のジャガーが姿を現したところだった。


ジャガー


カピバラ