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1998年 4月14日
「Eye-Trek」テクニカルレリース
~世界初!最先端光学系「フリーシェイプト・プリズム」を実用化~
HMDやFMDに求められる光学系の条件
HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ:頭部搭載型ディスプレイ)は、小型表示素子( 小型CRT、LCDなど)の映像を光学的に拡大して眼に投影し、映像を観る装置です。頭部に装着して使用されるHMDにおいては、小型・軽量化が極めて重要なファクターであり、光学技術はそれを決定付ける最大の差別化技術です。
HMDの光学系には、小型軽量化を含めて、以下の4つが必要とされます。
  1. 小型軽量かつ薄型で装着にバランスがよく、コンパクトなこと
  2. 眼鏡をかけたままでも装着できるハイ・アイポイント(接眼レンズと瞳との間隔が広い)仕様であること
  3. 画面の隅々まで明瞭に表示できる、高い解像力を持つこと
  4. 輝度が高く明るい映像を表示するために、高効率(光量の減衰が少ない)であること
これらの条件を満たすために、一般的には凹面鏡光学系(※1)が多く用いられますが、サ ングラス並みの外観形状と、手軽に携帯できるフェイス・マウント・ディスプレイ(FMD)、「Eye-Trek」を目指すには、新たなブレークスルーが必要でした。
フリーシェイプト・プリズムの特徴
オリンパスは凹面鏡光学系を飛躍的に進化させた「フリーシェイプト・プリズム」をEye-Trekに搭載し、HMD分野における偏心自由曲面光学系の実用化に世界で初めて成功しました。フリーシェイプト・プリズムは、先端光学技術の結晶とも言うべき偏心光学系(※2)と自由曲面レンズ(※3)を融合したもので、以下の特徴を持っています。
  • 偏心光学系の採用により、従来の凹面鏡光学系に比べて4倍の明るさを確保すると同時に、大幅な軽量化に貢献し、更に眼鏡をかけたままでも装着できるハイ・アイポイント仕様(接眼レンズと瞳との間隔23mm)を同時に実現しました。
  • 自由曲面レンズをプリズム構成面に採用することにより、偏心光学系から発生する像歪みなどの諸収差を良好に補正すると同時に、他に起因する収差発生も大幅に低減し画面の隅々まで解像力を維持した鮮明な映像を実現しました。
フリーシェイプト・プリズムの実用化
レンズ面の設計変数の自由度が高いが故に、自由曲面レンズの設計は極めて困難でしたが 、オリンパスが長年培ってきた高度な光学技術により、これを可能としました。同時に、 製造技術を飛躍的に進化させて、複雑な面形状を持つ同レンズの製造を可能としました。 フリーシェイプト・プリズムは、光学系の設計・製造両面でのブレークスルーにより実現 出来たと言えます。
※1 凹面鏡光学系: 回転対称な凹面反射鏡により構成された光学系。レイアウトの自由度が少なく小型化が困難であり、更にハーフミラーを使用しなければならないため、光量が1/4以下に減衰してしまう。
※2 偏心光学系: 偏心して配置した光学面からなる特殊な光学系。ハーフミラーが不 要なので光量が大幅にアップする。また、光路を自由に反射させてレイアウトすることが可能で、小型化、薄型化にとって非常に有利な光学系である。但し、極めて高度な設計技術と共に、難度の高い製造技術を要する。
※3 自由曲面レンズ: 従来の非球面レンズでは補正できなかった偏心光学系による収 差を、良好に補正することが出来る特殊な非回転対称形状の特殊非球面レンズ。これまでの回転対称なレンズの概念を越えた光学系の新境地を切り開く技術。
製品コンセプトとフリーシェイプト・プリズム
<光学仕様> <製品メリット> <ユーザベネフィット> <コンセプト>
小型・軽量 携帯性 屋外での使用可能 いつでも
どこでも
日常生活の
中で
手軽に
使える
スマートなデザイン 抵抗感無し
簡単装着
低疲労
ハイアポイント 眼鏡での使用可能
高輝度 シーアラウンド※ 安心感
乗物酔い少ない
大画面 臨場感
クリアな映像
シーアラウンド:装着時でも周囲が見える。周囲が明るくても視認性の高い、高輝度画面により可能となりました。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
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