本文の始まりです


1999年12月 1日
正確な色を再現し、微妙な色の違いを判別する
多原色入出力システム(マルチスペクトルカメラシステム)の開発
オリンパス光学工業株式会社(社長:岸本 正壽)は、高度映像情報化社会に対応する画像入出力装置として、高度な光学技術とデジタル画像処理により、16色の色情報を入力し、6原色で表示可能な多原色入出力システム(マルチスペクトルカメラシステム)を開発しました。
大容量高速通信のインフラ整備が進むにつれ、映像メディアに対する超高精細化、高画質化のニーズと期待が高まると同時に、画像の忠実な色再現性が求められています。医療分野における遠隔病理診断、在宅医療の実現においては、正確な診断を行なう為に画像の忠実な色再現が不可欠です。また、今後、発展が期待される電子商取引においても、画像の高精細化と同時に、見ようとする画像を、実物が目の前にある時と同じ色でそのまま忠実に再現できる、高い色再現性の技術が求められています。
従来の3原色入力、3原色出力のシステムでは被写体の色を正確に再現することは不可能でした。今回、開発したマルチスペクトルカメラシステムでは、被写体を多原色(16原色)で入力して、多原色(6原色)で表示をします。多原色で入力することで、人間の眼が感じる色情報を正確に取得することができるため、照明光が変化した時の被写体の色の変化も忠実に再現することができます。また、多原色で表示を行なうため、色の再現範囲を飛躍的に拡大できますので、従来のRGB表示装置では再現できなかった彩度の高い画像の表示も可能となります。本システムでは、観察者がその場に行った時に見る色をそのまま再現したり、対象物が観察者の目の前にある時と同じ色で再現をすることができます。さらに本システムでは、肉眼では見分け難い微妙な色の違いを判別することも可能です。従来のカメラがRGB3原色の情報しかなかったのに対して、本システムでは16色もの色情報を統計的な解析手法を用いて処理しているため、人の眼では判別できないわずかな色の差を検出することも可能です。
当社は、今後も、高精細化、高画質化のみならず、印刷・出版や医療、工業分野などにおいて必要とされる、忠実な色再現技術に関する研究・開発をすすめ、高度情報化社会における映像の新たな可能性を追求していきます。
特長
  1. 被写体を16波長に分光して撮影
    本システムで用いているマルチスペクトルカメラは、可視光域に異なる透過特性を有するバンドパスフィルタを16種類用いて、1000×1000画素の高精細な分光画像を撮影します。フィルタは交換可能で、目的に最適なフィルタを構成することができます。

  2. 忠実な色の再現が可能。
    本システムは、カメラの撮像特性や撮影照明光、表示モニタの特性等、入力から表示 まで色再現に必要な情報をトータルで管理することにより、ディスプレイ上での正確な色再現を実現します。人が感じる色情報(XYZ値)を正確に算出しているため、人がその場で見る色をそのまま再現することが可能です。

  3. 照明光の変化による色の違いを補正。
    対象物が観察者の目の前にある時と同じ色を再現する場合には、従来のカラーマネージメントのように特定の照明光下での色再現を行なうのではなく、観察照明に適応した色の再現を行なう必要があります。本システムの画像フォーマットは色再現に必要な情報をすべて有しており、後処理で観察する照明光を自由に変えて表示することが可能です。

  4. 色の再現範囲を飛躍的に拡大。
    本システムでは、リアプロジェクタを利用してスクリーン上で6原色の表示を実現しています。画像表示に2台のプロジェクタを用い、各々異なる3原色で計6原色の表示を行なうことにより、従来のRGB表示装置に比較して、色再現範囲が格段に広がりました。

  5. 統計解析手法を用いてわずかな色の差を判別。
    本システムでは、人の眼では色の見分けがつかないような被写体であっても、スペクトル特性のわずかな変化を統計的手法により解析し自動的に分類することができます。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
  • 本リリースに掲載されている内容は、報道関係者向けに発表した情報です。
  • 掲載内容は、発表日現在の情報であり、ご覧になっている時点で、予告なく情報が変更(生産・販売の終了、仕様、価格の変更等)されている場合があります。
  • 掲載されている社名、製品名、技術名は各社の商標または登録商標です。


本文の終わりです