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2001年 4月25日
オリンパス光学工業株式会社
テルモ株式会社
オリンパスとテルモ
医療機器分野で包括的な業務提携契約を締結
~心臓外科、消化器科、泌尿器科領域からスタート~
オリンパス光学工業株式会社(社長:岸本 正壽 以下、オリンパス)とテルモ株式会社(社長:和地 孝 以下、テルモ)は、医療機器分野における開発、製造、販売等に関し、包括的な業務提携をすることに合意、4月25日、基本契約を締結いたしました。
特にこれからの医療の主流となる、患者さんの苦痛や身体的負担を軽減する低侵襲診断・治療機器に関して両社で開発を進めてまいります。当面は心臓外科、消化器科、泌尿器科の各領域における開発から販売までの関係を強化し、両社合わせ5年後には100億円以上の売上げを目指します。
オリンパスとテルモ両社は、今後の医療の方向性が低侵襲、医療経済性の2点に集約されるという認識を共有化するに至り、両社の得意とするコア技術を融合し、国際競争力のある次世代の新しい機器の開発から販売までを協同で進めることにしたものです。
オリンパスは、医療・健康領域において光学・デジタル技術を強みとして内視鏡・顕微鏡・血液分析装置等のシステム製品を開発しています。中でも、内視鏡分野では消化器系をはじめ外科領域等幅広く臨床医向けに診断・治療装置を開発する総合メーカーです。
テルモは、ディスポーザブル医療器や栄養・輸液剤の分野で大きなシェアを持っています。またPTCA拡張カテーテル※1、ステント※2や人工心肺システム※3など循環器領域の先端医療分野や、医薬品、在宅医療でも屈指の技術力を有する医療機器メーカーです。
両社はともに先進医療機器のパイオニアとして、低侵襲診断・治療機器の開発を目指して事業を行っています。光学・デジタル技術に強いオリンパスと医療機器技術に強みを持つテルモとの提携により、両社の持つコア技術や製造技術、さらに販売力まで相互に活用することでシナジー効果を高め、今後の医療に求められる低侵襲で、かつ医療経済性にも優れた医療機器の開発と普及に努めてまいります。
提携内容は広範にわたりますが、当面は心臓外科、消化器科、泌尿器科の各領域で使われる先端的な治療機器から共同開発に着手いたします。
これら領域のみでも、5年後の売上げ目標は両社合わせて100億円以上の規模に達するものと見込んでおりますが、このほかにも将来にわたり協同で取り組むべき事業や開発テーマを検討中です。
なお、現在のところ両社間で新たな資本関係を結ぶ計画はございません。
当面の共同開発テーマについて
  1. 心臓外科領域
    心臓手術では体外循環を行わない手術など、患者さんの苦痛や身体的負担を軽減する手術がすでに行われつつあります。テルモの治療機器の開発技術、オリンパスの高精細内視鏡技術や機器制御技術等の融合により、両社はこれら新しい低侵襲手術用の機器や、さらには内視鏡を用いた心臓手術機器など、心臓外科手術の新しい流れに対応する医療機器の開発を行います。心臓手術に内視鏡を導入することにより、外科系のほとんどの領域で内視鏡手術が実現することになります。
    この領域は、オリンパスとテルモ両社が協同で新しい事業を創りあげていきます。まず、オリンパスがすでに保有する内視鏡下大伏在静脈摘出機器※4や超音波凝固・切開装置※5を、最大市場の米国向けに改良し、テルモの販売ルートで市場投入を図ります。
    またテルモは米国で人工心肺事業を展開する子会社テルモ・カーディオバスキュラー・システムズ(TCVS)社の開発力をも活用し、グローバルな開発体制を構築します。この領域で、2006年度の売上げ見込みは40億円です。

  2. 消化器科領域
    消化器科領域の内視鏡治療機器市場は2000年度で約1,000億円ですが、ディスポーザブル化の進展等により2006年度には約1,600億円に拡大すると見込まれています。この領域では、テルモの保有するガイドワイヤー※6、カテーテル、ステントなどの技術をもとに、主に胆道系の内視鏡診断・治療向けの製品開発を行い、オリンパスのグローバルな販売ルートを通じて展開いたします。
    将来は、テルモの血管系低侵襲治療機器の開発技術とオリンパスの内視鏡治療技術を融合、応用することにより、新しい手技・治療法を確立できるものと期待しております。
    この領域で、2006年度の売上げ見込みは30億円です。

  3. 泌尿器科領域
    男性高齢者の多くが発症すると言われる前立腺肥大症の治療には、一般に外科的手術が行われています。この領域では、テルモが保有するレーザーを用いた新しい治療技術に、オリンパスが強みとする機器制御やソフトウエア技術を加えることで、より低侵襲で、患者さんの身体的負担を軽減する新しい前立腺肥大症治療システムの開発を目指します。この領域で、2006年度の売上げ見込みは30億円です。
用語解説
※1) PTCA拡張カテーテル:
心筋梗塞の原因である冠動脈の閉塞や狭窄病変部に、先端に風船(バルーン)がついた細いチューブ(カテーテル)を通し、バルーンで膨らませることで、狭窄部分を広げて、血流を回復させる治療法(PTCA)に用いる治療器具。

※2) ステント:
メッシュ状の円筒の金属でPTCA拡張カテーテルのバルーン部分に装着させ、これを冠動脈の狭窄病変部で拡張し、留置する治療器具。PTCAにステントを使った治療を行なうことで、再び病変部が狭窄することを予防する。

※3) 人工心肺システム:
心臓を止めて行う心臓血管外科手術時に、一時的に患者さんの心臓と肺の代わりをするもの。

※4) 内視鏡下大伏在静脈摘出機器:
冠動脈バイパス手術を行うときに足の静脈を使用することがあり、この血管を内視鏡的に採取するための機器。患者さんの切開傷や疼痛が軽減される。

※5) 超音波凝固・切開装置:
超音波振動のエネルギーを使用した手術装置。超音波振動を伝達したプローブ先端の把持具で組織・血管等を挟み、機械的振動により発生した熱で凝固・止血させながら切開を行う装置。

※6) ガイドワイヤー:
直径1mm程度の細い金属製のワイヤー。血管造影時にカテーテルより先に進めてカテーテルを目的部位まで導く役割をする。
両社の概要
オリンパス光学工業株式会社の概要
所在地: 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス
代表者: 代表取締役社長 岸本 正壽
設 立: 1919年
資本金: 40,832百万円(2000年3月末)
売上高(連結): 428,646百万円(2000年3月末)
社員数: 4,319名 (2000年3月末)
事業内容: 医療・健康、映像・情報、工業関連機器の製造・販売
医療用内視鏡、顕微鏡、血液分析装置、検査用試薬、カメラ、デジタルカメラ、録音機、光磁気ディスクドライブ、プリンタ、バーコードスキャナ、工業用内視鏡、測定器、モータ他
オリンパスは1950年、世界で初めて胃カメラを開発して以来、直接体内を観察できるファイバースコープ、ビデオスコープを開発。現在は、診断にとどまらず、種々の治療を行うための処置具や治療機器の開発まで幅広く事業を展開し、内視鏡においては世界一の技術とシェアを有し、各種疾患の治療やがんの早期発見に貢献しています。
テルモ株式会社の概要
所在地: 東京都渋谷区幡ヶ谷2-44-1
代表者: 代表取締役社長 和地 孝
設 立: 1921年
資本金: 38,716百万円(2000年3月末)
売上高(連結): 171,179百万円(2000年3月末)
社員数: 4,287名
事業内容: 医薬品、栄養食品、血液バッグ、各種ディポーザブル医療器具、人工臓器、ME機器、電子体温計等の医療用機器の製造・販売
テルモはディスポーザブル医療器具や栄養・輸液剤などで、国内外で高いシェアを持っています。また、血管造影用ガイドワイヤーでは世界のトップシェアを占め、血管治療用カテーテルや国産初のステント、さらに人工心肺システムなど、先進的な医療機器で高い技術力を有しています。
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
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