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2002年 8月 7日
世界初、1分子蛍光分析法をSNPタイピングに適用し数秒で高速解析
SNPタイピング解析システム「MF10S」発売
SNPタイピング解析システム「MF10S」
SNPタイピング解析システム「MF10S」
オリンパス光学工業株式会社(社長:菊川 剛)は、薬物応答性や疾患関連遺伝子の検出にとって重要な手がかりとなるSNP(1塩基多型)を判定するためのSNPタイピング※1解析システム「MF10S」を、EVOTEC Technologies(エボテック社、ドイツ・ハンブルグ)と共同開発のうえ、2002年8月末から国内での受注を開始し、順次海外に向けても販売します。本装置は1分子蛍光分析技術※2を用い、従来法に比べて高速なだけでなく安価で高精度な解析を可能にします。将来のテーラーメード医療の実現を目指した装置として主に大学、研究機関や製薬企業、受託検査企業をターゲットに販売を開始します。
発売の概要
製品名 発売時期
SNPタイピング解析システム「MF10S」 2002年8月末
主な特長の概要
  1. 高感度・低ノイズ・高速解析を実現
  2. 低ランニングコストを実現
  3. 解析前の精製操作・サンプル洗浄が不要
  4. 簡便な操作性
市場導入の背景
SNP(Single Nucleotide Polymorphism)は、個人ごとの薬物応答性や疾患関連遺伝子との関係を解析するための有用なマーカーとして有望視されております。すでにSNPを調べる目的(SNPタイピング)で様々な手法・装置が提案されていますが、本製品は、世界で初めて1分子蛍光分析法をSNPタイピング装置として適用し、正確で迅速かつ安価な測定を可能にいたしました。

また本製品は、株式会社ノバスジーン(社長:祖父尼 俊雄、東京都八王子市)、東京大学ヒトSNPタイピングセンター(センター長:東京大学医学系研究科人類遺伝学分野・徳永勝士教授、東京大学本郷キャンパス)にてすでに稼動実績を積んでいるSNPタイピング専用機の後継機種であり、そのデータの信頼性の高さは立証済みです。

また、さらなる高速解析を可能にするワンチューブでの反応*3による新システムなどのアプリケーション開発も行っており、テーラーメード医療の実現に向けて積極的に社会に貢献してまいります。
主な特長の詳細
  1. 高感度・低ノイズ・高速解析を実現
    共焦点レーザー光学系※4と高感度光検出器を採用し、約1フェムトリットル(1000兆分の1リットル)という超微小領域中で、相補的・非相補的なプライマーを用いたPCR法※5によって増幅した蛍光ラベルプライマー※6の1分子レベルの並進拡散時間※7を計測・解析します。それにより、ノイズ低減と蛍光シグナルの高感度計測を実現し、正確で迅速(1サンプルあたり数秒)な測定を可能にしました。また、384穴専用プレートの採用により、多数のサンプルを連続的に測定することができます。

  2. 低ランニングコストを実現
    装置本体だけではなく、ランニングに要する試薬・消耗品(ガラスボトムマイクロプレート・純水)の使用を最小限に抑えて、低ランニングコストを実現しました。PCR後に、これまで必要であった測定のための試薬は不要です。

  3. 解析前の精製操作・サンプル洗浄が不要
    溶液中で蛍光シグナルを計測するため、従来の解析手法では不可欠であったPCR反応後のサンプル精製や、測定前の基板の洗浄などの面倒な操作は全く不要です。

  4. 簡便な操作性
    ピンホール調整などの測定前の面倒な光学調整は自動化されています。プレートをセットし、測定ウェルを指定するだけですぐに測定が可能になります。
※1 SNP(1塩基多型)タイピング
SNPはSingle Nucleotide Polymorphismの略称で、DNA配列300~500個にひとつ存在する1塩基の違いを言い、これにより個々人の病気のなり易さ、薬物に対する応答性を検査・判定できます。SNPと疾患関連遺伝子や薬物応答性との関係を解析することにより、ゲノム創薬、テーラーメード医療の実現に繋がるとして注目を浴びています。
※2 1分子蛍光分析技術
共焦点レーザー光学系により約1フェムトリットル(1000兆分の1リットル)という超微小領域中で生体構成分子の挙動を捉え、蛍光ラベルされたプライマーの増幅産物を1分子レベルで計測する、生体内に近い環境下(溶液中)での分子間相互作用解析技術。また当技術は、Evotec Technologies(CEO:Dr. Carsten Claussen/ドイツ・ハンブルグ)と共同開発したものです。
※3 ワンチューブでの反応
従来のSNPタイピングでは、検体のDNAから測定するサンプルの作製までに多くのステップを要しました。検体DNAを添加するだけで、ワンチューブでの反応で最終的な測定サンプルが得られるシステムを現在開発中です。
※4 共焦点レーザー光学系
結像する位置(合焦位置)にピンホールを置くことで、合焦位置以外からの光を一切排除できるので、従来の蛍光リーダーに比べて高いS/N(シグナル/ノイズ)比を得られる光学系です。
※5 相補的・非相補的なプライマーを用いたPCR法
プライマーとは、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)の開始に関係する鋳型(いがた)DNAに相補的塩基配列をもつDNA鎖のこと。検出したい塩基に相補的・非相補的なプライマーを用いてPCRを行い、増幅の有無を検出することで、SNPを検出する方法です。
allele A
allele B
※6 蛍光ラベルプライマー
蛍光物質を付加した合成DNAプライマー。本製品では、二色の蛍光ラベルプライマーを用いることによりSNPタイピングを行います。
※7 並進拡散時間
分子の大きさにしたがって、増大する分子の物理的係数。
EVOTEC Technologiesの概要
住所: Schnackenburgallee 114,22525 Hamburg, Germany
President&CEO: Dr.Carsten Claussen
設立: 2002年
事業内容: EVOTEC Technologies社は複雑な生命科学アプリケーションを革新的技術で解決します。ハードウェア、ソフトウェア、およびバイオ製品モジュールのシームレス統合し、小型化とオートメーションの最先端テクノロジーを融合します。従業員数(ドイツのハンブルク、デュッセルドルフ、ベルリン)は約60名。
主な仕様
解析手法 1分子蛍光分析(FCS解析法)
測定項目 濃度、並進拡散時間、平均分子蛍光強度
レーザー波長 633nm、543nm
装置外観 本体は卓上型 W660 x H405 x D550 mm
重量 約90kg
自動調整 焦点位置、共焦点光学系、対物補正環など
電源 入力電圧:単相AC100V~AC240V
消費電力:600VA
ソフトウェア Windows2000上で、専用ソフトウェアにて稼動
付属品 PC、モニター
消耗品 ガラスボトムマイクロプレート(96, 384 well / plate)、
純水
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
  • 本リリースに掲載されている内容は、報道関係者向けに発表した情報です。
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