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2003年 1月29日
白色光によるディスクスキャン方式を開発
細胞の断層像を画像処理なしに画像化
生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU / BX-DSU」
生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU」 生物系ディスク走査型顕微鏡「BX-DSU」
生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU」 生物系ディスク走査型顕微鏡「BX-DSU」
オリンパス光学工業株式会社 ( 社長:菊川 剛 ) は、細胞へのダメージの少ない白色光を用い、安価・省スペースを実現した独自のディスクスキャン方式 注1 を開発しました。スキャンした像をクールド CCD カメラ 注2 で撮影して得られた光学的な断層像から、細胞の形態観察や機能解析が行える顕微鏡ユニットとして生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU / BX-DSU」を 2月 3日から発売致します。
注1 独自のディスクスキャン方式:
蛍光顕微鏡の光学系に独自のスリット状のパターンを刻んだディスクを搭載し、これを回転させ標本をスキャンすることで、標本の深さ方向を光学的にスライスして焦点の合った断層像のみを画像化する方式。
注2 クールドCCDカメラ:
CCD(電荷結合素子)を冷却してノイズを低減するカメラ。蛍光顕微鏡など微弱な蛍光を検出するために広く使用されています。
発売の概要
製品名 発売日
生物系ディスク走査型顕微鏡
「IX2-DSU / BX-DSU」
2003年 2月 3日
顕微鏡標準システムは、弊社製「倒立型電動顕微鏡 IX81」、「正立型電動レボルバ上下式顕微鏡 BX61WI」(いずれも別売)です。
推奨するクールド CCD カメラは、「CoolSNAP HQ」、「Orca ER」(いずれも別売)です。
顕微鏡とクールド CCD カメラ制御用の推奨ソフトウェアは「MetaMorph」(別売)です。
主な特長の概要
  • クールドCCDカメラで共焦点画像の取得が可能
  • 高いコストパフォーマンス
  • 通常の蛍光顕微鏡に簡単に切り替えが可能
  • 高いシステム性
  • 目的に応じてディスク交換が可能
  • 専用設計の共焦点光学系を採用
導入の背景
大学や研究所の発生、再生等の研究分野では、ショウジョウバエ、線虫、ゼブラフィッシュ等の単純動物により、様々な細胞の機能解析の研究が進められています。細胞内器官の形態観察のために、蛍光顕微鏡が多く使われていますが、一般的に焦点以外のぼけた像も画像化されてしまうため、厚い標本画像の取得時に目的とする焦点位置を鮮明な画像で観察することが困難でした。一方、蛍光色素に応じてレーザー光を使い分けるレーザースキャン方式はシステムが高価になり、また CCD カメラを使ったシステムと比較して画像化に時間がかかるなどの課題がありました。これらの課題を解決すべく、このたび独自のディスクスキャン方式を開発しました。
主な特長の詳細
  1. クールド CCD カメラで共焦点 *1 画像の取得が可能

    従来の蛍光顕微鏡による観察においては、厚い標本画像の取得時に焦点面以外の光も取得されてしまうため、内部構造を鮮明に観察することが困難でした。生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU / BX-DSU」は、パターン化したスリットを組み込んだディスクを共焦点位置に配置することにより、共焦点画像の取得を可能にしたシステムです。厚い標本でもソフトウェアでデコンボリューション処理 *2 を行なうことなく光学的な断層像が得られ、3次元画像構築時のデータの信頼性が向上します。
    *1 共焦点:
    光源の一点から出た光が検出器の一点に集まる状態をいいます。厚い試料中の特定の面に焦点を合わせ、かつその上下の焦点があっていない面からの光を排除する方法として使います。一般的に、蛍光顕微鏡では焦点が合っている部位以外の蛍光も重なって見えてしまうため像がぼやけてしまいますが、スリットを用いることによって、焦点面以外の蛍光が見えないようにすることが可能となりました。
    *2 デコンボリューション処理:
    ボケを含む画像群から計算によってボケを除去する画像処理技術。実際に取得した画像と処理後の画像に差異が発生してしまいます。

  2. 高いコストパフォーマンス

    一般的な蛍光顕微鏡と同様に白色光源(水銀またはキセノン)を使用しますので、様々な蛍光色素に対応することが出来できます。また、レーザー顕微鏡のように、各々の蛍光色素に対応するために高価なレーザーを買い足していく必要がありません。


  3. 通常の蛍光顕微鏡に簡単に切り替えが可能

    通常の蛍光画像の取得と共焦点画像の取得を手元のハンドスイッチで簡単に切り替えられます。


  4. 高いシステム性

    フォーカスの制御にモータを内蔵した弊社製の電動顕微鏡(「倒立型電動顕微鏡 IX81」、「正立型電動レボルバ上下式顕微鏡 BX61WI」)と CCD 制御ソフトウェア「MetaMorph *3 」とのシステム化により共焦点の3次元画像の取得が可能です。
    *3 MetaMorph:
    CCD カメラを制御(画像取得、画像加工・処理)するソフトウェアで、様々な研究や実験に対応します。
倒立型電動顕微鏡IX81(別売)と生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU」の組み合わせ 正立型電動レボルバ上下式顕微鏡 BX61WI (別売) と生物系ディスク走査型顕微鏡「BX-DSU」の組み合わせ
倒立型電動顕微鏡 IX81 (別売) と
生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU」
の組み合わせ
正立型電動レボルバ
上下式顕微鏡 BX61WI (別売) と
生物系ディスク走査型顕微鏡「BX-DSU」
の組み合わせ
  1. 目的に応じてディスクの交換が可能

    標本の厚み、使用する対物レンズに応じてスリット幅を変えた5種類のディスクを用意しています。対物レンズの特性に合わせて最適なディスクを選択することで、光学的な断層像の厚みを調節することができ出ます。

  2. 専用設計の共焦点光学系を採用

    顕微鏡メーカーとして、顕微鏡本体の対物レンズから顕微鏡ユニットである生物系ディスク走査型顕微鏡「IX2-DSU / BX-DSU」のディスクに至るまで、専用に設計した共焦点光学系を採用し、最高の性能が得られます。
主な仕様
項目 内容
共焦点走査方式 ディスク回転方式
カメラ 推奨カメラ:CoolSNAP HQ、Orca ER
励起波長 350 nm ~ 700 nm
観察蛍光波長 450 nm 以上
観察モード ソフトウェア ( MetaMorph ) から共焦点と非共焦点の切替可能
励起光 ND フィルタ 共焦点と非共焦点切替で ND フィルタ自動挿入
励起光電磁シャッタ ソフトウェア ( MetaMorph ) から制御可能
顕微鏡取り付け 中間鏡筒方式 ( Cマウントに別のカメラを取り付け可能 )
温湿度 10℃ ~ 35℃ / 30% ~ 80%
電源 顕微鏡用コントローラから供給
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
  • 本リリースに掲載されている内容は、報道関係者向けに発表した情報です。
  • 掲載内容は、発表日現在の情報であり、ご覧になっている時点で、予告なく情報が変更(生産・販売の終了、仕様、価格の変更等)されている場合があります。
  • 掲載されている社名、製品名、技術名は各社の商標または登録商標です。


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