本文の始まりです


2003年 6月 4日
走査型共焦点光学系を用いた赤外線顕微鏡の光学技術を開発
~ 赤外線レーザを用いた三次元形状測定を実現 ~
オリンパス光学工業株式会社 ( 社長:菊川 剛 ) は、従来の赤外線顕微鏡では困難であった FCB *1 後のICチップパターン及びその接合部や、MEMS *2 内部構造などを、ハイコントラストな画像で観察でき、赤外線を用いた三次元形状測定を可能とした「走査型共焦点光学系 *3 を用いた赤外線顕微鏡の光学技術」を開発しました。今後さらに技術をブラッシュアップし社内実績を高めた上で、2004年末までに携帯電話やノートパソコン等の情報機器分野メーカーなどへの発売を目指します。
当技術は、「光ナノテクフェア2003」の「実務応用セミナー」の一プログラムとして、6月12日(木) 12:45 - 13:20 に「赤外線レーザ顕微鏡による電子部品内部の非破壊検査」と題してプレゼンテーションされます(●会場:パシフィコ横浜 展示場2F E-206号室 ●定員:50名 先着順、無料)。
*1: FCB ( Flip Chip Bonding ) :実装技術の一つ。情報機器の小型化、高機能化に伴い、近年広く採用されつつある。
*2: MEMS:Micro Electro Mechanical System の略。微小電子機械システム。
*3: 共焦点光学系:結像面上に配置されたピンホールにより照明光を点光源にし、標本で反射した光を点検出器で検出するしくみ。結像面に配置されたピンホールの作用により、ピントのあった面だけを観察することができます。コンフォーカル光学系とも呼ばれる。
主な特長の概要
  1. 赤外線を用いた三次元形状測定を実現
  2. ハイコントラストな画像で観察が可能
FCB断面のイメージ
「FCB *1 断面のイメージ」
市場導入の背景
実装技術の概況
近年、ノートパソコンや携帯電話など情報電子機器は、より小型化、高機能化が求められています。その為に最近では抵抗やコンデンサといった受動素子だけでなく、IC も引き出しリードを無くしたベアチップそのものを基板上に実装するフリップチップボンディング ( FCB :Flip Chip Bonding ) が広く採用されつつあります。
FCB後の観察上の問題点
FCB ではボンディング後の配線やバンプ、アルミパッドの状態を目視で検査することが物理的に困難であり、検査はもっぱら電気試験に頼らざるを得ませんでした。この試験では不具合の解析につながらず、結果として歩留まりの向上が困難。また、適切なボンディング加圧条件の設定なども破壊検査に頼らざるを得ず、非効率でした。
当技術による革新
オリンパスが開発した赤外顕微鏡技術は、1300nm の長波長赤外線がシリコンを透過し、アルミ配線やバンプ、アルミパッドを、高分解能かつハイコントラストで観察でき、3次元の計測も可能です。これにより従来は困難であった非破壊の検査が可能となり、不良解析や適切なボンディング加圧条件設定などを行うことができ、歩留まりの向上に繋げることが出来ます。
主な特長の詳細
1. 赤外線を用いた三次元形状測定を実現

ICチップなどの実装の一手法である FCB (フリップ・チップ・ボンディング)は、実装後のICチップ裏面を可視光で観察することが出来ませんでした。今回開発された光学技術は、従来の共焦点光学系(1P *3 参照)に赤外線光学系を組み込み最適化することでICチップ裏面の三次元形状測定を実現。これによって、ICチップ裏面のパターンの傷・位置ずれ、バンプ欠損による非破壊で三次元観察及び測定することが可能で、不良解析や適切なボンディング加圧条件設定などを行うことができ、歩留まりの向上に繋げることが出来ます。

FCB断面の計測イメージ
「FCB断面の計測イメージ」
2. ハイコントラストな画像で観察が可能

従来の赤外線顕微鏡では、ICチップ表面上で可視光が乱反射し、様々な制限条件(チップ裏面の研磨状態など)があり困難でした。当光学技術により、高解像度でハイコントラストな画像による観察が可能となりました。

従来の赤外線顕微鏡画像 当光学技術を採用した画像
「従来の赤外線顕微鏡画像」   「当光学技術を採用した画像」
当光学技術の主な仕様
Zレボルバ駆動分解能 0.01μm
レーザ 1300nm
赤外線専用対物レンズ LMPlanIRシリーズまたはMPlanIRシリーズ
オリンパス光学工業株式会社は、2003年10月1日をもってオリンパス株式会社と社名変更いたしました。
  • 本リリースに掲載されている内容は、報道関係者向けに発表した情報です。
  • 掲載内容は、発表日現在の情報であり、ご覧になっている時点で、予告なく情報が変更(生産・販売の終了、仕様、価格の変更等)されている場合があります。
  • 掲載されている社名、製品名、技術名は各社の商標または登録商標です。


本文の終わりです