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2004年10月 7日
オリンパス、東京大学、ノバスジーン、共同で高速・高精度なSNPタイピング※1法を開発
~DNAコンピューティング※2技術を応用してマルチプレックス反応※3を実現~
オリンパス株式会社(社長:菊川 剛、以下オリンパス)、東京大学(佐々木 毅総長 東京都文京区)大学院医学系研究科人類遺伝学教室の徳永 勝士教授、大学院総合文化研究科の陶山 明教授の研究グループと、株式会社ノバスジーン(社長:牧野 徹 東京都八王子市)は、DNAコンピューティング技術を応用し、将来臨床遺伝子診断の主流となるSNPタイピングの新たな方法を開発いたしました。
現在、国際的な連携のもと生活習慣病※4と呼ばれる心疾患、高血圧、糖尿病などの病気と、遺伝子の関連性が明らかにされつつあります。これら生活習慣病は、多因子疾患とも呼ばれ、複数の遺伝子の微妙な個人差(遺伝子多型)が、病気へのなりやすさ(感受性)を左右していると考えられています。この感受性遺伝子を絞り込む研究には、SNPタイピングという遺伝子多型検出法が用いられています。このたび共同開発したSNPタイピング法は、同時に数十から数百のSNPの型を一度の反応で決定できるマルチプレックス反応で、従来に比べて検出までに要する時間とコストを大幅に引き下げることができます。また、マルチプレックス法は他にもありますが、本方法ではDNAコンピューティング技術を応用することで、より高精度な検出を実現しています。本方法は1日に数万から数十万のSNPの型決定を要する多因子疾患研究を加速する強力な手段になります。
尚、今回の共同開発の成果の一部は、10月12日(火)から行われる「日本人類遺伝学会第49回大会」(新川 詔夫理事長 会場:シェーンバッハ・サボー、全共連ビル / 東京都千代田区)と、10月26日(火)から行われる「アメリカ人類遺伝学会第54回年会」(President:Robert L. Nussbaum カナダ、トロント)にて発表されます。
将来、薬のききやすさ・副作用や多因子疾患と遺伝子との関連性が明らかになれば、SNPタイピングは臨床遺伝子診断の主流になると考えられます。オリンパスは来たるテーラーメイド医療の時代に向けて、日本独自のSNPタイピング法の共同研究を続けてまいります。
それぞれの役割
オリンパス
実験手法の改良と自動処理方法の開発、システム化を担当。
東京大学徳永研究室
実験手法の改良、システム化のための評価およびアドバイスを担当。
東京大学陶山研究室
基本原理を発明。反応に必要な高精度人工配列を設計し提供。
株式会社ノバスジーン
SNP検出配列設計と実験手法の改良を担当。
用語解説
※1 SNP(Single Nucleotide Polymorphism:1塩基多型)
ヒト遺伝子は約30億の塩基からなり、それら塩基の数百個に1個の割合で、人によって異なる塩基になっていることが知られています。この遺伝子の違いをSNPといい、個人個人の病気へのなりやすさや、薬の効きやすさを左右していることが知られています。
SNPタイピングとは、ひとつひとつのSNP部位について、各々の検体がどの塩基を持つかを決める方法です。これによって個人の特定の病気のなりやすさなどを推定することができます。
※2 DNAコンピューティング技術
DNAコンピューターはDNAを使い従来の電子コンピューターが不得意とする組み合わせ問題を、高速に解くことが期待されている計算機の一種です。この動作のための複雑な反応およびDNA構造の設計、誤差をなくすための配列設計技術などを総称してこのように呼びます。
※3 マルチプレックス反応
従来の遺伝子多型検出方法が、ひとつの反応溶液の中でひとつの多型を検出するのに対して、ひとつの反応溶液の中で、複数の遺伝子多型を同時に検出する反応方法のことです。
※4 生活習慣病
複数の遺伝素因や生活習慣に起因する病気で、遺伝子のみでなく後天的な環境要因も強く影響して発症する病気のことです。
関連リンク
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