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2004年11月 4日
がんを超早期段階で発見する分光ビデオ内視鏡システム
「内視鏡的超早期光診断技術」の開発を開始
オリンパス株式会社(社長:菊川  剛)は、ナノテクノロジーを活用してがんの超早期診断・検出を狙う「内視鏡的超早期光診断技術」の開発を開始します。本技術は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノ医療デバイス開発プロジェクト」の一環として2004年8月に採択、2007年3月まで助成を受け、「分光ビデオ内視鏡システム」として実用化に必要な技術開発を終了させ、2008年末までに薬事承認申請を目指します。
近年、高齢化・生活習慣の変化に伴い、がんの患者数が増加傾向にあります。このため、がん患者の生存率向上とがんにかかわる医療費を抑制するための早急な対策が必要とされています。これに対する最も効果的な方法として、がんの転移の危険がほとんどない段階での早期な発見、診断があげられ、これを実現することでより低侵襲な治療につながります。
本技術では、腫瘍やがんに由来する生体内の構造や蛍光物質の変化を自家蛍光*1として検出する技術、及びがんを特徴付けるためのたんぱく分子に特異的に反応する蛍光プローブ*2から発する蛍光を検出する技術により、がん検出の精度を向上させます。そして、これらの蛍光波長の強度の違いを検出できる「超小型分光イメージング装置」と、これを内視鏡先端部に組み込み検出情報を画像表示できる「分光ビデオ内視鏡システム」を開発します。同時に、生体表面下にある大きさ2mmレベルの超早期段階のがんも検出できるようにするため、「分光ビデオ内視鏡システム」に適用可能でがんの検出や診断に有用な様々な生体内蛍光現象や蛍光プローブの探索を行います。
現在の内視鏡は、1cm~2cm程度のがんと疑われる組織の観察と同時に治療も行えることで低侵襲診断・治療に貢献していますが、より小さい2mmレベルの超早期段階で診断することで、他臓器やリンパ節への転移リスクの激減のほか、患者の生存率向上と低侵襲な治療が期待できます。
*1 自家蛍光: 生体組織に青い光を当てると、緑から赤にかけての微弱な光を発光する現象。生体が本来持っている蛍光成分による。
*2 蛍光プローブ: 検出したい対象物質と相互作用するような物質を蛍光色素に細工したもの。対象物質の存在を確認することができる。
開発する要素技術の概要
1.  ナノテクノロジー技術を応用し、複数の微弱な蛍光波長を分光する可変フィルターを組み込んだ「超小型分光イメージング装置」
2. 先端部に「超小型分光イメージング装置」を搭載した内視鏡と各種の波長帯の光を照射する光源装置を備えた「分光ビデオ内視鏡システム」
3. 2mmの大きさのがんを「分光ビデオ内視鏡システム」で検出できる蛍光プローブの探索
出典:「癌の自然史、現代病理学大系9c腫瘍 III(中山書店)」 藤田晢也著掲載の図に加筆
出典:「癌の自然史、現代病理学大系9c腫瘍 III(中山書店)」 藤田晢也著掲載の図に加筆
上図は、大腸粘膜にできるがん細胞の発生から時間の経過とともに、がんの細胞数や大きさが変化していく様子を示しています。この図からすれば、従来は、がん細胞発生から15年~25年経過したがん組織を内視鏡、病理検査で診断していると予測されますが、本技術により、発生から1~4年しか経過していない超早期段階の大きさ2mmレベルのがんの検出を狙います。
2004年10月1日より、オリンパス株式会社の医療事業は、オリンパスメディカルシステムズ株式会社として分社いたしました。
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