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2006年5月16日

オリンパス、1分子蛍光分析システム「MF20」専用試薬ピンポイントタンパク質蛍光標識キット

「In vitro Pin-point Fluorescence Labeling Kit
(インビトロ  ピンポイント フローレセンス ラベリングキット) 543」発売

世界初、タンパク質の特定の部位に1分子の蛍光標識を付けられる試薬キット

ピンポイントタンパク質蛍光標識キット 1分子蛍光分析システム「MF20」

ピンポイントタンパク質蛍光標識キット
「In vitro Pin-point Fluorescence Labeling Kit 543」

1分子蛍光分析システム「MF20」

オリンパス株式会社(社長:菊川 剛、以下オリンパス)は、1分子蛍光分析システム「MF20」の専用試薬、ピンポイントタンパク質蛍光標識キット「In vitro Pin-point Fluorescence Labeling Kit 543」を2006年5月17日から国内で販売を開始します。本試薬は、標的とするタンパク質の中の特定の部位にピンポイントで1蛍光分子を付けられるもので、世界で初めて製品化されました。本試薬によりタンパク質の本来の機能を損なわずに蛍光標識して分析を行うことが可能になり、分析結果の信頼性の向上に貢献します。オリンパスの「MF20」と組み合わせることで、タンパク質同士、またはタンパク質とDNAなどの相互作用の解析に威力を発揮します。主に創薬企業をはじめ、大学、研究機関をターゲットに販売を開始します。

2006年3月末時点、研究用試薬分野において。オリンパス調べ。

なお、「ピンポイントタンパク質蛍光標識キット」は5月17日(水)~19日(金)東京ビックサイトで開かれる「第5回国際バイオEXPO」にパネル展示します。

製品名 発売日
ピンポイントタンパク質蛍光標識キット
「In vitro Pin-point Fluorescence Labeling Kit 543」
2006年5月17日

主な特長の概要

タンパク質の中の特定の部位に1蛍光分子を付けることが可能になり、解析結果の信頼性が向上

市場導入の背景

ヒトゲノムプロジェクトの成果によって多くの遺伝子についての解析が進みつつあります。そして現在の生命科学の先端研究分野では、それらの遺伝子の働きを調べることによって病気の仕組みを解明したり、薬の効きやすさを調べたりする研究が行われています。中でも遺伝子の産物であるタンパク質の生体内での働きの解明や、病気が発症する仕組みの解明にもつながるタンパク質同士や、タンパク質とDNAの相互作用の分析など、タンパク質の研究に注目が集まっています。

オリンパスでは、これらの相互作用を解析するのに有効な1分子蛍光分析システム「MF20」を2002年に発売しました。タンパク質相互作用の解析にあたっては、一方のタンパク質に蛍光標識を付ける必要があります。今までは、化学反応によって蛍光分子をタンパク質に付ける蛍光標識もしくは、蛍光タンパク質を目的のタンパク質に融合させる蛍光標識が主流でしたが、これらの方法では、タンパク質本来の機能を失う可能性があるなどの課題がありました。

2003年よりオリンパスと株式会社プロテイン・エクスプレス(本社:千葉県銚子市、社長:大滝義博)は北陸先端科学技術大学院大学の芳坂貴弘助教授らが発明した技術を応用して、今までのタンパク質の蛍光標識での課題を解決すべく、試薬キットの開発を行って参りました。そしてこの春、タンパク質の中の特定の部位に1蛍光分子を付けることが可能なピンポイントタンパク質蛍光標識キット「In vitro Pin-point Fluorescence Labeling Kit 543」を世界で初めて製品化し、オリンパスより発売することとなりました。このキットの使用により、タンパク質の本来の機能を損なわずに蛍光標識を行うことが可能になることから、タンパク質解析の信頼性が向上し、より正確なタンパク質相互作用の評価が得られるようになりました。

主な特長の詳細

タンパク質の中の特定の部位に蛍光色素1分子を付けることが可能になり、解析結果の信頼性が向上

本試薬キットでは、蛍光標識アミノ酸を結合させた4塩基コドン認識tRNAを用いて、無細胞翻訳系において蛍光標識されたタンパク質を合成することができます。この際、4塩基コドンを含む配列を発現遺伝子に付加することで、タンパク質の中の特定の部位にピンポイントで蛍光色素1分子を付けることが可能です。

従来の化学反応や蛍光タンパク質との融合による蛍光標識では、タンパク質の機能に影響を及ぼす恐れがありました。本キットではタンパク質の本来の機能を損なわずに解析を行うことが可能になります。

タンパク質蛍光標識の方法とメリット/デメリット
方法 メリット デメリット
化学反応 ・多種の試薬キットが市販されている
・作業が比較的簡単
・1つのタンパク質に複数の蛍光分子が付くことが多い
・蛍光色素の結合する位置が制御できず、タンパク質の中の重要な部位に蛍光分子が付く可能性がある
⇒タンパク質の機能に悪影響を及ぼす恐れがある
蛍光タンパク質との融合 ・1つのタンパク質に1つの蛍光タンパク質を付けることができる ・結合位置がタンパク質の末端に限られる
・蛍光タンパク質のサイズが大きい
⇒タンパク質の機能に影響を及ぼす恐れがある
ピンポイントタンパク質蛍光標識キット
「In vitro Pin-point Fluorescence Labeling Kit 543」
・タンパク質の特定部位にピンポイントで1蛍光分子を付けることができる
⇒タンパク質本来の機能を保持できる
・大量合成には若干不向きである。
⇒「MF20」で解析を行う場合、少量の蛍光標識タンパク質で行えるため特に問題がない

1分子蛍光分析システム「MF20」の概要

「MF20」はオリンパス独自の1分子蛍光分析法を採用した、分子間相互作用解析システムです。蛍光相関分光法(分子の大きさの変化で解析)、蛍光強度分布解析法(分子の明るさの変化で解析)、蛍光偏光解析法(分子の蛍光偏光度の変化で解析)という3種類の方法により分子間の相互作用を解析します。生体内に近い環境下で、精度の高い効率的な解析が可能です。

それぞれの役割

オリンパス株式会社
本試薬の製品化に向けた共同開発と販売を担当

株式会社プロテイン・エクスプレス
本試薬の製品化に向けた共同開発と製造を担当

北陸先端科学技術大学院大学 芳坂貴弘助教授
本試薬に使用している基礎技術を発明し、製品化のための技術開発を担当

ピンポイントタンパク質蛍光標識キット「In vitro Pin-point Fluorescence Labeling Kit 543」と1分子蛍光分析システム「MF20」を使った主なアプリケーション

  • タンパク質×タンパク質の相互作用の解析
  • 転写因子(タンパク質)など×DNAの相互作用の解析
  • 抗原×抗体(タンパク質)の相互作用の解析
  • 薬剤候補や阻害剤のスクリーニング   など

株式会社プロテイン・エクスプレス 会社概要

住所: 〒288-0041 千葉県銚子市中央町2-11
社長: 大滝 義博
設立: 2000年10月18日
事業内容: 遺伝子を発現しタンパク質を効率よく生産する遺伝子組換え技術を基盤とし、ゲノム創薬開発型ベンチャーとして創薬シード開発を事業の柱としています。
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