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2006年5月19日

オリンパス、細胞へのダメージが少ない発光イメージングシステム

「LUMINOVIEW[ルミノビュー](LV100)」発売

~生命科学の解明、創薬研究向けに新イメージングシステムを提供~

オリンパス株式会社(社長:菊川 剛)は、生きた個々の細胞から発せられる微弱な光を画像化する、高感度な発光イメージングシステム※1「LUMINOVIEW (LV100)」の特別注文販売を5月22日から国内で開始します。本システムは、個々の細胞の発光量に加え、形態、位置などの情報を、画像、数値の両方で得ることが可能になりました。また、数日から数週間までの長期的な遺伝子発現※2の変化をモニタリングすることが可能です。当社は、本システムの販売のみならず、バイオ分野における様々な装置、アプリケーションを提供することで、生命科学の解明、創薬研究、そして再生医療の研究など、次世代医療に向けた最先端研究へ貢献していきます。

※本システムは2005年12月5日に発表した「発光イメージング技術」を応用し、製品化したものです。

※1 発光検出により、細胞内でおきる生命現象を個々の細胞レベルで解析できる顕微鏡。
※2 遺伝子情報が、細胞における構造および機能に変換される過程。遺伝情報に基づいてメッセンジャーRNAおよびタンパク質が合成されることを指す。

なお、「LUMINOVIEW (LV100)」は6月18日(日)~23日(金)に国立京都国際会館で開催される「第20回国際生化学・分子生物学会議/第11回アジア・オセアニア生化学者・分子生物学者連合会議」(事務局長:谷口直之 大阪大学大学院医学系研究科生体制御医学専攻生化学分子生物学講座・教授)に展示いたします。

製品名 受注開始日
発光イメージングシステム「LUMINOVIEW (LV100)」 2006年5月22日

主な特徴の概要

  1. 個々の細胞の発光イメージング測定を実現
  2. オリンパス独自の明るい光学系の採用により、微弱な光でも鮮明な画像を取得可能
  3. 長期連続観察・定量性に優れたシステムを実現

導入の背景

ヒトゲノムプロジェクトの成果により、多くの遺伝子についての解明が進みつつあります。そして現在の生命科学の先端研究分野では、発光検出及び蛍光検出を介して遺伝子の発現調節を画像化することで、例えば、ある状態の細胞に、どのような因子や薬剤が作用し、どのような遺伝子が発現してくるのかなどを研究する段階に来ています。この研究は、生命科学のメカニズムを知る上で重要な手がかりとなります。

従来の発光計測装置では、細胞群全体の遺伝子の発光量(発現情報)を、数値でしか得ることができませんでした。顕微鏡を組み込んだ本システムでは、画像を使って観察が行えるので、個々の細胞の発光量に加えて、形態、位置などの情報を、画像、数値の両方で得ることが可能になりました。また、数日から数週間までの長期的な遺伝子発現の変化をモニタリングすることが可能です。

これまでもオリンパスは、生細胞を三次元で観察することが可能な共焦点レーザー走査型顕微鏡「FV1000」や、小動物の胃や心臓などを生きたまま観察することができるin vivoレーザー走査型顕微鏡「IV100」、小動物全体のマクロ観察から細胞レベルの極小部位の観察まで行える生体観察システム「OV100」などをライフサイエンス分野向けに開発してまいりました。このたび発光イメージングシステム「LUMINOVIEW (LV100)」の発売により、イメージング装置の更なるラインナップ拡充します。また、装置の販売のみならず、様々なアプリケーションを提供することで、顧客の多様なニーズへ対応し、生命科学の解明、創薬研究、そして再生医療の研究など、次世代医療に向けた最先端研究へ貢献していきます。

主な特徴の詳細

  1. 個々の細胞の発光イメージング測定を実現
    従来技術のように細胞群全体の合計値測定ではなく、個々の細胞の発光量変動を画像とともに捉えます。遺伝子発現した個々の細胞の形態画像や発光量、発現のタイミングや位置情報など、詳細なデータを得ることができます。
  2. オリンパス独自の明るい光学系の採用により、微弱な光でも鮮明な画像を取得可能
    従来の発光取得技術では、微弱な発光を画像化するには、数分から数十分の測定時間がかかり、かつ複雑な機材の組み合わせを必要としていました。本装置では、オリンパス独自の明るい光学系に高感度冷却CCDカメラを搭載することにより、微弱な発光を高感度で捉えることを可能にしました。これにより、露光時間を最小限に抑え、鮮明な画像を取得することができます。
  3. 長期連続観察・定量性に優れたシステムを実現
    蛍光イメージングとは異なり、励起光※1を必要としないため、細胞へダメージを与えることなく観察できます。自家蛍光※2や励起光強度のバラツキ、蛍光褪色※3などの影響を受けないため、背景が暗く、定量性に優れた高S/N※4な画像を得ることができます。さらに、CO2インキュベータ※5内と同様の安定した培養環境下で、数日から数週間といった長期的な遺伝子発現変動をモニタリングすることができます。薬効や副作用だけでなく、老化や眠りなどのゆるやかな反応、発現量が低く感度を必要とする発現解析に最適です。
※1 蛍光観察を行う際に、観察したい対象物に対して照射する光。
※2 生体組織に光を当てると、生体が本来持っている蛍光成分により、微弱な光を発光する現象。
※3 蛍光観察は励起光を照射する必要があるため、発光観察と比較して一般的に褪色が早い。
※4 S/Nとは、信号とノイズの比率。S/Nが高いと鮮明な画像になる。
※5 細胞に最適な環境を提供する細胞培養装置。

発光イメージングシステム「LUMINOVIEW (LV100)」のアプリケーション

  • テトラサイクリンによるルシフェラーゼ遺伝子の転写誘導を可視化
  • ルシフェラーゼ遺伝子を指標にしたHSP70遺伝子プロモータアッセイ
  • c-fosプロモーター/ルシフェラーゼ発現の発光イメージング
  • 発光イメージングによるオルガネラターゲティング

主な仕様

観察方法 発光イメージング観察、透過明視野観察、簡易・透過蛍光観察
冷却CCDカメラ部 ORCA® -AG 他・選択可
対物レンズ 20倍、他・選択可
細胞培養部 温度コントローラ付CO2インキュベータ
サンプル容器 35mmディッシュ対応
制御部


PC MetaPrecision470CPU
Xeon2.8GHz 1GBメモリ
1stHDD80GB, 2nd250GB
DVD+/-RW
モニタ 19型TFT液晶モニタ
ソフト部 MetaMorph、他
外形寸法 約1400mm(W)×700(D)×700(H)
電源容量 本体部 (インキュベータ部)100-120/220-240V~,3.5A/1.5A
(電動コントローラ部)100-240V,2.0A
制御部 (PC)110/220V,6.0/3.0A
(モニタ)100-240V,1.5A
重量 約40Kg
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