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2006年8月9日

脳神経分野向け

オリンパス、走査型多光子レーザ顕微鏡「FV1000-MPE」を発売

深部までの観察を実現し、生体内観察や分厚いスライス標本の観察に最適

走査型多光子レーザ顕微鏡「FV1000-MPE」

走査型多光子レーザ顕微鏡「FV1000-MPE」
(BX61WI とAOM/XYムーバセット)

オリンパス株式会社(社長:菊川 剛)は、走査型多光子レーザ顕微鏡「FV1000-MPE」を10月初旬から発売します。「FV1000-MPE」は2光子励起顕微鏡の原理を採用し、従来の共焦点レーザ顕微鏡では観ることができないサンプル深部までの観察を可能にします。当社は、本システムの販売のみならず、様々なアプリケーションを提供することで、脳神経分野をはじめ、次世代医療に向けた最先端研究へ貢献していきます。

発売の概要

製品名 発売日
走査型多光子レーザ顕微鏡「FV1000-MPE」 2006年10月初旬

主な特長の概要

  1. より深部までのイメージングを必要とするin vivo観察に最適
  2. 共焦点観察と同等な光学断層像を取得可能
  3. 焦点面のみの励起により、蛍光褪色を軽減
  4. 長波長レーザでサンプルへのダメージを軽減

開発の背景

生命科学の先端研究分野では脳メカニズムの解明、生命現象の解明にとどまらず、疾患の治療に活かすことを目的とした研究が増えつつあります。それに伴いin vivo(生体内)での深部観察の要求が高まっています。「FV1000-MPE」では2光子励起顕微鏡の原理を採用し、従来の共焦点レーザ顕微鏡では観ることのできない深部までの観察を可能にします。これにより、特に脳神経分野へのアプリケーションが広がります。

これまでもオリンパスは、生細胞を三次元で観察することが可能な共焦点レーザ走査型顕微鏡「FV1000」や、小動物の胃や心臓などを生きたまま観察することができるin vivoレーザ走査型顕微鏡「IV100」、小動物を全体のマクロ観察から細胞レベルの極小部位の観察まで行える生体観察システム「OV100」、個々の細胞の発光量変動を画像とともに捉えることができる発光イメージングシステム「LUMINOVIEW (LV100)」、インキュベーションイメージングシステム「LCV100」などをライフサイエンス分野向けに開発してまいりました。このたび「FV1000-MPE」の発売により、イメージング装置のラインナップを更に拡充します。また、装置の販売のみならず、様々なアプリケーションを提供することで、顧客の多様なニーズへ対応し、次世代医療に向けた最先端研究へ貢献していきます。

*「FV1000-MPE」は「FV1000」などを含む走査型レーザ顕微鏡FLUOVIEWシリーズの多光子励起機種です。

主な特長の詳細

  1. より深部までのイメージングを必要とするin vivo観察に最適
    組織透過性に優れた長波長レーザ(近赤外光)を使用しているため、従来の共焦点レーザ顕微鏡では観ることができなかった生体サンプルの深部まで、3次元で観察・刺激ができるようになりました。in vivo(生体内)観察や、分厚い脳スライス標本の深部観察に最適です。(図1参照)
  2. 共焦点観察と同等な光学断層像を取得可能
    共焦点観察ではピンホールを使うことにより、焦点面以外の光をひろって像がぼやけるのを防ぎますが、FV1000-MPEでは、励起波長のほぼ2倍の波長を持つ長波長のレーザ光を高密度で照射することにより、焦点面でのみ蛍光分子を励起することができ、ピンホールなしで共焦点観察と同等の光学断層像を得ることができます。(図2参照)
  3. 焦点面のみの励起により、蛍光褪色を軽減
    2光子励起法において、レーザ光は焦点で局所的に蛍光分子を励起するため、焦点面以外では蛍光分子が褪色することがありません。蛍光褪色の少ないイメージングが可能です。(図2参照)
  4. 図1 図2
    図1 図2
  5. 長波長レーザでサンプルへのダメージを軽減
    長波長レーザ(近赤外光)は可視光や紫外光と比較して光毒性が少ないため、サンプルや蛍光色素へのダメージが軽減できます。

「FV1000-MPE」を使った主なアプリケーション

  • ● 脳・神経研究分野
  • in vivoで数百μmの深部観察に最適
  • 2光子によるイメージングと光刺激との同期化

主な仕様

  Basic Set AOM Set Twin Scanner Set
1光子用レーザユニット 可視光レーザ ・マルチアルゴンレーザ(457, 488, 515/30mW)、HeNeG レーザ(543nm/1mW)、HeNeR レーザ(633nm/10mW)
・調光方式:AOTF による連続可変(0.1~ 100%、0.1% ステップ)
・動作モード: 帰線期間レーザオフ、及び任意領域のレーザパワーの調節、レーザ波長の選択が可能
AOTF レーザコンバイナ ・可視域の各レーザに対し光量調整、シャッタ制御
・シングルモードファイバによりスキャナと接続
・レーザ光量の時間変化抑制の為のレーザフィードバック機構内蔵
2光子用レーザユニット 2光子用近赤外パルスレーザ ・モードロックチタンサファイアレーザ(フェムト秒) 、可変波長は「組み合わせ可能レーザ」の表を参照
MaiTai(Spectra-Physics社製)またはChameleon (COHERENT社製)
・オリンパス製 2光子用近赤外パルスレーザ導入光学系によりスキャナとダイレクトに接続
・2光子用近赤外パルスレーザ電源ユニット、水冷循環式チラー
導入光学系 ・2光子用近赤外パルスレーザをスキャンユニットに導入
・レーザ安全用保護カバーによるレーザ安全対策の施行
制御方式 λ/2板グラントムソン
プリズム
AOM AOM×2
スキャンユニット 基本構成 ・検出器: 蛍光検出用(フォトマルチプライア) 3CH、透過検出用(フォトマルチプライア)1CH
・レーザポート: 可視光レーザポート(ファイバ導入)、2光子用近赤外パルスレーザポート(ダイレクト導入)
・励起用ダイクロイックミラー、2光子励起用ダイクロイックミラー、蛍光ダイクロイックミラー、吸収フィルタ
近赤外カットフィルタ: 高性能フィルタを使用
・蛍光検出器はフィルタタイプと分光タイプの2種類から選択
分光タイプ: Ch1、Ch2 に独立した回折格子、スリットを配置
波長選択範囲:1 ~ 100nm、波長分解能: 2nm、波長変更速度: 100nm/m秒
走査方式 ・ガルバノメータスキャナミラー2基による光偏向方式
走査モード ・画素数:64×64 ~ 4096×4096pixel
・走査速度: (Pixel時間):2μs~ 5μs
・高速走査モード: 16枚/秒(256×256)
・次元:時間、Z、(波長)(組み合わせ自由)・ラインスキャン:直線(回転含む) 、フリーライン、ポイントスキャン
受光方式 アナログ積算
ピンホール 各CH共通で1基 0.5μm毎の可変
視野数 18
ズームサイズ 1-50×(0.1× ステップ可変)
2光子専用検出器 ・外部検出器: フォトマルチプライア 2CH
ツインスキャナユニット 1光子専用(オプション) 1光子専用(オプション) 2光子専用
防振台 ・2光子用近赤外パルスレーザ用大型防振台
顕微鏡 電動顕微鏡 ・正立顕型微鏡BX61WI、倒立型顕微鏡IX81から選択可能
詳細は「組み合わせ可能顕微鏡」の表を参照
制御装置 ・OS:Windows XP Professional (英語版)
・CPU: Pentium IV 3.2GHz以上
・メモリ: 2.0GB以上
・ハードディスク: 120GB以上
・専用I/Fボード:PC に内蔵・グラフィックボード: OPEN GL準拠・記録媒体:DVD デュアルドライブ内蔵
・モニタ:SGXA 1280×1024 19型モニタ×2
ソフトウエア FV10-ASW
必須設置環境 室温:20℃~25℃±1℃ 、湿度:60% 以下、ダストレベル: クラス10000、24時間通電が必要

組み合わせ可能顕微鏡

導入光学系 顕微鏡
BX61WI IX81
Basic  
Basic/XYムーバ  
AOM
AOM/XYムーバ  
TwinScanner(AOM×2)  
組み合わせ可能レーザ
メーカ 機種 対応波長
Spectra-Physics MaiTai XF-1 710-920 nm
MaiTai XF-950 710-950 nm
MaiTai BB 710-990 nm
MaiTai HP 690-1020 nm
COHERENT Chameleon 210 720-950 nm
Chameleon XR 705-980 nm
Chameleon Ultra 680-1040 nm

レーザ光について:本製品はJIS企画のクラス4レーザに相当します。レーザの直射光やその反射光を見たり、触れたりしないように注意し、警告ラベルの内容に沿った安全対策をとって下さい。レーザ光は赤外光ですので、目には見えません。レーザの発振の際には特にご注意ください。

FV1000-MPEは、カール・ツァイス・マイクロイメージング社(ドイツ)とコーネル大学(米国)からの多光子励起法ライセンス許諾に基づき、製品化しました。

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