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2007年5月31日

独立行政法人理化学研究所
オリンパス株式会社

「理研BSI -オリンパス連携センター」を開設

~バイオイメージングに関する共同研究開発拠点~

「走査型多光子レーザ顕微鏡」 「インキュベーションイメージングシステム」

「走査型多光子レーザ顕微鏡」

「インキュベーションイメージングシステム」

独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)とオリンパス株式会社(菊川剛代表取締役社長)は、理研脳科学総合研究センター(RIKEN Brain Science Institute: 理研BSI、甘利俊一センター長)に、最先端のバイオイメージング装置を備えた共同研究開発拠点「理研BSI-オリンパス連携センター」を6月1日、開設します。

新連携センターは、理研とオリンパスとが互いに持つ研究資源を享受し合い、中・長期的な視野で次世代の研究領域を育成していく場です。理研からは研究者と技術者が行き交う研究・開発のための“活動の場”を提供し、オリンパスからは最先端の光学機器の設置、技術者の派遣等を行い、「技術開発」、「研究支援」、「利用普及・技術移転(教育・訓練)」の3点を柱に、活動を行っていきます。

連携センターは、2007年に2月に新しく理研で制度化された「産業界との連携センター制度」に基づき設置した、理研内で初めて企業の名称を付した組織となります。

1.背 景

理化学研究所は、理研が持つさまざまな研究資源を積極的に社会へ還元するため、理研で得た基礎科学分野における成果を、陸上競技の“バトン”に例え、理研及び企業が互いに併走し合い、バトンを渡す「バトンゾーン」を念頭に置いた新しい制度づくりを目指しています。また、脳科学総合研究センターでは、脳科学研究における最先端研究に耐えうる、観察・解析手法の開発が必要不可欠で、企業との連携を積極的に推し進めようとしています。

オリンパスは、ライフサイエンスにおける基礎研究分野において、顕微鏡に代表される光学機器を開発し、第一線の研究現場で研究者を支援してきた国内有数の光学機器メーカーです。ライフサイエンス分野においては、研究者ひいては社会が求めるソリューションに対し、同社の持つ独創力、最先端技術によって、信頼性の高い商品、サービスを提供し、最先端研究を切り拓くイノベーションにつなげていくことを目指しています。

脳科学総合研究センターとオリンパスの両者は今日まで、同センターの細胞機能探索技術開発チーム(宮脇敦史チームリーダー)を中心に、蛍光タンパク質を用いたバイオイメージングシステムの高度化に関する共同研究を進めてきています。今回、バイオイメージング分野で、より強固な関係を築き、新たなイノベーションのための拠点を連携して設置することを目指し、連携センター設置のための協議を進めてきました。

2.産業界との連携センター制度

「産業界との連携センター制度」は、企業からの提案を基に、理研の各センター内に「連携センター」を設置し、中・長期的な課題を実施する産業界との包括的な連携の場を提供するため2007年2月に新しく整備された制度です。「理研BSI-オリンパス連携センター」は、その第1号となるものです。「産業界との連携センター制度」は、これまで理研が実施してきた、企業が主体に具体的な研究目標を設定する「産業界との融合的連携研究プログラム」などの制度とは異なり、中・長期スパンで目標設定を行える点、企業名を冠することができる点が特徴となっています。

この取り組みにより理研は、産業界との連携をさらに発展させ、理研と企業が共同で新分野を切り開く研究領域を育成し、理研と企業双方の文化を吸収した人材の育成を目指します。

産業界との連携センター制度

3.理研BSI-オリンパス連携センター の概要

「産業界との連携センター制度」に基づき初めて設置される連携センターで、6月1日に開設されます。連携センターの業務の大きな柱は、「技術開発」、「研究支援」、「利用普及・技術移転(教育・訓練)」の3点です。連携センター長には、脳科学総合研究センターの研究支援部門であるリサーチリソースセンターの板倉智敏グループディレクターが、副連携センター長には同センターの技術開発部門である先端技術開発グループの宮脇敦史グループディレクターが就任(兼任)するほか、オリンパスからは技術者が2名派遣される予定。開設期間は、当面3年間として、内部評価を行った上で延長することとします。

(1)組織名
理研BSI-オリンパス連携センター(略称:理研BOCC)
(RIKEN BSI-OLYMPUS Collaboration Center)

(2)所在地
理化学研究所脳科学総合研究センター (埼玉県和光市広沢2番1号)
脳科学中央研究棟3階(延床面積:180m2

(3)業務内容

  1. 技術開発
    共有可能な光学機器(関連周辺機器を含む)及び関連技術の開発を行うとともに、オリンパスで開発された試作機等の評価等を行います。
  2. 研究支援
    バイオイメージングに関する光学機器を設置するとともに、試料作製、イメージング操作・観察に関して支援を行います。
  3. 利用普及・技術移転(教育・訓練)
    研修、ワークショップ、所内外向けのシンポジウム、成果発表会などを通して、バイオイメージングに関する利用の普及・技術移転(教育・訓練)を行うとともに、研究者間及び技術者間のネットワークを構築します。

(4)主な設置機器(オリンパスより貸与)

  1. 走査型多光子レーザ顕微鏡「FV 1000-MPE」  
    ※マウス個体の脳を対象とするイメージング
  2. 共焦点レーザ走査型顕微鏡「FLUOVIEW FV1000-D」
    ※培養細胞を対象とするイメージング
  3. ライブセルイメージングシステム「ZDC-IMAGE」
    ※多次元タイムラプスイメージング
  4. インキュベーションイメージングシステム「LCV 100」
    ※安定環境下であるインキュベータ内でのタイムラプスイメージング
  5. 解析用ソフトウエア

4.各社概要

  1. 独立行政法人理化学研究所
    独立行政法人理化学研究所は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する試験及び研究等の業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めています。研究成果を社会に普及させるため、大学や企業との連携による共同研究、受託研究等を実施しているほか、知的財産権等の産業界への技術移転を積極的にすすめています。
  2. オリンパス株式会社
    オリンパス株式会社(本社:東京都新宿区)は、1919年に設立され、胃カメラやハーフサイズカメラなど独創的な製品を製造・販売してきました。現在は伝統的な光学技術と最新のデジタル技術を融合させた「Opto-Digital Technology」を技術基盤に、グローバルに医療・健康、映像・情報、工業関連、情報通信分野等で機器製造販売を手掛けています。代表的製品には世界シェア約7割を持つ医療用内視鏡の他、デジタルカメラや録音機、顕微鏡、血液分析装置などがあり、2007年3月期決算で連結売上1兆円を越えました。近年では、バイオや再生医療など次世代医療を目指したライフサイエンス事業にも注力しています。
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