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2007年9月19日

生体内に近い環境下で分子間相互作用の解析が可能な

普及型1分子蛍光分析システム
「FluoroPoint - Light(フルオロポイント-ライト)」発売

コストパフォーマンスに優れ、FCS解析で機能性RNA研究や核酸医薬開発の発展に貢献

普及型1分子蛍光分析システム「FluoroPoint - Light」

普及型1分子蛍光分析システム「FluoroPoint - Light」

オリンパス株式会社(社長:菊川 剛)は、生体内に近い環境下で分子間相互作用の解析が可能な1分子蛍光分析システム「FluoroPoint-Light」を、2008年1月から国内で発売し、順次海外でも販売開始いたします。本製品は2002年8月に発売した「MF20」に続く普及型システムで、ご好評頂いている当社の1分子蛍光分析技術※1を用いながら、ニーズの高い蛍光相関分光法(FCS)※2の機能に特化したことで優れたコストパフォーマンスを実現しています。本製品の導入により同システム製品のラインアップ化が進み、これまでも高い評価を頂いていた核酸-タンパクの相互作用解析はもとより、従来法では難しかったmicroRNAやsiRNA※3の機能解析を容易とする1分子蛍光分析システムの普及を目指し、近年急速に期待の高まりつつある核酸医薬などの研究開発の発展にも貢献してまいります。

なお、「FluoroPoint-Light」は2007年11月20日(火)~22日(木)にグランドプリンスホテル新高輪(東京)で開催される「第37回日本免疫学会総会・学術集会」(会長:斉藤 隆 理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター)および同年12月11日(火)~15(土)にパシフィコ横浜で開催される「第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会 合同大会」(年会長:山本 雅 東京大学医科学研究所、会頭:清水 孝雄 東京大学大学院医学系研究科)に展示いたします。

製品名 発売時期
1分子蛍光分析システム 「FluoroPoint - Light」 2008年1月

主な特長の概要

1.生体内に近い環境下で高感度計測を実現
  1. 2.蛍光相関分光法(FCS)に機能特化したことで優れたコストパフォーマンスを実現
  2. 3.大量の検体をスピーディかつ低ランニングコストで解析
※1  1分子蛍光分析技術 共焦点レーザ光学系により約1フェムトリットル(1000兆分の1リットル)という超微小領域中で生体構成分子の挙動を捉え、生体内に近い環境下(溶液中)で1分子レベルの計測を行う当社独自の分子間相互作用解析技術。
※2  蛍光相関分光法 (Fluorescence Correlation Spectroscopy :FCS):蛍光の測定により、分子の大きさを解析する方法。
※3  RNA(リボ核酸) DNAの持つ遺伝情報を伝えたり実行したりする核酸の一種。RNAは多種多様で、その多くは未だ機能が解明されていないが、最近ではタンパク質の合成とは無関係なノンコーディングRNA(non-coding RNA :ncRNA)の存在が広く知られている。その中で標的とする遺伝子の発現を抑制しタンパク質の生成を邪魔するRNA干渉(RNA interference:RNAi)という現象が注目されてきており、これを応用したDNAやRNAから生成する核酸医薬が抗体医薬に次ぐ次世代医薬品として期待されている。特に、遺伝子の発現調節をしているmicroRNA (miRNA)や、異常な働きをする遺伝子を効率良く抑制する“小さな2本鎖RNA”(short interference RNA:siRNA)の機能解明が切望されている。

市場導入の背景

ポストゲノム研究で進展したタンパク質機能解析により、生命現象で特有の役割を果たしたり病気の原因となったりするタンパク質が次々と発見されています。さらに最近では、遺伝子からタンパク質を合成する際にDNA情報の仲介役と考えられてきた「RNA」にも注目が集まっています。これらの物質の機能を知るために重要な手段となり得る生体分子の相互作用解析は、多くの研究者や企業からの需要が高まっていますが、装置が高価であったことから普及がなかなか進まないという課題がありました。本システムの採用する1分子蛍光分析技術は、従来法では検出が難しかったmicro RNA やsiRNAなどの小さな2本鎖RNAの機能解析も生体内に近い環境下で可能であり、近年急速に進展しているRNA研究分野でもその有効性が認知されつつあります。その中で、特にニーズの高い蛍光相関分光法(FCS)をリーズナブルな価格で行える1分子蛍光分析装置が求められており、本製品はそれに応える形でFCSに特化し優れたコストパフォーマンスを実現しています。オリンパスは本製品の導入により、FCSを用いた1分子蛍光分析技術の普及を後押しし、従来からのタンパク-タンパク、核酸-タンパクの相互作用解析の応用範囲を拡げることで、RNA研究や核酸医薬開発から食品分析、化粧品などさまざまな分野での研究の発展に貢献してまいります。

主な特長の詳細

1.生体内に近い環境下で高感度計測を実現

当社の1分子蛍光分析システムは、従来法で必要なサンプルの固定が不要で、分子が自由に活動できる溶液中で計測するので、分子間の相互作用を生体内に近い環境下で計測することが可能です。これにより、従来法では難しかったmicro RNA やsiRNAなどの小さな2本鎖RNA の構造を壊すことなく相互作用解析が可能です。また、共焦点レーザ光学技術により、約1フェムトリットル(1000兆分の1リットル)という超微小領域中で1分子レベルの挙動を捉え、高感度な計測を実現しています。

2.蛍光相関分光法(FCS)に機能特化し優れたコストパフォーマンスを実現

FCSは共焦点レーザを用い、約1フェムトリットルという超微小領域を通過する分子の発する蛍光のみを検出し、蛍光の揺らぎによって分子の大きさを測定する方法です。小さな分子は動きが速いため蛍光の振れ幅が大きくなり、大きな分子は動きが遅いため蛍光の振れ幅は小さくなります。これを検出すれば、タンパク質や核酸などの分子間の相互作用を解析することができます。「FluoroPoint-Light」ではニーズの高いFCSに特化することによって、優れたコストパフォーマンスを実現しています。

3.大量の検体をスピーディかつ低ランニングコストで解析

当社の1分子蛍光分析システムが採用する共焦点レーザ光学技術により、1検体あたり0.5秒から30秒程度で計測が完了します。マイクロプレートの使用により、384もの検体を一度にセットすることが可能なため、大量のサンプルの短時間での解析を実現しています。またサンプルの固定や解析前の精製、洗浄なども不要で、作業時間が大幅に短縮されます。さらに、前処理が簡単となったことで、従来法が数種類の消耗品を必要とするのに対し、当社の1分子蛍光分析システムでは専用のマイクロプレートのみです。創薬ターゲット分子のスクリーニングなど大量のサンプルを解析する場合には、ランニングコストの優位性が大きく出ます。

主な仕様

解析手法 1分子蛍光分析(蛍光相関分光法)
測定データ 分子数、並進拡散時間、分子蛍光強度、総蛍光量
レーザ波長 543nm、633nm
計測時間 0.5~数十秒/ウェル
装置構成 装置本体、PC、モニタ
装置外観 本体卓上型:710(W)×445(H)×600(D)mm、PCは別体で設置
自動調整 対物レンズ水浸水自動供給、ソフトウェアによる光学系自動調整
システム総重量 約110Kg
設置スペース 1800(W)×700(H)×800(D)mm
(但し、保守スペースとして背面に300mm以上確保すること)
電源容量 15A(100V)
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