共焦点顕微鏡をベースとした超解像顕微鏡の開発者が
平成29年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞

2017年4月11日

オリンパス株式会社(社長:笹 宏行)は、生命現象の解明に貢献する超解像顕微鏡 の開発者が、「平成29年度 文部科学大臣表彰」において「科学技術賞」(開発部門)を受賞したことをお知らせします。

従来の理論限界値を上回る空間分解能を有する顕微鏡。

文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とする科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めています。(文部科学省ホームページより)

受賞者

国立大学法人東京大学 大学院理学系研究科 教授
国立研究開発法人理化学研究所 生命システム研究センター  チームリーダー  岡田康志

オリンパス株式会社 光学システム開発本部  林 真市、阿部 勝行

受賞発明技術の概要

顕微鏡で対象物を細かく観察できる能力は、空間分解能(くうかんぶんかいのう)※1 で表現されますが、一般的な光学顕微鏡は約200nm※2 が限界と言われています。今回開発した共焦点顕微鏡※3 をベースとしたスピニングディスク超解像顕微鏡法(SDSRM:Spinning Disk Super-Resolution Microscopy)は、超解像に最適な開口形状を有するディスクを高速回転させることにより、約100nmの空間分解能を、100分の1秒の時間分解能(じかんぶんかいのう)※4 で観察することを可能にします。また、これまでは困難であった、生きた細胞内で活発に動き回る細胞内小器官※5 の挙動を捉えることができるようになりました。これにより、生命現象の理解が飛躍的に進むことが期待されます。(2015年4月15日に理化学研究所と共同で発表)
当社は今後も光学顕微鏡を通して、医療・生命科学分野における研究開発に貢献していきます。

※1 2点間または2線間を見分ける能力。値が小さいほど空間分解能が高く、微細な画像の観測が可能

※2 1 nm(ナノメートル)は100万分の1ミリメートル

※3 焦点面のみを検出できる顕微鏡

※4 観測する画像に識別可能な変化を生じさせる最小の時間変化量。値が小さいほど時間分解能が高く、高速度で変化する画像の識別が可能

※5 細胞内に存在する、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリアなど一定の構造と機能を持つ複合体


図1 スピニングディスク超解像顕微鏡法の模式図

左: 光路の模式図。照明光(青)と試料からの光(緑)は、円盤の同一箇所を往復するため、共焦点効果が得られる。
右: 円盤の縞模様の模式図。超解像に最適な開口形状を有する。


図2 蛍光ビーズを用いた原理の確認実験

左: 従来の蛍光顕微鏡像
右: スピニングディスク超解像顕微鏡による画像(スケールバーは500nm)

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