オリンパス、国立がん研究センター中央病院ほか計8施設と共同研究実施内視鏡システム「EVIS X1」搭載技術「TXI」の大腸病変発見率向上への可能性

2025年7月25日


TXI イメージ図


(左)内視鏡システム EVIS X1 (システムセット例)
(右上)EVIS X1 ビデオシステムセンター OLYMPUS CV-1500
(右下)大腸ビデオスコープ OLYMPUS CF-EZ1500DL/I


オリンパス株式会社(以下、オリンパス)と国立がん研究センター中央病院ほか計8施設は、内視鏡システム「EVIS X1」の搭載技術「TXI(Texture and Color Enhancement Imaging:構造色彩強調機能)」を用いた観察法による大腸腫瘍性病変の発見技術の有効性を検証するため、前向き多施設共同ランダム化比較試験を行いました。

検証の結果、TXI観察法は通常光観察と比較して大腸ポリープやポリープの一種である平坦型病変の発見率が高いことが示唆されました。
平坦型病変は「見逃しがん」のリスクと考えられています。TXI観察法を用いた大腸内視鏡検査によって、大腸がんの見逃し予防に寄与することが期待されます。
また、早期大腸がんである腫瘍性病変の平均発見数に関しては、TXI観察法・通常光観察法ともに同等の高い病変発見能を示しました。
本研究結果は、消化器分野の国際的学術誌である「Gastroenterology」に掲載されました。

TXIの概要

がんなどの消化器疾患の診断・治療等に使用される内視鏡システム「EVIS X1」に搭載された独自技術の1つで、粘膜表面の構造や色調を強調することで
病変部の観察性能向上に寄与する機能。
TXIによって通常光観察下での粘膜表面の「構造」「色調」「明るさ」の3つの要素を最適化することで、通常光観察では見にくい画像上のわずかな色調や
構造の変化が内視鏡検査中にリアルタイムで強調され、胃がんや大腸がんなどの病変部の観察性能の向上に貢献することが期待されます。

背景

大腸がんは、国内がん死亡数第 2 位・罹患数第 1 位と、近年増加傾向にあります。早期がんや腫瘍性ポリープ※1 を大腸内視鏡で発見して切除することで、大腸がんによる死亡を大幅(53-68%)に減らせることが報告されています。※2 そのためには病変発見率の高い内視鏡検査を受けることが重要で、
特に、右側結腸の平坦型病変は「見逃しがん」のリスク因子であることも報告されています。そこでこの度、がん研究センター中央病院ほか計8施設に
おいて、大腸内視鏡検査におけるTXI観察法の有効性を前向き多施設共同ランダム化比較試験で検証しました。

※1 早期がんや前がん病変であり、切除する必要のあるポリープ

※2 参考文献:Zauber et al. N Engl J Med 2012, Nishihara et al. N Engl J Med 2014

試験の概要

・試験名:
 TXI観察の有効性を検証するための前向き多施設共同ランダム化比較試験
・登録期間:
 2023年5月~2023年10月
・登録症例:
 参加施設においてスクリーニング、便潜血陽性、大腸ポリープ切除後、消化管症状の精査などを目的に大腸内視鏡検査を受けた症例(計956名)
・主目的:
 大腸腫瘍性病変の発見におけるTXI観察法の有効性を通常光観察法と腫瘍性病変発見数を用いて比較して検証する
・副次的目的:
 大腸腺腫発見率、ポリープ発見率、平坦型病変発見率、Sessile serrated lesion(SSL)発見率
・参加施設(症例登録数順)
 国立がん研究センター中央病院(東京都)、筑波大学付属病院(茨城県)、国立がん研究センター東病院(千葉県)、静岡県立静岡がんセンター(静岡
 県)、昭和大学横浜市北部病院(神奈川県)、東京慈恵会医科大学付属病院(東京都)、群馬大学医学部付属病院(群馬県)、東邦大学医療センター大森
 病院(東京都)
・使用機器:
 内視鏡システム「EVIS X1」、大腸ビデオスコープ「CF-EZ1500DL/I」
・研究結果
 TXI観察法は通常光観察と比較して大腸ポリープやポリープの一種である平坦型病変の発見率が高いことが示唆されました。また、早期大腸がんである
 腫瘍性病変の平均発見数に関しては、TXI観察法・通常光観察法ともに同等の病変発見能を示しました。
 腫瘍性病変の発見数に差がなかった理由として、今回の試験を実施した8施設全てが最新の内視鏡システムを使用したことが考えられました。最新の
 内視鏡システムであるEVIS X1システムにはTXI含め複数の画像強調内視鏡技術が搭載されていますが、そのほかにも最新の内視鏡CF-EZ1500DL/Iを
 用いることで高画質化、焦点範囲の広い内視鏡画像を得ることが可能になりました。また、専用モニターを用いることで4K高画質化が可能になり、
 従来の通常光観察法でも、より鮮明な内視鏡画像を観察することが可能になり、従来の通常光観察法であっても高い腫瘍性病変発見率が示された
 可能性があります。
 試験の詳細に関しては、国立がん研究センターのプレスリリースをご参照ください。
 https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0725/index.html

論文の概要

・雑誌名:Gastroenterology※3
・タイトル:The efficacy of texture and color enhancement imaging (TXI) observation in the detection of colorectal lesions: a multicenter, randomized  controlled trial (deTXIon study)
・著者:  Naoya Toyoshima, Yasuhiko Mizuguchi, Yutaka Saito, et al

※3 1943年に創刊された米国消化器病学会による学会誌で、消化器分野で最も著名な学術誌の一つ。2024年のインパクトファクター(学術雑誌の質を計測する指標の一つ)は25.1で、「Gastroenterology & Hepatology」のカテゴリーに属する147誌中第5位。

豊嶋 直也先生(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科) コメント

大腸内視鏡検査においてポリープや病変の見逃しは、早期発見、低侵襲治療の機会を逃すのみならず、その後の大腸がん発生にも影響を与えます。大腸内視鏡検査の画像技術の向上などにより、より多くの腫瘍性病変が大腸内視鏡検査で発見されることで、大腸がんの死亡率が減少することが期待されます。内視鏡検査・治療技術の向上には日本が大きく貢献しており、国立がん研究センターでは今後も全国の内視鏡専門施設と協力し研究を進めてまいります。

高田 和明(オリンパスマーケティング株式会社 エンドスコピーマーケティング バイスプレジデント) コメント

今回の共同研究を通じて、EVIS X1に搭載されたTXIが内視鏡医療に貢献し得る可能性を示唆できたことを、大変光栄に思います。医療従事者の方々との
二人三脚で内視鏡医療の発展に寄与できることは私たちにとっても大きな喜びです。今後も私たちは、患者さんの安全や品質を第一とした技術開発を継続することで、がんをはじめとする消化器疾患の早期発見・早期診断・低侵襲治療に貢献し、世界中の人々の健康と安心、心の豊かさの実現を目指します。

オリンパスについて

オリンパスは「私たちの存在意義」として掲げる、世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現を目指しています。世界をリードするメドテックカンパニーとして、私たちは医療従事者の方々と共に、病変の早期発⾒、診断、そして低侵襲治療に役立つ革新的なソリューション・サービスの提供を通じて対象疾患における医療⽔準の向上に貢献してまいります。創業から100余年、オリンパスはこれからも世界中のお客様に最適な価値をもたらす製品を提供することで、社会への貢献を目指します。詳しくはオリンパスの公式サイト(www.olympus.co.jp)ならびにX(@Olympus_Corp_JP)をご覧ください。


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