中国の呼吸器専門医が語る内視鏡トレーニングセンター
「C-TEC」の価値とは?

オリンパスは世界各国に開設したトレーニングセンター(2024年現在で17カ所)で、最新の医療機器を用いた治療や診断、低侵襲外科手術などの実践的なハンズオントレーニングを医療従事者に提供しています。今回は、中国にあるOlympus China Medical Training & Education Center(C-TEC)」に焦点を当て、研修を受けた上海市肺科医院の顧曄(グー・イエ)医師と、トレーナーとして働く褚佳穎(チュー・ジアイン)さんに、C-TECが中国で果たしている役割や仕事に対する想いを聞きました。

現場で生きる「C-TEC」の実践的なトレーニング

顧医師がC-TECの研修に初めて参加したのは、2012年。C-TECが中国で開設されてから3年後のことでした。当時、中国の呼吸器医療は過渡期を迎えていました。患者の数は増加し、医療技術も飛躍的に進歩していたのです。「当時、呼吸器内視鏡を用いることで患者さんにとってどのようなメリットがあるのか、十分には理解できていませんでした。そんなときC-TECで呼吸器内視鏡のトレーニング・プログラムがあると聞き、参加を決めました。」(顧医師)

C-TECのトレーニングは「目からうろこの体験だった」と顧医師は振り返ります。「理論の講義から始まり、内視鏡のシステムや構造をわかりやすく説明してくれました。そのため、機器の動作原理を理解でき、実感をもって操作技術を習得できました。またトレーナーたちは研修生が納得するまで、内視鏡で何ができるのか、様々な技術を教えてくれました。」(顧医師)

顧医師が所属する上海市肺科医院は、中国における最先端の呼吸器診断・治療の拠点の一つ。内視鏡を活用した診断・治療を年間に約3万件以上行っています。なかでも、息切れや呼吸困難など緊迫したケースでは、内視鏡の操作の熟練度が試されます。そんなとき、C-TECのトレーニングで学んだことが大いに役立っている、と顧医師は語ります。「C-TECで実践的なトレーニングを受けていたおかげで、重要なポイントを的確に思い出すことができます。それにより、次に何をすべきか冷静に判断ができるのです。迅速かつ正確な診断と治療によって患者さんの症状が改善すると、医師としてとてもやりがいを感じます。だからこそ、私たち医師は、こうしたトレーニングに積極的に参加したいと思うのです。」(顧医師)

「C-TEC」がめざすもの

C-TECは北京・上海・広州の3つの拠点で、内視鏡の検査や手術のトレーニングに必要な最先端の医療機器を備え、専門人材の育成や医療水準の向上をはかっています。その一つであるC-TEC上海は、シミュレーションラボのほか、洗浄消毒室やマルチメディア講義室などを完備。消化器科・呼吸器科・外科・泌尿器科・婦人科・耳鼻咽喉科をカバーしています。中国内外の講師を招いて実践的なトレーニングを提供し、2018年から2022年までの5年間で、約62,000人の医療従事者がトレーニングを受けました。

「C-TECは、医療従事者に専門的な知識やトレーニング、コミュニケーションの場を提供するプラットフォームとして、内視鏡を用いた診断・処置や、低侵襲治療の普及を支援することをめざしています。」こう話すのは、上海C-TECのトレーナーとして10年のキャリアを持つ褚佳穎(チュー・ジアイン)さんです。臨床医学専門の彼女は、医師として3年間働いた後、C-TECで働き始めました。その経験を生かして、医療従事者が安全で効率的な医療を提供できるように心がけています。

トレーナーの褚さんは、C-TECの外部専門家として協力する顧医師に信頼を寄せています。「顧先生は、中国の華東地区で最初に内視鏡の技術を学んだ呼吸器科の専門医の一人です。経験を重ねてこの分野で第一人者となり、現在ではC-TECの外部専門家として、様々なアドバイスをしてくれます。」(褚さん)現場の専門医からのフィードバックは、トレーナーにとって貴重な情報です。「お互いに意見を交換することで、C-TECのトレーニング・プログラムがより実践的で充実したものになっていると実感しています。」(褚さん)

「低侵襲な治療を、より多くの患者さんに」

研修を受ける医療従事者が関心を寄せるのは、医療機器の進歩です。「医師としての最大の願いは、技術の革新を通して、可能な限り低侵襲な治療を行い、患者さんの負担や苦しみを軽減することです。」と、顧医師は語ります。

さらに、医療従事者が最新の医療機器を活用できるようにするための研修も重要です。「中国の全域には治療を待つ多くの患者さんがいます。私たちは学んだ知識を惜しみなく、全国から集まった若い医師たちに教えていかなくてはなりません。そうすることで、誰もが地元の病院で、高度な治療を受けられるようになるからです。私は、それはとても重要で意義のあることだと思っています。」(顧医師)

オリンパスは医療従事者へのトレーニング機会・技術向上機会の提供を通し、誰もが高度な医療にアクセスできるよう貢献してまいります。

本ストーリーは、2023年12月の取材に基づき作成しています。