エネルギーを動きに変える装置 ~アクチュエーターとは~

「アクチュエーター」は、ロボットやカメラなど、さまざまな精密機器に利用されています。フタを自動的に開閉させたり、チューブの先を曲げ伸ばししたりするなど、機械の精密な動作に欠かせないものです。しかし、見えない場所に取り付けられていたり、別の名称で呼ばれていたりすることも多いので、「見たことない」「初めて聞いた」という人も少なくないかもしれません。アクチュエーターとはどのようなものなのか? どのようなところに使われているのか? アクチュエーターについて解説していきます!

★トリビア

スマートフォンやゲームのコントローラーなど、バイブレーション機能がついている製品にも、回転や往復動作で振動を起こすアクチュエーターが使われている。実は、身近なところでたくさん活躍しているんだね!

「アクチュエーター」って何?

「アクチュエーター」とは、“エネルギー”を、直進移動や回転・曲げなど、何らかの“動作”に変換する装置のことです。入力されるエネルギーには、電気のほか、空気や油による圧力(空気圧、油圧)、電磁石による磁力、蒸気や熱など、さまざまなものがあります。アクチュエーターを使うことで、物を動かしたり、物の動きを制御したりできます。

例えば、ロボットの関節を動かすことや、ラジコンカーのタイヤを動かして方向を変えるためには、「サーボモーター」という電気で動作するアクチュエーターが使われます。パワーショベルなどの建設機械は、油による圧力で伸び縮みする「油圧シリンダー」というアクチュエーターが使われています。他にも、人の目では見えないほど小さな物を動かすためのアクチュエーターや、アクチュエーターの動作を制御するためのアクチュエーターもあります。

モーターやエンジンも、広い意味ではアクチュエーターに含まれます。また、モーターやエンジンによる駆動力を使って動作するアクチュエーターもあります。アクチュエーターは種類が多く、入力されるエネルギーや信号、それによる動作もたくさんあり、世の中で動作をしている機械には、さまざまなアクチュエーターが数多く使われているのです。

どんなアクチュエーターがある?

代表的なアクチュエーターをいくつか紹介します。

サーボモーター

電気をエネルギーとして動作するアクチュエーターです。モーター、またモーターがどこの位置まで回転したかなどを見分ける検出器、そしてそれらをコントロールする制御装置の、3つの要素がひとつになっています。これにより、指定した速度で、目標の位置に物を動かすことができます。先に説明したロボットやラジコンカーのほか、自動車や工場で動く機械など、さまざまな装置に使われています。

電磁アクチュエーター

電磁石による磁力をエネルギーとして動作するアクチュエーターです。電気を流し、内蔵されたコイルに磁力を発生させ、コイル内に通した鉄芯が動くことで、短い移動量でも前後動作や回転動作が行えます。この電磁アクチュエーターには、ソレノイドアクチュエーターやボイスコイルモーターなどが含まれます。空気や油で動作するシリンダーよりも速く動くので、機械の動きを制御するスイッチや、水や空気の流れを制御するバルブの弁の開閉などに使われます。

ピエゾアクチュエーター

電圧をかけると変形する圧電素子(ピエゾ素子)を使ったアクチュエーターです。動作の移動量は非常に短いものの、高速で動作させることができるので、超音波を発生させる装置などにも使われます。また、人の身体の中に入れることができるような非常に小さな医療機器の駆動装置や、微細なマイクロマシン技術で使われることもあります。

どんな製品にアクチュエーターは使われている?

オリンパスの製品にも、さまざまなアクチュエーターが使われています。

例えば、カメラに搭載されている手ブレ防止機能にもボイスコイルモーターというアクチュエーターが使われています。まず、センサーで手の動きや移動による、角度や平面のブレを検知します。そこから、レンズや画像を写すイメージセンサーの移動量を計算してモーターを動かし、手ブレを修正します。撮影時にこれらの動作を一瞬で行っているのです。


オリンパスのミラーレス一眼カメラに搭載されたボディ内5軸手ぶれ補正機構

胃や腸の内部を撮影する内視鏡には、人の身体の中で内視鏡の先端に搭載されたレンズを動かすために、髪の毛ほどの細さのアクチュエーターが使われています。これにより、病気の要因となっている部分を素早く拡大して見ることができます。この際、わずか0.5mm程度の動作を行うので、非常に精密な制御が必要です。


オリンパス内視鏡の先端部

さらに、通常のレンズを使って見ることができない、ナノレベルの測定を行う走査型プローブ顕微鏡(SPM)というものがあります。SPMでは、先端を数10nm(ナノメートル。1nmは0.000001mm)程度に鋭く尖らせた顕微鏡用マイクロカンチレバーという小さな針を使います。顕微鏡に設置したマイクロカンチレバーを細かく振動させることにより、測定したい対象物の表面形状を測ることができます。例えば、微細な製品が正しい形になっているのかを確認したり、キズや異物の付着がないかを調べたりすることができます。そうしたマイクロカンチレバーを動作させるために、ピエゾアクチュエーターが使われています。


オリンパス走査型プローブ顕微鏡(SPM)


マイクロカンチレバー(顕微鏡での拡大画像)


マイクロカンチレバーでの走査イメージ


SPMで観察した1円玉の表面形状(粗さ測定)

このように、美しい写真を撮影したり、また、医療や最新技術を必要とする現場では、精密に動作するアクチュエーターの存在が欠かせません。オリンパスの製品には、独自の技術で開発したさまざまなアクチュエーターが使われています。それらの製品は、日々の生活だけでなく、最新の医療や研究現場で活用され、よりよい未来をつくる力となっているのです。

関連リンク