レンズで物が大きく見えるのはなぜ? ~光とレンズの関係~

物が大きく見えたり、遠くの物が良く見えたりする「レンズ」は、今から2000年以上も昔から使われてきました。紀元前の古代エジプトやローマの遺跡からは、水晶などを磨いてつくられたレンズが発見されています。また、2世紀頃のヨーロッパでは、レンズは拡大鏡としてすでに使われていたそうです。その後レンズは、13世紀頃に眼鏡としても使われるようになり、やがて望遠鏡や顕微鏡、カメラなど、さまざま道具に使われるようになりました。

そのようなレンズですが、どうして覗くだけで物が大きく見えたり、遠くの物が良く見えたりするのでしょうか?レンズの仕組みを解説します!

★トリビア

「レンズ」という名称は、ヨーロッパでよく食べられている「レンズ豆」が由来だと言われているよ!

レンズを通る「光」の性質とは?

まず、レンズの仕組みを知る上で欠かせない、「光」の性質について説明します。光はまっすぐ進む性質があり、鏡などにあたると別の方向に跳ね返ります。この現象を「反射」といいます。このとき、光が入ってくる角度「入射角」と、反射する角度「反射角」は等しくなります。

また、光の進む速度は、空気中に比べてガラスや水の中では遅くなります。その影響で、光が空気中から異なる物質の中へ斜めに進むとき、その境界で進行方向が折れ曲がります。この現象を「屈折」といいます。例えば、光が空気から水に入るとき、水面に入る角度「入射角」は、水に入ったときの角度「屈折角」より大きくなります。逆に水から空気に出るときは、入射角は屈折角よりも小さくなります。

17世紀のイギリスの科学者ニュートンは、光のまっすぐ進む性質や、何かにあたって反射する性質、また、光がつくる影の輪郭がとてもはっきりとしていることから、“光は小さな粒のようなもの(粒子)”と考えました。一方、同じ17世紀のオランダの物理学者ホイヘンスは、光が波と同じように屈折する性質や、障害物の後ろまで回り込む性質(これを「回折」といいます)を持つことから、“光は波(波動)である”と考えました。その後、アルベルト・アインシュタインによって、“光は粒子(光子)でもあり、波でもある”ことが証明されます。光は「粒子」と「波」という2つの性質をもつことで、反射したり屈折したりするのです。

レンズにはどんなはたらきがあるの?

レンズは、眼鏡や顕微鏡、カメラ、望遠鏡などに使われているもので、見たい像を拡大・縮小させるはたらきを持っています。光線が空気中からガラスやプラスチックの中を進むときに起きる屈折を利用して、狙い通りの角度で光線を曲げ、光線の束を集めたり散らしたりします。そのためにレンズの側面形状は球面になっており、大きく2種類に分けられます。中心部が厚く外側に膨らんで曲がっている「凸(とつ)レンズ」と、逆に中心部が薄く内側にへこんで曲がっている「凹(おう)レンズ」です。レンズを通る光線の屈折により、凸レンズは平行に進む光線を一点に集めるはたらきがあります。凹レンズは平行に進む光線を広げるはたらきがあります。

そしてレンズを通して屈折した光線の束が一か所に集まる点のことを「焦点」といいます。凹レンズでは、広がる光を反対向きに延長させたところに焦点があります。また、レンズから焦点までの距離を「焦点距離」といい、レンズの厚みやレンズ表面の曲がり方で距離が変わります。顕微鏡やカメラ、望遠鏡などは、凸レンズと凹レンズを組み合わせてこの焦点距離を調節し、小さなものを大きくして見たり、遠くのものを近くに見たりすることができるのです。

レンズはどうやって作るの?

レンズの材料には、透明度の高いガラスやプラスチックが使われています。中でも顕微鏡などの精密機器では、たとえ数kmの厚さになっても光がよく通る「光学ガラス」という非常に高品質なガラスが使用されています。

通常のレンズは、以下のようなプロセスで加工されます。

  • レンズの用途に合わせて、大きさや屈折率、焦点距離などを計算し、レンズの厚みや球面の形状を設計します。
  • ガラスのかたまりを工業用のダイヤモンド工具などで荒削りし、おおよその形にします。
  • 専用の砥石で時間をかけて精巧に磨き(研磨)、設計通りの球面、寸法に仕上げます。
  • レンズの表面に光の反射防止や表面保護のために薄い膜を作るコーティング処理をします。

また、プラスチックレンズや一部のガラスレンズの加工では、金属の型を使用して高圧でレンズを作るプレス成形という方法もあります。こうしたレンズの加工技術は非常に精巧なもので、顕微鏡や内視鏡、カメラなど精密機器の製造を支える重要な技術です。

★トリビア

オリンパスのレンズの研磨技術がどれだけ精密なものなのか? それは、例えばレンズの大きさが東京ドームくらいだとすると、髪の毛一本の太さほどの誤差も許されない精度で研磨されているレンズもあるんだ!

いろいろなところで使われるレンズとオリンパスの製品

このようにしてできあがったレンズはいろいろな製品に使われ、世の中で役立っています。
例えば、顕微鏡はレンズにより小さなものを拡大して観察することができます。オリンパスの顕微鏡は大学や研究所で使用され、血液や尿、細胞の検査をする医療の現場でも活躍しています。また、身体の中を見ることができる内視鏡の先端にもレンズが付いています。オリンパスの内視鏡は、医師がおなかの中を検査したり病気の部分を治療したりする際に使用されています。

さらに、レンズにより結ばれた像を記録できるのがカメラです。オリンパスでは、カメラによって多くの人びとに写真の楽しさを届けたいと願い、画期的なコンセプトのカメラを世の中に送り出しています。




オリンパスの生物顕微鏡、医療用内視鏡の先端、デジタル一眼カメラ

なお、顕微鏡や内視鏡、カメラのように、精密な画像を映す必要がある製品では、レンズの材料に高価な光学ガラスが使われるだけでなく、特殊な形状をした「非球面レンズ」が使われたり、数種類のレンズが組み合わされて使用されたりしています。これは、物をよりきれいにはっきりと見るために、レンズで起こる「収差」という現象に対応する必要があるからです。

次回はこの「収差」について詳しく見ていきましょう!

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