どうして音で、キズを見つけたり形がわかったりするの? 〜超音波とは〜

「超音波」の技術は、産業用の機械や医療機器、カメラなど、さまざまな製品で利用されています。超音波をうまく利用することで、物までの距離や形の計測など、いろいろなことができるようになります。

では、どうしてそのようなことができるのでしょうか?超音波の特徴や、超音波のしくみが利用されている製品について解説していきます!

★トリビア

超音波をうまく利用して生活している生き物もいるよ。例えばコウモリは、のどから発する超音波を使って、暗い洞窟の中でエサを見つけたり障害物を避けたりできる。イルカは、おでこから出す超音波を利用して、仲間とコミュニケーションを取ったりするんだ!

「超音波」って何?

音は“物が震えて起こる振動”です。物が振動すると、空気や水などの媒質に振動が伝わり、音を伝えます。例えば、太鼓を叩くと太鼓に張られた革が振動します。このとき、振動に合わせて、革は周りの空気を押したり引いたりしています。革がへこんだときには、革の近くの空気が引き伸ばされて空気の密度が低くなります(この状態を「疎」といいます)。革が元に戻ろうとして膨らんだときには、革の近くの空気が押し縮められて空気の密度が高くなります(この状態を「密」といいます)。この空気の圧力の変化が、空気中を波となって伝わっていくのです。

この音の波のことを「音波」と呼び、音波が私たちの耳の中まで届き、音を聞くための器官である鼓膜をゆすることで、音を感じられるのです。そのため、空気や水といった音波を伝える物質のない宇宙空間などでは、音を感じることはできません。

音は、短い時間にたくさん振動すると高い音に聞こえます。逆に、あまり振動していないと低い音に聞こえます。1秒間に何回振動するかという振動の速さ、つまり“音の高さ”を「周波数」と呼び、「Hz(ヘルツ)」という単位で表します。人間の耳が聞き取れる音の範囲を「可聴範囲」といい、20Hzから20,000Hz(20kHz)の周波数といわれます。この、人間の可聴範囲よりも高い周波数の音を「超音波」と呼んでいます。音の振動数と高さを波形で示すと下図のようになります。

超音波にはさまざまな特徴があり、その特徴をうまく利用することで、いろいろなことができるようになります。

真っすぐ進んではね返る超音波

超音波は、光と異なり固体の中でもよく伝わります。音は物質を振動させながら伝わっていくので、密度の高い物質の中のほうが、より速く伝わります。音の進む速さのことを「音速」といい、硬い物質の中ほど音速は速くなります。例えば、空気中よりも水中、水中よりも金属の中のほうが、音は速く進みます。

密度音速
空気約0.0012g/cm3約340m/秒
約1g/cm3約1,500m/秒
約8g/cm3約5,900m/秒

また、超音波には、性質の違う物質に当たったときに反射するという特徴があります。例えば、声が山ではね返ってくるやまびこのように、空気中を進んだ音が硬い別の物質に当たったときや、逆に、硬い金属の中を進んだ音が空気の層に当たったときにはね返ります。さらに、周波数の高い超音波は「指向性(音・光などの波の強さが発信源からの方向によって異なる性質のこと)が高く、音が周囲にあまり広がらず、狭い範囲でビーム状に真っすぐ進むという特徴も持っています。

このような特徴を利用して、物を壊すことなく、外からは見ることができない金属部品・鉄骨の内部にあるキズを見つける検査装置や、海の中にいる魚の群れを探す魚群探知機などが作られています。装置から発信された超音波は、物や水の中を真っすぐ進み、キズの部分にできた薄い空気の層や魚の群れなど性質の違う物に当たってはね返り、それをセンサーが感知します。はね返った超音波の波形を分かりやすく画像として見せるように処理し、モニターなどに映し出すのです。

超音波を使ってキズを見つける検査装置のしくみ

★トリビア

お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんや、身体の中の臓器の様子を確認するために使われる「エコー(超音波)検査」。これは、超音波を臓器に当てて、はね返ってきた超音波をもとに、画像を作成しているんだ! 人体に悪影響を及ぼすことのない超音波は、医療用機器の技術としても活躍しているよ。

超音波を活用して、人々の健康と安心、心豊かな生活をサポートする

オリンパスにも超音波を利用した製品が数多くあります。

例えば胃などの身体の中に挿入し、検査をしたい臓器の近くから超音波で検査を行う「超音波内視鏡」は、体の表面から超音波(エコー)を当てて検査するよりも、おなかの中の空気や脂肪などの影響を受けることが少ないので、より詳しい検査ができるといわれています。また、超音波の振動により発生する摩擦熱のエネルギーを利用し、外科用の治療に用いる超音波メスもあります。おなかを大きく切ることなく、小さな穴をいくつか開けるだけで済む、内視鏡下(か)外科手術で使用されています。


超音波振動と高周波電気の技術を使用した外科手術用エネルギーデバイス

また、産業用の製品にも超音波が利用されています。例えば、材料内部の割れやキズの検査などに使われる「超音波探傷器」や、パイプやチューブなどの壁面の厚さを測る「超音波厚さ計」は、製品や工場設備、建造物の検査などで広く利用されています。自動車や航空機のエンジンに使用する部品の、外からは見えない材料内部のキズを見つけたり、大型の工場に設置された配管や建造物の鉄骨内部の欠陥を発見したりするなど、事故や故障を未然に防ぐために行う検査の場面で活用されています。


航空機の機体の素材内部を検査する超音波探傷器

他にも、オリンパスのデジタル一眼カメラに搭載されている「ダストリダクションシステム」は、超音波により1秒間に3万回以上振動するフィルターを使って、レンズ交換時にカメラ内に入ってしまう微細なゴミやホコリを取り除いています。こうした技術も、美しい画像を維持することに役立っています。


超音波の振動を利用したダストリダクションシステム

このようにオリンパスでは、超音波の技術を活用したさまざまな製品を通じて、人々の健康や安心、心を豊かにする手助けができるよう努力しています。

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