気候変動への取り組み

基本的な考え方

オリンパスグループは、1992年に「オリンパス環境憲章(現・環境安全衛生ポリシー)」を制定して以来、サイトにおける省エネ活動や再エネ導入、環境配慮型製品の開発、サプライヤーとのグリーン調達の推進など、製品ライフサイクル全体において環境負荷の低減に取り組んできました。近年、気候変動による自然災害の激甚化や資源の枯渇、海洋プラスチック問題が深刻化し、地球環境とともに企業の持続可能性に直接影響を及ぼすリスクとなっています。オリンパスグループは、これらの課題を経営リスクと同時に成長機会として捉え、ESG戦略のフォーカスエリアの一つに「社会と協調した脱炭素・循環型社会実現への貢献」を掲げて、脱炭素・循環型社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
またオリンパスグループは環境取組みにおいて、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、ガバナンス体制、リスクと機会の特定、リスク管理体制と目標について開示しています。

関連リンク

TCFD に基づく情報開示について
2024 CDPコーポレート質問書 PDFファイルへのリンクです

環境目標と進捗

組織内(Scope1、2)の実績

カーボンオフセットガスによる削減貢献量を含めた場合、-70%(2020年3月期比)となります。

<Scope 1、2推移>

オリンパスグループは、「2031年3⽉期までにオリンパスグループのサイトからの温室効果ガス排出量(Scope 1、2)に関してカーボンニュートラルを達成する」ことを⽬標に掲げています。この目標に向けて、製造改善活動の継続的な実施や省エネ型設備の導入をはじめ、照明の消灯や空調温度の適正管理といった日常的な省エネ活動にも継続して取り組んでいます。さらに、エネルギー消費量の多いサイトには省エネの専門家を配置し、推進体制を整備するなど、組織的な取り組みを強化しています。加えて、再生可能エネルギーの積極的な導入や、事業活動におけるエコカーの活用も推進することで、温室効果ガス排出量のさらなる削減に努めています。

2025年3⽉期は、世界各国のサイトで継続的な製造改善活動、省エネ施策、社有⾞のエコカーへの更新、再⽣可能エネルギーの導⼊などを実施しました。これらの取り組みにより、2025年3⽉期の実績では、温室効果ガス排出量は2020年3⽉期⽐で62%削減(前年度-55%)、総電⼒量当たりの再⽣可能エネルギー使⽤率は89%(前年度78%)と⼤きく向上することができました。

主な取り組みとして、⽶州のOlympus Surgical Technologies America(Gyrus ACMI, Inc.)のWestboroughのサイト、Olympus Corporation of the AmericasのCenter ValleyサイトとBreinigsvilleサイトにおいて使⽤する電⼒を100%再⽣可能エネルギー由来の電⼒に転換しました。また、日本国内のサイトにおいては、すでに電力小売供給契約を通じて100%再エネに転換していましたが、社会全体の再エネ拡大に向けて、2025年4月より、グローバル本社、青森オリンパス、会津オリンパス、白河オリンパスにて、オフサイト型コーポレートPPAサービスによる再エネ使用を開始しました。

また、各サイトで使用するガスの脱炭素化の取り組みも進めており、都市ガスやLPGなど、当該サイトで使用するガスの全量をカーボンオフセットガスへの切り替えを完了しています。グローバル本社では2021年4月より、白河サイトでは2023年10月よりカーボンオフセットガスの導入を開始しています。さらに2025年3月期は、会津オリンパス、オリンパスメディカルシステムズ(日の出工場)、欧州のOlympus UK & IrelandおよびAlgram Group Ltd.にて導入を完了しました(カーボンオフセットガスへの切り替えにより、約6,400tのCO2削減に貢献)。また、2025年4月には青森オリンパスにおいても導入を完了しています。

2026年3⽉期も引き続き、製造プロセス改善や省エネ施策を推進するとともに、⾃社のサイトにおける全消費電⼒を再⽣可能エネルギー由来に段階的に切り替えるなど、温室効果ガス排出量削減に向け取り組みを加速させています。

Topics:建物における環境配慮(長野サイト)

日本の長野サイトでは建物の新設を機会と捉え、環境配慮型の設備を導入しました。例えば、屋根に太陽光発電システムを設置するとともに、空調機器に使用する燃料はガスから電気に変更しました。また、電力モニターによるきめ細かな管理によって日々のエネルギー削減に取り組んでいるほか、複数のセンサーを搭載した空調機器を導入し、クリーンルームの省エネを進めています。
これら省エネ施策とともに、本サイトで使用する電力については100%再生可能エネルギー由来の電力の供給を受ける契約も継続しています。

Topics:ベトナムサイトにおける再エネ100%の達成

Olympus Vietnam Co., Ltd.(以下、OVNC)では、2024年7月に工場屋根へ太陽光発電パネルを設置し、オンサイト型コーポレートPPAサービスによる再生可能エネルギーの導入を開始しました。また、これに加えて国際的な再生可能エネルギー証書であるI-RECを活用することで、同拠点で使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換しました。
これにより、OVNCはオリンパスグループ全体のCO2排出量の約10%に相当する約4,800トンの削減を計画しています。

本プロジェクトには、日本とベトナムの二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)を活用しています。

Topics:日本国内の主要製造子会社におけるオフサイト型コーポレートPPAサービスの導入

オリンパスグループの日本国内の主力製造子会社である青森オリンパス、会津オリンパス、白河オリンパスは、2025年4月より、自社敷地外から再エネ由来の電力を調達するオフサイト型コーポレートPPAサービスを導入しました。すでに国内の主要な製造サイトにおける使用電力は、電力小売供給契約を通じて100%再エネに転換していますが、社会全体の再エネ拡大に向けて、東北地方にある主力製造サイト(青森、会津、白河)に本サービスによる再エネを導入しました。

ニュースリリース:オフサイト型コーポレートPPAサービスを活用したCO2排出量削減に向けた取り組みを開始

グリーン電力証書

Olympus Europa SE & Co. KG (ドイツ)
Olympus Europa SE & Co. KG
(ドイツ)

KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. (英国)
KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. (英国)

Algram Group Ltd.(英国)
Algram Group Ltd.(英国)

Olympus Medical Products Portugal, Unipessoal LDA(ポルトガル)
Olympus Medical Products Portugal, Unipessoal LDA(ポルトガル)

Olympus Surgical Technologies America:Redmond (Gyrus ACMI, Inc.)(⽶国)
Olympus Surgical Technologies America:Redmond (Gyrus ACMI, Inc.)(⽶国)

Olympus Vietnam Co., Ltd.(ベトナム)
Olympus Vietnam Co., Ltd.(ベトナム)

カーボンニュートラルLNG供給証明書・ロゴマーク

カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス

カーボンニュートラルLNG供給証明書
白河オリンパス

カーボンニュートラル(CN)LPガス供給予定書
会津オリンパス


KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. (英国)
Algram Group Ltd.(英国)

組織外(Scope3)の実績

オリンパスグループでは、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量をカテゴリーごとに把握・算定し、グリーン調達の推進や物流効率の改善、環境配慮型製品の開発などを通じて、温室効果ガス削減に取り組んでいます。また、取引を⾏っているサプライヤーに対しては、温室効果ガスの排出量削減の⾃主⽬標を設定し、継続的な削減に取り組んでいただくようお願いするとともに、Webを活用したESGに関する企業調査を実施し、温室効果ガス排出量や、その削減⽬標、削減取組の状況を確認しています。これらの取り組みが評価され、国際的な⾮営利団体であるCDPより、「サプライヤー・エンゲージメント評価(SER)」において最⾼評価である「CDP2024サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されました。オリンパスグループのサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope 1、2、3)においては、グラフに⽰す通りScope 3の温室効果ガス排出量が9割以上を占めています。その中でも特に購⼊した製品・サービス(カテゴリー1)、資本財(カテゴリー2)、輸送・配送(カテゴリー4)の上流側の温室効果ガス排出量の割合が⾮常に多い状態です。
そのため、オリンパスグループでは⻑期⽬標である2040年ネットゼロ⽬標達成に向けて、Scope 3単独の短期⽬標として「2028年3⽉期までに当社サプライヤーの80%が科学的根拠に基づく温室効果ガス削減⽬標を(購⼊した製品やサービス、資本財、輸送・流通の排出量ベース)」を定め、サプライヤーと協業し、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを開始しています。

2025年3⽉期は、オリンパスグループのScope 3排出量の中で大きな割合を占める「購入した製品・サービス」に関して、サプライヤーと連携して脱炭素化に向けた取り組みを強化しました。具体的には、主要サプライヤーの温室効果ガス排出量の把握や削減目標の設定を支援するため、説明会の実施に加え、個別面談を希望した企業に対しては、個別に対応を行い、丁寧な説明と情報提供を通じて理解促進を図りました。こうした取り組みの結果として、2025年時点では、Scope 3の排出量の約3割に相当するサプライヤーがSBT(The Science Based Targets)認定を取得し、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標を掲げて行動を開始しています。今後も、サプライヤーとのパートナーシップをさらに深めながら、サプライチェーン全体での脱炭素化を推進していきます。

CDP:2000年に発⾜した英国で設⽴された国際的な⾮営利団体。世界主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価し、これらの結果を機関投資家向けに開⽰しています

温室効果ガス排出量(Scope3)

温室効果ガス排出量(Scope3)
★ 第三者検証における保証対象指標

購⼊した製品・サービス(カテゴリー1)

サプライヤー188社を対象に、温室効果ガス排出量の把握と削減に向けた説明会や動画配信を実施しました(説明会は2024年1月、8月および2025年1月の計3回開催)。これらの説明会では、温室効果ガス排出量削減の重要性や排出量の算定方法、科学的根拠に基づいた目標設定(SBT:The Science Based Targets)の手法について説明し、各社の理解を深めました。また、日本国内の主要サプライヤー35社には個別の説明会を行い、企業ごとの状況に応じた質問に対応するとともに、実践的なアドバイスを提供しました。
さらに、すべてのサプライヤーを対象に、温室効果ガス排出量の把握や目標設定、水資源管理、廃棄物削減などの環境取組状況を調査し、各社の対応や改善の状況について把握を進めています。この調査では、約6割を超えるサプライヤー(取引額ベース)から回答を得ることができました。

輸送・配送(カテゴリー4)

国際間物流のフォワーダーから温室効果ガス排出量データを直接⼊⼿することで、データ精度の向上に取り組んでいます。また、Olympus Vietnam Co., Ltd.(OVNC)からOlympus Corporation of the Americas(OCA)に出荷していたものを、⾹港倉庫経由を廃⽌し直送化することで輸送距離の短縮化を図るとともに、⾹港倉庫からOlympus Europa SE & Co. KG(OEKGOE)向けをはじめとした主要な輸送ルートにおいて、⾶⾏機から船舶へのモーダルシフトを積極的に進めることで温室効果ガスの削減につなげています。