調達

基本的な考え方・方針

オリンパスグループでは事業継続と持続可能な価値創造を見据えて、サプライチェーンマネジメント(SCM)の強化を図っています。健全で公正な取引と持続可能な社会発展に貢献するESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みを目指して2021年6月に調達方針に替わるサプライチェーン方針を制定しました。また、調達活動における環境配慮の基本的な考え方としては「オリンパスグループグリーン調達基準」を制定しています。Webサイトや研修を通じてサプライチェーンにおける基本姿勢を社内外に示すとともに、法令・社会規範順守の強化に取り組んでいます。また、サプライヤーさまに対して、人権尊重や反社会的勢力排除などの法令・社会規範の順守、汚職・賄賂などの禁止、公平・公正な取引の推進、環境への配慮などに、より具体的な行動指針を設けた「サプライヤーさまへのお願い」を定め、新規サプライヤーさま選定にあたっても、社会規範の順守、環境への配慮などの対応状況を選定基準の一つとしています。
これらの指針を基に、サプライヤーさまとの公平、公正かつ透明な取引に基づく良好な関係の構築と関係強化に取り組んでいます。

制度・仕組み・取り組み

経営戦略やサプライチェーン方針の共有

オリンパスは、「サプライヤーさまへのお願い」や「グリーン調達基準」を制定して日本のサプライヤーさまとの共有を図り、法令・社会規範・環境への配慮の順守をお願いしています。また、日本の調達拠点では、「持続可能な開発目標」(SDGs)関連課題に対するサプライヤーさまの認識を高めることを目的として、毎年1回、Webシステムを活用して、CSRに関する30項目からなるサプライヤーアンケート調査を実施しています。

オリンパスのグローバル調達におけるESG戦略は、責任あるサプライチェーンを推進するうえでの重点領域として、次の三つの重要課題を柱にかかげています。

  • 1.多層サプライチェーンのリスクモニタリングソリューションの導入展開による、サプライチェーンリスクの軽減やサプライチェーンレジリエンスの向上。
  • 2.サプライチェーンマネジメント(SCM)における社会的(人権)コミットメントの強化: 「グローバルサプライヤー行動規範」の策定・発信や、サプライチェーンにおけるESGリスクのモニタリングなど。
  • 3.サプライヤーの環境マネジメント: オリンパスは、サプライヤーさまの事業活動から排出されるCO2排出量の把握に着手するとともに、サプライヤーさまに対しても、科学的根拠に基づく目標(Science-Based Targets)を設定するよう要請してまいります。

Science Based Targets に関する情報は、以下のウェブサイトをご参照ください。
https://sciencebasedtargets.org

企業調査と改善活動

⽇本の調達拠点では、継続的に取引のある世界各国の主要なサプライヤーさまを対象に、毎年1回、Webシステムを活⽤して企業調査アンケートを実施しています。調査は、経営情報やサステナビリティへの取り組み、BCPなど123項⽬(うちサステナビリティ関連は24項⽬)について⾏っています。2023年3月期には、気候変動に関する6項目(温室効果ガス排出量実績を含む)を追加しました。

2023年3⽉期は、海外のサプライヤーさまを含む667社を対象に実施し、約86%の企業から回答がありました。アンケート結果から、例えば法令・社会規範順守や環境保護などの管理体制が⼗分でなく、改善が必要と判断したサプライヤーさまには現地監査を実施し、オリンパスの「サプライヤー様へのお願い」に沿った活動を要請するとともに、必要に応じインシデントを未然に防ぐための⾃主的な改善活動を促しています。また、社内では関連する専⾨部署との協業によるリスク評価の検討を進めています。

サプライヤーさまとの取り組みにおける企業調査の主な評価項目

評価項目 内容
経営情報 会社情報、財政状況
サステナビリティ 法令・社会規範順守
人権保護(児童労働、強制労働、不当な低賃金労働)
労働者の権利保護(労働基準、労働安全衛生)
環境保護(CO2、廃棄物排出量、水使用量、環境関連化学物質)
個人・機密情報保護、知的財産保護
BCP 事業継続戦略、製造拠点情報、緊急災害時窓口情報、サプライチェーンの確認、
従業員の安否確認
環境・品質 ISO 14001、ISO 9001、ISO 13485などの認証取得状況
購買・工程管理(5M : 材料、工法、計測法、設備、人)変更情報、不適合処置
納期・コスト 生産計画、進捗・物流管理、コストダウン活動
システム PCセキュリティ

「紛争鉱物問題」への対応

内戦が続いているアフリカのコンゴ民主共和国では、武装勢力がコンゴ民主共和国およびその周辺国で採掘される鉱物(タンタル、錫、タングステン、金)を資金源に活動し、長きにわたって深刻な人権侵害(児童労働、性的暴力等)や環境破壊を引き起こしており、このことは国際的にも大きな問題となっています。米国ではこうした武装勢力の資金源を断つため、2010年7月に金融規制改革法を制定し、これら4つの鉱物を紛争鉱物と定め、紛争鉱物を使用している米国上場企業に対して米国証券取引委員会への報告を義務付けました。また、経済協力開発機構(OECD)による「紛争鉱物デューディリジェンス ガイダンス」の発行等、国際機関、政府、NGO、業界団体による問題解決に向けた取り組みも進んでいます。
オリンパスグループは、紛争鉱物問題に関する国際的な取り組みに賛同し、オリンパスグループを代表してオリンパスが一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の「責任ある鉱物調達検討会」に参加しています。また、「調達方針説明会」で紛争鉱物問題を取り上げるなどサプライヤーさまと協力してサプライチェーンの透明性を確保し、人権侵害に加担することのない部品・材料の調達を進めていきます。

下請法順守のための取り組み

オリンパスは下請法を最重要法令の⼀つと位置づけ、下請法に関連するさまざまな取り組みを⾏っています。2023年3月期のオリンパスおよび国内グループ会社の全従業員を対象とした下請法eラーニングでは、受講率97%となっています。また、2020年3⽉期に全社下請法推進委員会を発⾜し、オリンパスグループ内の遵法体制強化を進めており、その施策として社内講習会などを⾏ってきています。2023年3⽉期には、各機能部門を対象に、それぞれの業務内容に応じた専門講習会を実施、調達部門からは178名、製造部門からは1,401名、開発部⾨からは2,703名が受講し、下請法に関する理解を深めました。今後も継続的に全社にて、教育を実施し下請法順守を徹底してまいります。