労働安全衛生

基本的な考え方・方針

オリンパスグループは、当社で働く人々の健康と安全を最重要課題の1つと位置づけ、「オリンパスグローバル行動規範」「環境安全衛生ポリシー」のもと、安全で健康的に働くことのできる職場環境の整備に取り組んでいます。
具体的には、業務上災害ゼロを目指し、安全衛生のマネジメントシステムの構築・維持と継続的改善、リスクアセスメントに基づくリスク低減活動、安全衛生に関わる教育・訓練、職場巡視を実施しています。

推進体制・取り組み

グローバルな安全衛生活動体制

CEOがEHS(環境・健康・安全衛生)最高責任者を務め、人事総務機能を統括するCHRO (Chief Human Resources Officer)がグループ全体のEHS業務の統括責任者として、安全衛生方針や活動目標の設定ならびに目標達成等に関わる責任を有します。CHROの指示のもと、グローバルのEHS統括部門が年度ごとの安全衛生活動指針に沿って活動を推進するとともに、各グループ会社・サイトの安全衛生活動状況のモニタリング、四半期ごとのマネジメントレビューを実施し、グループ全体の安全衛生活動の継続的な改善を図っています。
また、各グループ会社・サイトでは、各社・サイトの長を安全衛生マネジメントの責任者とし、グループ全体の年度活動指針に沿って各社・サイトの特性に応じた安全衛生活動を推進しています。日本においては各社・サイトにて労使双方が参画する「安全衛生委員会」を開催し、年度活動計画の達成状況や改善に向けての討議を行っています。
生産・修理等の機能をもつ複数のサイトについては、ISO45001をはじめとする安全衛生マネジメントシステムの外部認証を取得し、PDCAを回すことで、継続的な改善を進めていきます。

労働災害の発生状況

2025年3月期は、死亡災害ゼロ、および、休業災害度数率0.58以下を目標として、安全衛生活動に取り組みました。
結果として、労働災害死亡者数は従業員およびコントラクターともに0件を維持しましたが、機械の異常対応に起因した重大事故が1件発生しました。本事案に対しては、速やかな是正措置の実施とともに、グローバル全体に水平展開し、類似災害の再発防止を図りました。また、休業災害度数率は0.68 となり昨年比で増加しましたが、災害発生状況を現地現物にて安全衛生推進者が確認し、設備の改善、作業手順や要領の見直し、安全行動の再教育などを通じた、再発防止策を実施しました。
より安全で健康的な職場の実現に向け、リスクアセスメントで特定した、重大災害につながる可能性のある作業への対策・管理とともに、当社で働く人々の安全行動レベルを引き上げるための教育を継続します。

2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2025年3月期目標
労働災害死亡者数※2 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)★ 0(0)
休業災害件数 31 27 31 28 32★ -
休業災害(1日以上)度数率※3(LTIFR) 0.62 0.56 0.66 0.60 0.68★ 0.58

第三者検証における保証対象指標

※2 数値は直接雇用者を示し、カッコ内はコントラクター(派遣労働者)を示す

※3 休業災害度数率:100万労働時間あたりの休業災害件数を示す

従業員教育

安全かつ健康的に働く職場を実現するためには、当社で働くすべての人々が安全・健康に関わる適切な行動を取れるようになることが必要不可欠であると考えています。そのため、すべての従業員を対象として、安全衛生に関する方針や基本ルール、機械・薬品・刃物・重量物といった危険源に対する事故を予防する行動、緊急時における適切な連絡や避難等の対応を基礎知識として定期的に教育しています。
また、職長や特殊な作業者を対象として、安全衛生マネジメントシステム、リスクアセスメント、職種に応じた専門教育や特別教育についても実施しています。

パートナーさまの安全管理

当社で働く人々として、構内で共に働くコントラクター(派遣社員・業務委託先など)への安全管理を従業員と同様に行っています。一例として、日本地域ではコントラクターの構内受け入れ時に安全衛生に関する教育を受講いただいているとともに、米州地域ではビジターの皆さまに入構時に安全衛生に関するリーフレットを配布する等の取り組みを行っています。
さらに、サプライヤーさまには、オリンパスグローバルサードパーティコードにおいて、安全な職場を提供するために安全衛生関連の適用法令を遵守することを求めています。また、その取り組み状況については、ESGアセスメントを通じてモニタリングし、必要に応じて改善要請を行っています。

各地域の活動

日本地域の取り組み

化学物質に関する意見交換会

グループ全体における、より効果的かつ効率的な化学物質管理を目指し、各サイトがもつ化学物質管理の経験やノウハウを共有する意見交換会を隔月で実施しました。化学物質情報の管理基盤、化学物質取り扱いの専門教育などのさまざまなテーマを扱い、意見交換の中で出てきた管理基盤や教育ツールの共通化などの実現に向けた活動を進めています。

リスクアセスメントに基づく安全対策

重大災害を防止するために、各製造サイトでは定期的にリスクアセスメントを実施しています。ハイリスクと特定した設備や作業に対しては、安全対策の実施計画を立案し、安全衛生委員会等を通じて対策状況をフォローしています。一例として、製造工程で使用する刃物の片刃カミソリからデザインナイフへの変更や、手首のひねり作業を治具による作業へ変更するなど、新規の設備導入や工程等の変更によって生じた新たなリスクに対して対策を行いました。

米州地域の取り組み

鋭利な工具への安全対策
(Olympus Surgical Technologies America 米国)

業務上災害の上位を占める鋭利な工具による切創災害を低減するため、各職場の監督者が作業前に刃物類の点検、刃物使用時の手指の位置についての再確認を指示しています。また、カッターナイフや刃物の使用時の注意をサイト内のサイネージで繰り返し啓発しています。

エルゴノミクス(人間工学)に基づく対策
(Olympus Surgical Technologies America 米国)

同じ姿勢で長時間繰り返し行う作業による、腱鞘炎や腰痛、首肩のこりの発生を低減するため、荷物棚の適正な高さへの調整、昇降式の作業台や椅子の導入といった作業姿勢の改善、工具のグリップ改善による手首への負担軽減などに取り組んでいます。また、エルゴノミクスへの理解を促進する資料を展開し、作業者の健康維持や作業効率の向上に努めています。

欧州地域の取り組み

設備導入時の安全性評価
(KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. 英国)

新たな設備を導入する際は、従来よりも有効な安全対策を盛り込むことができる重要な機会ととらえ、安全衛生の専門家の視点を入れて厳格に評価しています。具体例として、更新時期を迎えたフォークリフトやパレットスタッカーの入れ替えに際しては、シートベルトや作業警告灯、衝撃センサーなど最新の安全設備を搭載していることを確認した上で導入しました。

手指の切創災害対策
(Olympus Surgical Technologies Europe | Olympus Winter & Ibe GmbH ドイツ)

騒音暴露アセスメントに基づく対策
(Olympus Medical Products Portugal, Unipessoal LDA ポルトガル)

騒音性難聴などの健康障害を予防するため、大きな音に長時間さらされることのないよう、「職場の騒音曝露アセスメント」を実施しています。このリスク評価に基づいて、防音カバーや保護具の着用、作業時間の見直しなどの適切な対応策を講じることで従業員の健康リスクを軽減しています。

中国地域の取り組み

リスクアセスメントに基づく機械設備への対策
(Olympus Trading(Shanghai) Limited 上海)

職場の安全を維持するため、毎年リスクアセスメントを実施しています。アセスメントの結果、リスクが高いと特定したラベル自動貼付機に対し、巻き込まれ防止のための防護柵、ならびに関係者以外が設備エリアに立ち入ることを防ぐゲートを設置するなどの対策を行いました。

職場安全点検と緊急時に備えた訓練
(Olympus Trading (Shanghai) Limited 広州)

安全点検を職場の安全を維持するための重要活動の1つとして位置づけ、四半期ごとに実施しています。特に火災安全や化学物質管理に重点を置いて点検し、化学物質保管庫のレイアウト見直しや緊急避難ルートの整理整頓といった改善を行いました。また、万一の事故に備えた準備も同様に重要と考え、火災を想定した避難訓練やエチレンオキサイドガス(EOG)漏洩を想定した緊急対応訓練を毎年実施しています。

アジア・オセアニア地域の取り組み

安全文化の醸成と安全意識向上の強化月間
(Olympus Vietnam Co., Ltd. ベトナム)

新規施設稼働前の安全衛生面の現地踏査
(Olympus Australia Pty Ltd. オーストラリア)

新たに建設した滅菌施設の稼働に先立ち、職場環境の安全面や健康面をさらに向上できる要素がないかを確認するために労働安全衛生部門のメンバーが現地調査を行いました。人間工学上の改善、転倒リスクのある場所の改善、危険物の保管や漏洩防止・換気などの設備面だけでなく、応急処置の体制、協議体制の確立、教育資料の充実などの運用面の取り組みを通じ、職場環境の安全性を向上させました。

火災を想定した防災訓練と講習会
(Olympus Corporation of Asia Pacific Limited. & Olympus Hong Kong and China Limited ⾹港)

安全運転の教育・啓発
(Olympus Korea Co., Ltd. 韓国)

交通事故は生命に影響する災害につながる可能性があるため、全従業員が安全運転の意識を高めて、それを実践することが重要です。そのため、1年を通じて、交通事故の現状や、居眠り運転、雨季の安全運転など時節に応じたメッセージを配信し、安全運転に対する意識を高めました。