労働安全衛生

基本的な考え方・方針

オリンパスグループは、「オリンパスグローバル行動規範」において、職場の安全衛生と従業員の健康についての考え方と、そのために必要な行動を以下のように定めています。

安全で衛生的な職場環境

オリンパスにとって職場の安全衛生は最優先事項です。私たちは、職場での事故や職業病を防ぐための事前措置を講じています。人間工学に基づいた、働きやすい環境の提供に努め、健康とウェルネスの促進を図っています。

必要な行動
  • 自分と他者の安全を念頭に、正しい判断を下し、行動する。
  • 安全上の懸念や、業務上の傷害や疾病の発生状況を報告する。
  • 暴力行為を決して軽視せず、他者からの暴力的な脅迫やその兆候を報告する。
  • 該当する安全衛生規制を順守する。

この行動規範を行動に移す上での方針を示す「環境安全衛生ポリシー」を策定し、安全で健康的に働くことのできる職場環境の整備に努めています。

環境安全衛生ポリシー

推進体制・取り組み

グローバルな安全衛生活動体制

オリンパスグループでは、CEOおよびCHRO(Chief Human Resources Officer )が安全衛生最⾼責任者を務め、EHS(環境・健康・安全衛⽣)を含む、⼈事・総務機能を統括するHuman Resources Headがグループ全体の安全衛生業務の統括責任者を務めています。Human Resources Headにより策定された「環境安全衛生ポリシー」のもと、EHS統括部門が年度ごとのEHS(環境・健康・安全衛⽣)活動⽅針を定め、グローバル各拠点で活動を推進しています。グローバルの各拠点においては、法令・ルールの確実な順守と安全衛⽣リスクの低減を⽬的とし、安全衛⽣管理の仕組み整備、リスクアセスメント、リスク低減活動、従業員に対する教育・訓練、内部監査や職場巡視、外部専⾨家によるリスク診断などの取り組みを推進しています。

2023年3⽉期は重⼤災害0件と、休業災害発⽣率を前年度以下(0.67)を⽬標としてグローバルの各拠点で安全衛⽣活動を推進しました。これら活動の結果として、重⼤災害は0件で、休業災害発⽣率も前年度以下(0.63)となり、目標を達成しました。

グローバルな安全衛生活動体制/Chief Executive Officer,Chief Administrative Officer/Human Resources Head/トップマネジメント/Environment Health Safety,Grobal/地域統括法人(日本・米州・欧州・中国・アジア・オセアニア)/法人・事業場

外部認証取得状況一覧(労働安全衛生マネジメントシステム)

オリンパスは、労働安全衛⽣の管理システムを構築・維持し、継続的に改善するとともに、顧客やステークホルダーからの信頼性向上のために、労働安全衛⽣マネジメントシステムの認証取得の取り組みを進めています。

事業場 認証 取得年
会津オリンパス JISHA方式適格OSHMS※1 2011年
白河オリンパス ISO 45001 2020年
青森オリンパス JISHA方式適格OSHMS※1 2009年
KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. ISO 45001 2020年
Olympus Iberia S.A.U. ISO 45001 2021年
Olympus Trading (Shanghai) Limited 安全生産標準化企業認定 2015年

※1 中央労働災害防止協会が実施しているJISHA方式適格OSHMS基準に適合している事業場を評価認証機関が認証する制度

労働災害データ

労働災害データの集計範囲は下記拠点です。

⽇本:オリンパス株式会社および⽇本の全ての連結グループ会社

⽶州:地域統括会社Olympus Corporation of the Americasと主要関係会社

欧州:2022年3月期までは地域統括会社Olympus Europa SE & Co. KGと主要関係会社(販売子会社を除く)

2022年3月期までは地域統括会社Olympus Europa SE & Co. KGと主要関係会社(販売子会社を除く)

アジア・オセアニア:2022年3月期までは主要製造拠点

2023年3月期以降は主要製造拠点および中国販売子会社を含む

2022年3月期以前は科学事業のデータを含む

休業災害件数

2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期
日本 6 4 2 2 6★
米州 37 20 4 12 2★
欧州 11 6 16 14 19★
アジア・オセアニア 14 8 6 4 5★
合計 68 38 28 32 32★

第三者検証における保証対象指標

休業災害(1日以上)度数率※2(LTIFR)

2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期
日本 0.20 0.13 0.08 0.08 0.29★
米州 3.27 1.93 0.39 1.13 0.21★
欧州 1.97 1.07 2.04 1.86 1.54★
アジア・オセアニア 1.34 0.77 0.62 0.72 0.62★
全体 1.17 0.66 0.52 0.67 0.63★
全産業(日本)※3 1.83 1.80 1.95 2.09 2.06
製造業(日本)※3 1.20 1.20 1.21 1.31 1.20

第三者検証における保証対象指標

※2 休業災害度数率=休業災害件数÷(期末従業員数×労働時間)×1,000,000

※3 厚生労働省 労働災害動向調査より

業務上疾病度数率※4(OIFR)

2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期
日本 0.07 0.07 0 0 0

※4 業務上疾病度数率=休業を伴う業務上疾病件数※5÷(期末従業員数×労働時間)×1,000,000

※5 業務上災害のうち、厚生労働省職業病リスト(労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)別表第一の二)に該当するもの

労働災害死亡者数※6

2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期
日本 0(1) 0(0) 0(0) 0(0) 0★(0)
米州 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0★(0)
欧州 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0★(0)
アジア・オセアニア 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0★(0)
合計 0(1) 0(0) 0(0) 0(0) 0★(0)

第三者検証における保証対象指標

※6 数値は直接雇用者を示し、カッコ内はコントラクター(派遣労働者)を示す

従業員教育

オリンパスグループは従業員の安全衛生に対する意識を高めるために、さまざまな安全衛生教育を実施しています。

区分 対象者 主な教育内容
基礎教育 新入社員 新⼊社員の雇⼊れ時の安全衛⽣基礎教育(安全衛⽣関連法規制、社内管理体制・ルールなど)
  • ⽇本:2022年4⽉実施(受講者 52名)
  • 中国:⼊社後1週間以内に実施
  • アジア:2022年7月製造拠点において実施(受講者661名)
対象従業員 安全衛⽣基礎教育(安全衛⽣関連法規制、リスク低減対策など)
  • ⽶州:2022年7⽉-8⽉実施 (受講者4,225名)
  • 欧州:2022年10月-12月職制向け実施
  • ⽇本:2023年3月期実施(受講者累計3,861名)
専門教育 対象従業員 安全道場を通じた危険体感教育(現場で起こり得る危険の疑似体験)
  • 日本:製造拠点において実施
安全漫画による業務上災害低減の教育
  • 日本:製造拠点において実施(受講者:4,071名)
毒物及び劇物取締法順守の教育
  • ⽇本:製造機能の化学物質管理者および職制向け実施(受講者:1,333名)
  • 日本:毒物劇物取扱責任者および化学物質販売部門の管理者向け実施(受講者:66名)
ロックダウン後の職業健康・操業再開安全生産講習
  • 中国:2022年6月実施(受講者:約300名)
安全衛生推進者 リスクアセッサーの⼒量向上教育(リスクアセスメント⼿法など)
  • アジア:製造拠点において実施(受講者:24名)
内部監査員 安全衛生マネジメントシステム内部監査員の⼒量向上教育
  • 欧州:製造拠点において実施
  • 日本:製造拠点において実施

各地域の活動

日本地域の取り組み

安全衛生マネジメントと事故水平展開の強化

⽇本地域では、「労働安全衛⽣マネジメント規程」に基づいて、各拠点における安全衛⽣委員会の推進責任者で構成する「全社安全衛⽣推進委員会」を設置し、安全衛⽣活動計画の達成に向けた活動を推進しています。安全衛⽣管理の仕組みの構築と改善、リスクアセスメントに基づくリスク管理、従業員への教育・訓練と意識啓発などの定例的な取り組みに加え、安全衛生上の重大事故が発生した場合には、類似の事故が再発しないよう、臨時委員会を開催して国内グループ全社への水平展開を実施しています。
また、従業員数50名以上の全ての国内拠点において、産業医と衛生管理者による法定の職場巡視を実施し、巡視のなかで安全衛生上のリスクが発見された場合には、各拠点においてすみやかに改善を実施しています。

製造⼯程における⽚刃カミソリの⼿持ち作業廃⽌に向けた取り組み
(会津オリンパス、⻘森オリンパス)

製造⼯程における刃物の使⽤をより安全に⾏うため、安全衛⽣管理部⾨と製造部⾨が連携し、⽚刃カミソリからカッターナイフなど持ち⼿のある刃物への変更や治具の作成による⽚刃カミソリの⼿持ち作業廃⽌に向けた取り組みを実施しました。その結果、会津オリンパスでは2022年3月期内に⽚刃カミソリの⼿持ち作業を100%廃⽌することができ、以降は⽚刃カミソリによる労働災害ゼロ件を維持しています。

安全漫画による啓発
(会津オリンパス、白河オリンパス)

類似災害の防止と安全衛生管理への全員参加の風土醸成を狙いとして、会津オリンパスと白河オリンパスで過去に発生した労災事例をもとに安全漫画を作成し、国内製造拠点の全従業員に公開し分かりやすく教育を行いました。

交通安全の取り組み

米州の取り組み

環境安全衛生教育の実施
(Olympus Corporation of the Americas 米国)

Olympus Corporation of the Americasでは、全従業員を対象とした環境安全衛⽣基礎教育をオンラインで毎年実施しています。2022年3⽉期は、化学物質の安全性などの規制上のトピックや、環境マネジメントシステム教育に加え、⼈間⼯学や重量物の安全な運搬に関する内容を含め、強化しています。2022年3⽉期より受講者の対象を⽶国国内だけでなく⽶州全域に対象を拡⼤し、2023年3月期には4,225名が受講しました。

安全衛生の啓発レター/デジタルサイネージでの周知
(Olympus Surgical Technologies America ⽶国)

Olympus Surgical Technologies Americaでは、防カビ対策・害虫対策・刃物取り扱い上の注意事項など、安全衛生を実現するうえで欠かせないトピックを毎月のメールでの配信やデジタルサイネージによって、全従業員向けに周知を行っています。

欧州の取り組み

労働安全衛生委員会の開催
(Olympus Europa SE & Co. KG ドイツ)

Olympus Europa SE & Co. KGでは、各職場から安全管理者を集めて年に4回労働安全衛生委員会を開催し、リスクアセスメントの実施、オペレーション管理の統合、新型コロナウイルス感染症対策や在宅勤務についての協議を行っています。

欧州全域の子会社におけるリスク低減活動の確認
(Olympus Europa SE & Co. KG ドイツ)

Olympus Europa SE & Co. KGでは、欧州全域を網羅している販売子会社から安全衛生に関わる情報を集め、リスクアセスメントが行われているかどうか、重大な休業災害が発生していないかを確認し、労働災害の削減に努めています。

ISO45001認証維持と安全衛生教育ポータルの新設
(KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. 英国)

KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd.は、2021年1月に全拠点において取得したISO45001の認証を維持し、マネジメントシステムの運用を通じて、業務上の事故・災害を低減する活動を行っています。
2023年3月期には安全衛生・健康・環境の教育コンテンツを統合したオンライン教育のポータルサイトを新たに開設しました。分かりやすい動画やイラストを活用した教育コンテンツにより、受講者が直感的に内容をとらえられるよう工夫がされ、全従業員の安全衛生や健康・環境に対する理解が進んでいます。
また、社内の従業員教育に加えて、地元の高校生を招いて、施設の見学、危険予知演習、ISO45001の概要説明を通じて、職場における健康と安全の管理方法を理解するための受入れ教育を実施しました。

中国の取り組み

安全生産標準化企業認定の更新・監査・報告
(Olympus Trading(Shanghai) Limited 上海)

Olympus Trading (Shanghai) Limitedでは、上海市応急管理局の要求である企業安全生産標準化の基本規格に基づき、安全生産・職業健康・職場環境評価を含む安全生産管理体制を構築しています。「安全第一、予防第一、総合管理」を目標として、安全生産についての方針や目標の設定、委員会の設置、緊急時対応マニュアルの作成、緊急時対応訓練を実施しています。2023年3月期には、医療サービスオペレーションセンターの移転に伴い、安全生産標準化企業認定証書を更新しました。今後も定期的に安全生産に関するリスクや事例の分析を実施するとともに、多様なトレーニングで社員の安全生産意識の向上を図っていきます。

リスク低減活動と教育・緊急訓練
(Olympus (GuangZhou) Industrial Co., Ltd. 広州)

四半期ごとに生産安全監査や消防安全監査を実施し、対処が必要な箇所について順次是正措置を行うことで生産工程や消防設備のリスクの最小化に努めています。また、エチレンオキサイドガス(EOG)漏れの訓練やオートクレーブ設備での蒸気火傷に対する応急措置の訓練、救急スキルの講習会など、関係者向けに緊急時の対応訓練を行うことで、緊急事態が発生しても速やかに適切に対処できるような体制をとっています。
2023年3月期には、集塵機を防⾳素材でとり囲んで、運転時に発生するノイズの軽減措置を実施することで、従業員の健康と作業環境に配慮する取り組みを行いました。さらに、通勤途上災害の発生リスクを低減するため、地元の警察官を招いて交通安全教育を実施し、警察官から交通事故の実例を紹介いただきながら、従業員の交通安全意識の向上を図りました。

アジア・オセアニアの取り組み

労働安全衛生の月次パトロールと外部機関による設備点検
(Olympus Vietnam Co., Ltd. ベトナム)

Olympus Vietnam Co., Ltd.では毎月リスクアセスメントチームを編成して作業エリアのパトロールを行っています。パトロールのなかでリスクや不適合を見つけた場合にはすみやかに是正措置を講じています。また、2022年3月期には、5月を労働安全衛生月間として、「労働安全衛生カイゼンコンテスト」を実施し、安全性向上のための優れたアイデアを提案した従業員16名を表彰しました。さらに外部機関による作業環境測定を実施して、従業員の健康に配慮した、より安全で健康的な作業環境を実現するように努めています。

安全運転ポリシーの改定
(Olympus Australia Pty Ltd. オーストラリア)

Olympus Australia Pty Ltd.では、フィールドスタッフ向けに安全運転の社内ルールを策定しています。2023年3月度には安全運転ポリシーを改訂し、長距離運転で携帯電話の通信圏外を移動している場合のリスクを軽減するために衛星電話を携行すること、出張計画と出張前後のチェックリストにより上長とのコミュニケーションを必須とすることを定めました。