ところが、症状は一向によくなりません。病院に行く回数が増えた2012年ごろ、転機が訪れます。新たに訪れた病院で、10万人に1人という希少な病気「食道アカラシア」と診断されたのです。
「初めて聞いた病名でした。食道の筋肉の機能障害で、食道の蠕動(ぜんどう)運動がうまくできなくなり、食べ物の通過が困難になる病気だと聞きました」
医師から、治療方法は「バルーン拡張法」か「開腹手術」の2つだと告げられました。
「バルーン拡張法だと再発の可能性が大きいと言われました。もう一つの開腹手術は、とても恐ろしく感じました。結局、まだ若いし、自然に治ることもあるのではないかと考えて、本格的な治療は先送りにしました」
その後、経口内視鏡的筋層切開術(以下、POEM=Peroral Endoscopic Myotomy)という新しい治療法があることを知りました。
「開腹手術をしなくてよいのは魅力でしたが、当時の大連ではまだ実施例が少ない最先端の術式だと聞き、2年ほど待ちました。私はとても慎重な性格なんです」
高さんは症例が増えるのを待ち、副作用の面なども問題ないか確認しました。その上で、2015年、ついにPOEMを受けることを決めました。食道に内視鏡を入れて、食道と胃のつなぎ目を切開し、食べ物が流れやすいように拡大します。手術は無事成功しました。
「手術の前は緊張しましたが、内視鏡手術ですから傷口も小さく、回復も早かったです。術後3日ほどで退院することができました」
この手術をきっかけに、オリンパスとの出会いも生まれました。
「オリンパスのことは、カメラのメーカーとして知っていましたが、病院で内視鏡のポスターを見て、医療機器のメーカーでもあると初めて知りました。自分の手術にも最新のオリンパス内視鏡が使われたことが分かり、強く印象に残りました」




