遺伝子検査に救われた:膵臓がん

アメリカで、妻と2人の子どもと暮らすニック・ピファニ。走ることが大好きで、毎日トレーニングを欠かさず、時にマラソンやアイアンマンのレースにも出場しています。ある朝、いつものようにジョギングに出かけようとした矢先、ニックは体の異変に気付きました。

突然の背中の痛み

2017年3月。当時42歳だったニックは、2週間ほど腹痛に悩まされていました。消化器内科を受診しようと病院へ予約を入れましたが、診察してもらえるのは4週間も先とのこと。診察の日を待つ間、ニックは突然、これまで経験したことのない激しい背中の痛みに襲われます。その痛みは3日間続き、夜も眠ることができなかったため、ニックは緊急治療室に向かわざるを得ませんでした。

膵臓に腫瘍が見つかる

医師は、まず胆石の可能性を疑い、超音波検査を行いましたが、結果は陰性。次に虫垂炎の可能性を疑い、CTスキャンを行ったところ、膵頭部に腫瘤のようなものが見つかりました。2日後のMRI検査でも膵臓に腫瘤が確認されたため、かかりつけの医師はニックにすぐに専門医に診てもらうよう勧めました。

2か所のがん専門施設を訪れたニックは、再度検査を受けることになりました。検査の結果、非常に大きな腫瘍が太い血管のすぐ近くに位置しており、手術が不可能なステージⅢの「膵臓がん」と宣告されたのです。

遺伝情報の発見が命を救った

実はこの診断の数週間前、偶然にも彼のいとこも同じ医師から「膵臓がん」の宣告を受けていました。そして、2人の血縁関係を知った医師は、ニックに遺伝子検査を勧めます。遺伝子を解析した結果、ニックには白金製剤を用いた化学療法が有効であることが分かり、数回の放射線治療の後、彼の腫瘍は手術ができるほどに小さくなったのです。

ニックは、この遺伝子検査と化学療法が自分の命を救ってくれたと語ります。「遺伝子検査が、より広く普及して欲しいと思っています。すべての膵臓がんが同じというわけではありません。初期段階から、最適な治療を受けることができれば、良い結果を得られる可能性が高まると思います。患者という立場でも、知識や情報が多ければ多いほど、病気と闘う大きな助けになると思うんです。」(ニック)

ニックの使命とは

がんを克服し4年が過ぎた現在、ニックは「Stand Up To Cancer」や「Pancreatic Cancer Action Network」などの団体に所属し、膵臓がんの早期発見や遺伝子検査に関する研究費の募集、患者の支援活動に精力的に取り組んでいます。

「私は家族を数名、膵臓がんで亡くしています。自分のためだけでなく、彼らのためにも活動を続けたいんです。がんを克服したらボランティア活動に参加して、自分の経験を役立てたいと思っていました。自分が体験談を話すことで、たった一人でも救う手助けができたら・・・こんなに嬉しいことはありません。」(ニック)

患者さんの状態や感じ方、治療内容は個人差があります。診断、治療については医師にご相談ください。