年度ごとの活動計画に基づき、人事EHS部門が主体となって、健康保険組合や産業保健スタッフ、産業医などの関係部門と連携し、オリンパスの国内グループ会社全体での活動を推進しています。
健康経営戦略マップ
従業員の健康管理・健康増進に関わる取り組みと経営課題との繋がりを明確にした健康経営戦略マップを作成し、アブセンティーズム(平均休業日数)とプレゼンティーズム(仕事における自身の能力発揮度)を健康経営の指標として、従業員の健康増進に向けた取り組みを積極的に進めています。
オリンパスグループは、グローバル行動規範の中で、「安全で衛生的な職場環境を最優先とし、職場での事故や職業病を防ぐための事前措置を講じ、働きやすい環境づくり、健康とウエルネスの促進を図る」と定めています。この方針のもと、従業員の健康増進は会社の持続的成長を支える重要な要素の一つと位置づけ、推進体制の構築・整備、具体的な取り組みを積極的に進めています。
オリンパスグループは、健康管理・健康増進の取り組みを通じ、次の姿を実現したいと考えています。
目指す姿を実現するために取り組むべき重点施策は、大きく以下の2点としています。
2008年にオリンパス株式会社人事部門に従業員の健康活動を推進・統括する部署を設置し、健康保険組合と連携しながら、国内グループ会社の一元管理を始めました。以後、産業保健体制、健康管理運営ルールや健康管理システムの構築・整備を進め、こうした取り組みの成果を基盤として、活動を推進しています。
オリンパスグループは、グローバル⾏動規範の中で「安全で衛⽣的な職場環境を最優先とし、職場での事故や職業病を防ぐための事前措置を講じ、働きやすい環境づくり・健康とウエルネスの促進を図る」と定めています。この推進に向けて、⽇本では「オリンパス健康宣⾔」を制定し、国内グループ会社も含めて、従業員とその家族の健康維持・増進を⽀援しています。
健康宣⾔の制定に合わせた重点取り組みとして、受動喫煙対策を進めるとともに、⽣活習慣の改善指導や、がん早期発⾒のためのがん検診の受診勧奨と費⽤補助、ココロの健康障害の防⽌などを通じ健康維持・増進を進めています。
これらの活動によって、私たちは⼼⾝ともに健康で活⼒に満ちた組織⾵⼟づくりを推進し、⼀⼈ひとりの「健康と幸せな⽣活の実現」を⽬指します。
オリンパスグループの経営理念では「世界の⼈々の健康と安⼼、⼼の豊かさの実現を通して社会に貢献する」と謳っています。この活動を⽀えるのは健康で活⼒あふれる社員とその家族であると考えます。
会社は社員と家族の健康を第⼀に考え、以下の取り組みを進めていきます。
1. 会社は、社員の健康を重要な経営課題と考え、安全と健康を最優先する組織文化の醸成を図っていきます。
2. 会社は、社員が心身ともに健康でいきいきと働く職場環境を整えていきます。
3. 会社は、健康保険組合と協力し、社員と家族一人ひとりの健康づくりを支援していきます。
年度ごとの活動計画に基づき、人事EHS部門が主体となって、健康保険組合や産業保健スタッフ、産業医などの関係部門と連携し、オリンパスの国内グループ会社全体での活動を推進しています。
従業員の健康管理・健康増進に関わる取り組みと経営課題との繋がりを明確にした健康経営戦略マップを作成し、アブセンティーズム(平均休業日数)とプレゼンティーズム(仕事における自身の能力発揮度)を健康経営の指標として、従業員の健康増進に向けた取り組みを積極的に進めています。
健康経営戦略マップに基づき、目標指標としているアブセンティーズムとプレゼンティーズムを改善していくために、①良い生活習慣づくり ②健康診断・事後措置、がん検診 ③こころの健康づくりを重点施策として、各種取り組みを積極的に進めています。
生活習慣病を予防し、心身共に健康な状態を維持するには、良い生活習慣づくりがとても大切です。オリンパスの国内グループ会社では、5つの良い生活習慣を設定し、それぞれの指標改善を進めています。
指標 | 目標値 | ||
---|---|---|---|
全体 | 5つの良い生活習慣の平均保有数 | 前年に対して改善 | |
5つの良い 生活習慣 |
|||
運動 | 1日30分以上の運動を週2回以上かつ1年以上の実施 | ||
休息 | 寝つきの良さ、規則正しい睡眠、睡眠時間、日中の眠気 | ||
食事 | 毎日の朝食、間食の有無、栄養バランス、摂取カロリー | ||
禁煙 | 1日当たりの喫煙状況(電子・加熱含む) | ||
飲酒 | 1日4日以下の飲酒 |
健康診断の受診、健診結果の把握・改善は、健康管理上、基本的な取り組みとなります。定期健康診断の有所見者率、がん検診の受診率を指標として、改善に向けた取り組みを継続的に進めています。
指標 | 目標値 | |
---|---|---|
定期健康診断の有所見率 | ①血圧、②血中脂質、③血糖 | 前年に対して改善 |
がん検診受診率 | ①胃部、②大腸、③乳がん、④子宮がん |
生活環境や仕事環境が大きく変化する中、メンタルヘルスは益々重要な要素となってきています。ストレスチェックによる高ストレス者の割合を指標として、予防措置から不調者対応、休職者の復職支援等、幅広い改善施策を展開しています。
指標 | 目標値 | |
---|---|---|
高ストレス者の割合 | 前年に対して改善 |
2023年度の健康経営度調査では、精密機器の業種内でトップレベルのスコアを取得するなど、活動が高く評価され、7年連続で「健康経営優良法⼈〜ホワイト 500」に認定されました。
今回は特に、推進体制や健康経営戦略マップなどを公開したことや、重点施策に対して評価指標を設定し、レビュー活動を強化したことが「経営理念・方針」や「評価・改善」の項目のスコア向上につながりました。
同時に、関連会社のオリンパスマーケティング、会津オリンパスも「健康経営優良法⼈」に認定されています。
オリンパス
オリンパスマーケティング
会津オリンパス
従業員の健康増進のためにスポーツ活動の促進・⽀援に積極的に取り組んでいる企業として、スポーツ庁による「スポーツエールカンパニー」に3年連続で認定されました。特に、コロナ禍による運動不⾜の解消に取り組むなど、従業員の健康に配慮した取り組みが評価されました。また、2023年は関係会社のオリンパスマーケティング、オリンパステルモバイオマテリアルも「スポーツエールカンパニー」に認定されています。
2023年3月1日 オリンパス、スポーツ庁「スポーツエールカンパニー2023」に認定
生活習慣病の予防、改善のためには、良い生活習慣を身につけることが大切です。各拠点の医療職が中心となって、従業員の主体的な行動を支援するため、さまざまな活動を実施しています。
運動 | 動画オンライン |
・運動セミナーを1~3月の間で、16回(座学含)実施し、 ・参加者の83%が運動をするきっかけづくりにつながったと回答 |
---|---|---|
ウォーキング キャンペーン |
・年間4回、期間1か月間程度で実施 |
|
食事 |
社員食堂 とのコラボ |
・社員食堂にて、シーズン毎のイベントに合わせたヘルシーメニューを提供 ・骨強度や血管年齢の測定なども併せて実施 |
喫煙 | 禁煙 |
・全拠点において2021年3月末に敷地内の全面禁煙を完了 ・喫煙者に対して産業保健スタッフが卒煙に向けた支援を実施 ・健康保険組合が禁煙治療の全額費用補助の提供 ・結果:2023年3月末の喫煙率は15.9%(前年比0.5%ダウン) (国内グループ会社全体) |
情報発信 ・教育 |
健康ポータルサイト |
・健康保険組合にてウェルスポートナビを導入し、⼀人ひとりの健康管理を促進 (国内グループ会社全体) |
ニュースレター の配信 |
・各健康増進テーマについて定期的に配信、2023年3月期配信回数11回 (国内グループ会社全体) |
各拠点に常駐している産業医、医療職を中心に定期健康診断、事後措置にもとづく面談、フォローをきめ細かく実施しています。有所見者および精密検査の受診が必要となる従業員への受診勧奨などの働きかけも強化しています。
オリンパスでは、がんの早期発見・早期治療に向けて自社製品である内視鏡検査を健康診断のメニューに組み込むとともに、受診勧奨も積極的に実施し、高い受診率(2023年3月期 胃部内視鏡72.7%、大腸内視鏡62.5%)を維持しています。
検診費用は一部を除き被扶養者含めて健康保険組合が全額を補助し、婦人科健診も全年齢を対象とするなど、充実したサポートを提供しています。
また、従業員向けに定期的にeラーニングやセミナーなどを開催し、がんに対する知識向上、検診受診率向上を促進しています。
検査項目 | 対象 | 健保費用補助 | 受診勧奨※年 |
---|---|---|---|
胃がん(内視鏡) | 35歳以上 | 全額 | 2年に1回 |
胃がん (ペプシノゲン検査) |
35歳以上 | 全額 | 胃内視鏡を受診しない年 |
大腸がん(内視鏡) | 35歳以上 | 全額 | 3年に1回(40歳以上) |
大腸がん (便潜血検査) |
35歳以上 | 全額 | 大腸内視鏡を受診しない年 |
乳がん・子宮がん | 全年齢女性 | 全額 | 2年に1回 |
前立腺がん (PSAマーカー) |
50歳以上男性 | 全額 | 2年に1回 |
腹部超音波検査 | 40歳以上 | 全額 | 2年に1回 |
肺がん (肺ヘリカルCT) |
40歳以上 | 半額(上限5,000円税込み) | 個人の判断で受診 |
※受診勧奨:対象年齢から⼀定年未受診の人(受診推奨年を経過しても未受診)に対して実施
オリンパスでは、メンタルヘルスも重点課題の一つとして、さまざまな角度から施策を展開しています。また、昨今の生活・働き方の急激な変化を受けて、内容の充実を図っています。
ストレスチェックは、オリンパス株式会社および国内グループ会社を対象に⼀⻫に実施しています。受検率も例年90%以上で推移しており、高ストレス者への適切な面談実施に加えて、個別相談・フォロー活動なども強化しています。
セルフケア |
1)メンタル教育 ・全社員向けセルフケアeラーニングのセミナーの実施 ・医療職による新入社員向けセルフケアセミナーの実施 |
---|---|
ラインケア |
1)職制教育・支援 ・階層別の職制向けメンタルヘルスのセミナーの実施(オンライン・対面) |
事業場内産業保健ス タッフによるケア |
1)相談窓口・復職支援 ・各拠点に常駐している産業医、医療職が従業員、職制からの相談に応じている。相談内容に従い、適切な対応を実施 2)新入社員との面談 ・新入社員、中間採用者の教育と状況把握を目的に全員に個別面談を実施 |
事業場外資源による ケア |
1)外部心理カウンセラー等 ・個別のケースごとに外部の心理カウンセラーによる個別カウンセリングを実施 ・外部カウンセラーによる教育セミナー等の実施 2)外部の相談窓口の設定 ・外部の健康相談窓口を設置 |
健康管理・増進の各取り組みを通じて、病気予防と重症化予防に力を入れていますが、同時に病気療養者に対しては、治療と仕事の両立支援の観点で、積極的な支援対策を進め、従業員が安心して仕事に従事できる環境を整備しています。具体的には、各拠点に常駐する産業医・看護職が、療養を必要とする従業員に対して、有給休暇やフレックス制度、在宅勤務制度などを活用した、療養から復職までの具体的な支援計画を作成しています。2020年4⽉から、さらに従業員をサポートする取り組みとして、厚⽣労働省が⽀援を推奨する疾病に対して、特別休暇を付与する制度の運⽤を開始しました。
女性特有の健康課題に対してのサポート活動を推進しています。2023年3月期は、2022年3月期に引き続き「婦人科悪性腫瘍・更年期障害について」というテーマで、外部講師(医師)によるオンラインセミナーを開催しました。
引き続き、女性の健康課題に焦点を当てた取り組みを積極的に展開していきます。
海外拠点に勤務している日本人駐在員は2023年3月期末時点で約150名います。
海外駐在員の健康支援として、担当の産業医、保健師・看護師を配置し、赴任時、帰国時の⾯談に加え、⽇常的な健康相談にも対応しています。この取り組みは駐在員本⼈だけではなく、その家族の健康支援も含んでいます。
駐在員は赴任時や帰任時に⾏う法定の健康診断以外に、⽇本に⼀時帰国した際にも健康診断(⼈間ドック項⽬)を受けることができ、健康診断の確実な受診と、結果に基づく事後措置対応の充実を図っています。
また産業医が海外法⼈に定期的に訪問し、現地での生活環境、仕事環境を把握し、健康支援策の向上に努めています。
感染症対策については、一般的な予防措置だけではなく、自社でガイドラインを作成し、業務上の必要性に応じて、適切な対応を実施しています。
2023年3月期の活動例
当社の従業員および家族だけではなく、協力会社に対する健康支援についても実施しています。
項目 | 各テーマと実績 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
5つの良い 生活習慣づくり |
5つの良い生活習慣の平均保有数 (個) |
2022年3月期 | 2023年3月期 | 活動目標 | ||
3.5 | 3.4 | 前年対して改善 | ||||
健診&事後措置 がん検診 |
テーマ | 項目 | 単位 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | |
定期健康診断&事後措置 | 健診受診率(長欠者除く) | % | 100 | 100 | ||
健診の有所見率 | 血圧 | % | 15.4 | 16.1 | ||
血中脂質 | % | 28.5 | 28 | |||
血糖 | % | 6.8 | 6.9 | |||
事後措置面談対象者率 | % | 15.8 | 19.5 | |||
事後措置面談実施率 | % | 99.1 | 99.5 | |||
がん検診 | 胃部 | % | 82.9 | 83.2 | ||
大腸 | % | 80.4 | 80.7 | |||
乳がん | % | 74.4 | 74.5 | |||
子宮がん | % | 69.2 | 69.3 | |||
こころの健康づくり | 高ストレス者の割合 | ストレスチェック受検率 | % | 90.9 | 91.8 | |
高ストレス者率 | % | 15 | 14.8 | |||
面談希望者に対する面談率 | % | 100 | 100 | |||
アブセンティーズム※1 | 日/(人・年) | 0.99 | 0.99 | |||
プレゼンティーズム※2 | % | - | 7.7 | |||
従業員当たりの医療費の前年比 | % | -2.3% | - |
※ 1. 年次の業務外傷病欠勤利用日数の全従業員平均
※ 2. 東大1項目プレゼンティーズム(0~100%)を用いた調査のうち、69%以下と自己評価した割合
BeWellプログラムは、身体的、感情的、環境的、経済的、社会的な領域で、従業員の全体的な幸福をサポートするためのさまざまなリソースとウエルネス活動を提供します。毎週「Wellness Wednesday」というバーチャルクラスを開催しており、メンタルヘルスと幸福感、栄養、ワーク・ライフ・バランス、フィットネスに焦点をあてています。2023年3月期は、外部の専門機関と連携しながら、56のウエルネスクラスを推進し、30以上の対面式ウエルネス教育セッションの実施や毎月ウエルネスニュースレター発行し、毎月オンラインとオンデマンドで1,000人以上の従業員とその家族を対象にした講座を推進しました。さらに、大腸がん啓発月間、肺がん啓発月間、健康チャレンジ(ステップとウォーク)を実施し、従業員の関心を集めました。
一般的なメンタルヘルスの兆候や症状を含むメンタルヘルスの認識向上を目的としたトレーニングコースを開始しました。2023年3月期は、Diversity & Inclusion担当と共同で、メンタルヘルス対応窓口メンバーを対象とした「認定医によるメンタルヘルスセミナー」を実施し、9名の従業員が参加。また管理職を対象としたメンタルヘルス研修に85名の従業員が参加しました。
全従業員を対象にBMI、血圧、コレステロール値、血糖値について学ぶイベント「Know Your Number Challenge」を実施しました。
社内にFirst-Aider(応急処置対応者)が74名、またトレーニングを受けた現場スタッフが24名います。2023年3月期は合計9回のFirstAidトレーニング(社内)を行い、応急処置対応に賛同する多くの従業員が参加しました。
健康キャンペーンとしてフィットネススタジオ運営会社と共同で、ホームオフィスやオフィスの人間工学、健康的な栄養摂取をテーマにしたオンラインセミナーを実施しました。
カイロプラクテッククリニックのカイロプラクターによるスクリーニングを行い、28名の従業員が参加しました。
メンタルヘルス対処方法についてのツールや技術を習得するためのトレーニングを実施し、受講者は社内相談役として活躍しています。
仕事とプライベート生活のバランスを取り、健康意識を高めることを目的とした「ワーク・ライフ・バランス・ウィーク」というイベントを開催し、食生活、運動、セルフケア、前向きな仕事習慣など、さまざまなテーマを設定し、楽しみながら協力し合えるよう、日替わりのアクティビティを実施しました。
ストレス発散方法やマインドセットについてメンタルヘルスセミナーを開催し65名の従業員が参加しました。
歯科医による健康を守るためのセミナーを開催、および従業員への歯科検診を実施し60名の従業員が参加しました。
健康月間として、従業員全員が健康意識を高め健康習慣を身につけるため、アプリに1か月間目標歩数を設定し79人(69%)の従業員が達成しました。
緊急時の救護を行うための訓練とその管理を行うことを目的に、従業員が赤十字社主催の救急救命講習に参加し、包帯の巻き方、骨折の固定方法、効果的な心肺蘇生法など、必要な知識と技術を取得しました。
がんに対する意識向上や参加者の健康増進、環境浄化活動を目的に、がんサバイバーと従業員が一緒に歩きゴミ拾いをする活動「Going-on Walk」を毎年行っています。2023年は67人のがんサバイバー、従業員とその家族が参加しました。
健康診断プログラムを拡大し、2022年は胃内視鏡検査(35歳以上)と大腸内視鏡検査(45歳以上)を提供しています。また、内視鏡検査を促進するためアンバサダーを設定し、検査の必要性などを積極的に共有しています。
メルボルンで開催されるコミュニティイベント「ラン・フォー・ザ・キッズ」に14年連続で参加し、従業員の運動を奨励し、健康的な習慣を促進しています。