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顧客の笑顔を原体験に、修理統括のスペシャリストを目指して邁進

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サービス技術開発

入社の動機

私が高校2年の夏、兄が胆石除去手術を受けることになりました。兄は生まれつき心臓病を患っており、執刀を伴う手術が困難な体だったため、内視鏡による術式が選択されました。内視鏡による手術は、観察と処置が同時にできる上、体への負担が少なく、術後の回復も驚くほど早い。その印象がとても強く残りました。

以来、内視鏡に興味を抱くようになり、大学は生命科学科生命医工学コースへ。解剖学や科学実験のある医学、電子機器や力学などの工学、その両分野を学べることが魅力でした。

卒業後の進路は医療機器メーカーへの就職を志望。当初はMRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピュータ断層撮影装置)など画像診断機器か外科用機器を製造する企業を考えていました。しかし、いろいろと模索するうちに原点回帰し、やはり診断と処置の両方を行える内視鏡を強みとしているオリンパスではより価値が広がると考え、入社を決意しました。

仕事の内容

私が所属しているグループでは、福島県の白河と長野県の伊那の2カ所にある修理拠点を統括しています。主な任務は、新製品の新しい修理技術を導入し、各拠点に分解方法や組立方法などの修理技術を指導すること。このほか、収支管理や品質対応など幅広い業務を担っています。

その中でも私の主業務は、日本で使用されているドイツで製造されたビデオスコープの修理立ち上げです。ビデオスコープは腹腔鏡手術や胸腔鏡手術などで使用される内視鏡のパーツ。これに関し、英文の修理手順書を日本語に訳して不足情報を補いながら、組立・分解・調整・検査の方法をまとめたり、製品の分解図を作成したりして、作業指導を行っています。また、部品の納期や在庫のコントロール、修理価格設定の日程管理なども務めています。いわば修理業務全般の調整役で、他部署や関連企業と折衝する機会も多い立場。課題解決の際は各スタッフと腹を割って話し、ベストな方向へ導けるよう心がけています。

やりがい

大学在学中、自転車修理のアルバイトをしていました。故障が直って喜んでもらえたり、「ありがとう」と言われたりするとうれしくて。はじめは開発のような新しい製品を生み出す仕事にも興味はありましたが、自転車修理のアルバイト経験からなのか、私はユーザーを身近に感じられる修理の仕事に魅力を感じました。現在は、修理の技術的な問い合わせを受ける立場で、解決した際に感謝されると何よりの励みになります。

また、業務では、各修理拠点とのやりとり、薬事承認を下すグループ会社との掛け合いなど、部外とコンタクトを取る機会も多く、調整事項は物流から金銭の流れまで多岐にわたります。最終的に現場の作業が円滑に進み、スタッフから労いの言葉をいただくと報われる思いです。

以前、実地体験のために病院訪問をした際、内視鏡の経年劣化による画像信号の不具合に遭遇したことがあります。直後に手術を控えていましたが、幸いにも院内に代替機があり事なきを得ました。その際に、手術を止めないために修理品の返却期限を守ること、自分が携わるサービスへの価値を再確認し、強い責任を感じました。

常に顧客の立場になって考え、業務に関わる人ともその目的を共有しながら、仕事に取り組むことが重要だと考えています。将来は修理の知識を高め、次世代製品設計に役立てることが目標です。現場から吸い上げた意見をもとに、不具合を起こしやすいポイントをフィードバックし、製品に反映していきたいと思っています。

苦心していること

数年前、アメリカの法規制が変更になり、製品の情報管理のため医療機器への2次元バーコードの表示が義務づけられました。担当しているビデオスコープは、人体に挿入するうえ、洗浄などを行って反復利用する機器のため、仕入れた部品にはレーザーで直接2次元バーコードを印字します。

ところが、修理済みの製品も含めて修理方法を変更する異例のプロジェクトが発足し、部品の仕入れも新規の供給元に切り替えることに。それに伴い、新規部品への在庫の転換、見積価格・価格表示の変更に迫られ、ユーザーや現場担当者へのアナウンス方法の検討も必要となるなど、他部門にも絡むさまざまな課題が浮上しました。

加えて、大詰めの段階で、新規導入部品では製品が稼働しないことが発覚。日程の遅れに対応すべく、修理中の代替機の手配をはじめ、ユーザーへの影響を最小限に抑えるための対策に奔走しました。一方で複数の部署の協力も仰ぎ、何とか難を乗り越えられましたが、この一件を通じて私自身の課題抽出の甘さを反省しました。同時に、自身の成長につながる大きな経験だったとも思っています。

職場の紹介

職場は東京ですが、白河や伊那の修理拠点に出張したりすることも少なくありません。ただ、最近ではパソコンを利用したウェブ会議が増えているため、国内外どこにいても打ち合わせがしやすいので助かっていますね。チームのメンバーは、私と同年代の先輩が1人いる以外は年長者。さまざまな部署を経験してきた方が多く、仕事で困ったことがあれば的確なアドバイスをいただけるので感謝しています。

また、休日には、部長にウェイクボードに誘われたり、職場のメンバーとバーベキューを楽しんだりしています。特に新人研修を一緒に受けた同本部内の同期とは集まる機会が多く、年に一度コテージを借りて泊りがけで遊びに行ったりもします。また、各部門にも同期がおり、外科用製品の製品開発担当者からはユーザーの意見を、営業担当からは現場の情報をと、さまざまな話を聞けて刺激になっています。

学生の皆さまへ

私は、これからは新卒一括採用の時代ではなくなり、就職活動のやり方も変わってくると考えます。その中で社会人としての価値を高めていくには、専門性を極めることが大切ではないでしょうか。新人研修時代、経営層から「自分の専門分野でスペシャリストになって欲しい」というメッセージをもらいました。そのために必要なことは、探究心。どの分野でも物事の根幹を知ろうとする気持ちがあれば、スペシャリストになれるはずです。

就職活動にあたっては、大学で学んだことをそのまま生かせる職場を希望する気持ちもとてもよくわかりますが、学んだこと以外でも、やりたいと思ったことをどんどん極められる仕事に就ければ成功だと私は思います。今後、いくつも企業を見ていかれると思いますが、選択肢を狭めず、自分の興味を追求してください。その結果、心から熱中できる企業・職種に巡り会えることを願っています。

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