事業等のリスク

「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規程を適用しています。
当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性がありま す。当社グループでは、経営理念、経営戦略等を含めた「経営の基本方針」を実現するためのリスクマネジメントの取り組みを実施しています。具体的には、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づき、積極的かつ適切なリスクテイクによる企業の持続的成長や価値創出に繋げる“攻め”と、不正や事故の防止という“守り”の両方の視点で、リスクマネジメントを行っています。
リスクマネジメント体制においては、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、経営戦略ほか当社の事業目標の達成に影響を与えうるリスクの分類を定義し、各リスク分類を管掌する執行役を明確にしています(リスクアシュアランスの確立)。各執行役は管掌するリスク分類に付随するリスクを許容範囲に収めるために必要な各種活動(組織体制の整備、プロセスの整備、重点施策の策定・実行など)を遂行します。
2023年4月よりGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)に関する4つの機能(リスク&コントロール、コンプライアンス、プライバシー、情報セキュリティ)を統括する新組織を発足させました。機能間の連携を高めることで、執行機能におけるリスクマネジメント体制の更なる強化を図ります。
また、リスクマネジメントのプロセスをリスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価およびリスク対応策の設定)、リスク対応策の実行、モニタリングおよびレポーティング、改善のPDCAサイクルで運用しています。リスクアセスメントは、年度計画策定プロセスに連動させ、全社共通の評価基準を用いてリスクを評価し、全社のリスクを可視化、一元管理しています。また、グループの重要リスクについてはその対応状況を定期的にグループ経営執行会議、取締役会および監査委員会へ報告し、継続的にモニタリングしています。

<リスクマネジメント体制(2023年3月期)>

<「経営の基本方針」を達成するためのリスクマネジメント>

以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

<全社重要リスクマップ>

<全社重要リスク一覧>

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分類 リスク名 リスクの種類 影響度・緊急度 傾向
事業環境 医療行政、製品関連法規制強化および感染管理に関するリスク 機会と脅威 A
市場・競合状況に関するリスク 機会と脅威 A
マーケット 経済環境に関するリスク 機会と脅威 C
為替変動に関するリスク 機会と脅威 D
資金調達に関するリスク 機会と脅威 D
事業活動 開発活動に関するリスク 機会と脅威 A
サプライチェーンに関するリスク 機会と脅威 A
業務提携、企業買収、事業売却および投資全般等に関するリスク 機会と脅威 A
経営全般 コンプライアンスに関するリスク 脅威 D
訴訟に関するリスク 脅威 D
情報セキュリティに関するリスク 脅威 A
人材に関するリスク 機会と脅威 A
税務に関するリスク 脅威 D
気候および環境を含むサステナビリティに関するリスク 機会と脅威 C
自然災害、感染症、戦争、内戦およびその他のリスク 脅威 C

直近の事業環境変化

当社グループ全体に影響を及ぼす基本的な環境認識を以下のように捉え、全社および各組織でのリスク認識、対応策の検討を行っています。

左右にスワイプが可能です

Political
政治
地政学 米中貿易摩擦の激化による先端技術の輸出規制が当社グループの業績へ影響を及ぼす可能性。
戦争・紛争の影響を考慮した対応策(BCP策定等)の整備。
Economical
経済
マクロ経済 各国間の経済摩擦、経済制裁の発生、主要原材料の不足あるいは需給バランスの悪化などの複雑な要素に起因する世界的なインフレーション、金利の変動や急激な為替変動。
Social
社会
ステークホルダー 世界的かつ各地域でのステークホルダーからのサステナビリティの観点での要請の高まり、および情報開示の法制化の加速。
Technological
技術
新技術 ビジネスモデルや競合関係の多様化。DX、ロボティクスの加速、AI技術の急速な実用化、医療への適用検討、法規制への影響。

事業環境に関するリスク

医療行政、製品関連法規制強化および感染管理に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:A
  • 傾向:増加↑

リスク

医療分野においては、国内外で医療費抑制や、医療サービスの安全性や有効性の向上を通じた患者様の生活の質(QOL)の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われており、米国食品医薬品局(FDA)や、欧州医療機器規制(EU-MDR)をはじめとする各国の医療機器申請・登録等の法規制要求は年々高まっています。加えて、感染管理、リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)要求も高度化しています。
今後、各国の医療関連法規制や関連した行政の方針などにより、新製品やサービス等をタイムリーに提供できない場合、また、販売した製品等に対する市場対応等を行う場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。一方で、各国における医療政策変更の兆候を早期に捉えることができた場合、具体的な法規制への確実な対応、あるいはオペレーションの計画的な変更に繋がります。
現在当社は2020年に米国で販売を開始した十二指腸内視鏡に関する市販後調査を実施していますが、今後の経過によっては、FDAにより更なる規制措置が取られる可能性があります。
また、2022年11月から2023年3月にかけて、当社グループは、コンプレイント対応、医療機器報告(MDR)、是正予防処置、リスクアセスメント、プロセスおよび設計の検証に関連して、日本の施設に対してFDAより3件のWarning Letterを受領しました。今後の経過によっては、FDAによりさらなる規制措置が取られる可能性があります。

対応策

当社グループは、早期診断および低侵襲治療に寄与する製品ラインアップにより、医療サービスと患者様のQOLの向上に貢献しており、製品ライフサイクルマネジメントおよび感染予防に係る戦略を通じ、法規制に適合した安全な商品の開発と選定に取り組んでいます。今後も、重要な法規制・品質戦略・計画の実行力強化や定期的な監査などを通じて、関連法規の遵守を最優先していきます。
当社グループは、患者様の安全が最も重要だと考えており、各国当局からの指摘事項への対応は必要不可欠です。過去に受けた指摘事項に対する是正処置を遅滞なく行い、直近で当社グループがFDAから受領した3つのWarning Letterに確実に対応していきます。
また、QARAの組織体制・製造プロセス・品質マネジメントシステム・医療事業のクオリティカルチャーに存在すると考えられる根本原因(脆弱性)の改善を推進します。

経営戦略・方針との関連性:Patient safety and sustainability

市場・競合状況に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:A
  • 傾向:増加↑

リスク

先進国を中心に、高齢化が進展しており、医療へのニーズは堅調に推移するものと考えられます。また、各国では増加する医療費の適正化や効率的かつ質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とした医療制度改革が進められています。
このような環境下で、当社グループが関連する事業分野においては多くの競合会社が存在し、技術革新も進んでいます。特に治療機器事業における競争がこれまで以上に激化しています。当社が価格、技術、品質等において、競争力を有する製品を適時に投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。短期的にはEVIS X1などの新製品の投入、中長期ではDX、エンドルミナルなどの内視鏡技術開発が進むことによる収益の増加等の機会を得られる可能性があります。
特に中国市場については、中長期的に高い成長ポテンシャルを有する市場と認識しています。一方で、米中貿易摩擦の激化、中国政府・当局による国産優遇策や集中購買の推進など、中国市場に係る不確実性がこれまでに増して高まっています。さらに、新興国市場についても、経済成長に伴い医療に対するニーズが高まっており、さらなる成長余地があります。今後の政治情勢や政府・当局の政策・規制の動向、あるいは競合会社との競争状況によっては、当社の売上に大きな影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、内視鏡を操作できる医師を増やすべく、トレーニングプログラムの提供など、内視鏡医の育成をサポートしています。
また、当社グループでは市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めます。社内での開発のみならず、M&Aやアライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討します。市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。当社グループにおいては特に、内視鏡事業では消化器内視鏡システムEVIS X1の拡販によって強固なシェアを維持し、治療機器事業では消化器科・泌尿器科・呼吸器科の製品ラインアップの強化によってシェアを拡大し、シングルユース内視鏡等の次世代の医療機器の開発を推進することによって、収益拡大を目指しています。
重要な市場の一つである中国においては、国産優遇策などへ対応するため、以下の対応策を検討し、推進しています。

  • 中国での製造拠点(一部研究開発機能含む)立ち上げ
  • グローバルでのサプライチェーン全体の最適化
  • 米中関係などに関する各種情報収集
  • 有事の際の影響を考慮した対応策(BCP策定等)の整備

新興国についても、専任組織の設置や優先順位の高い国における長期的な投資の開始など、機会を最大化するための活動を推進しています。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth

マーケットに関するリスク

経済環境に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:C
  • 傾向:増加↑

リスク

ウクライナにおける戦争や米中貿易摩擦のほか、地政学的リスクの顕在化や、資源価格の動向等の経済環境の変化により、世界的なインフレーションや急激な為替変動が生じ、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、内視鏡事業や治療機器事業等において製品およびサービスを世界中の顧客に提供していますが、これらの事業の収益はグローバル経済や各国の景気動向に大きく影響を受けます。
医療分野では、各国の国家予算が縮小された場合、あるいは政策の転換等により、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、政策等により関連国家予算が増加した場合、収益の増加等の機会を得られる可能性があります。

対応策

当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、各国による自国の産業育成・保護等の政策につき、特に注視すべき状況となった場合には、必要に応じてタスクフォースの設置や定期的な社内報告等を行います。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth

為替変動に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:D
  • 傾向:増加↑

リスク

当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品およびサービスを提供しています。為替が円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

為替変動リスクを軽減することを目的として、先物為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth

資金調達に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:D
  • 傾向:継続→

リスク

当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。
また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。

対応策

当社グループでは、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth

事業活動に関するリスク

開発活動に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:A
  • 傾向:継続→

リスク

当社グループの医療分野は、高齢化、環境意識の高まりなどを主な要因として、これまで以上に急速な社会環境の変化、不確実性に直面しています。各国の医療政策の変更、医療費削減、医療関連法規制の強化、感染予防・リプロセスに対する要請の更なる高まりにより、技術開発に対するハードル・複雑さは増しています。また、欧米では、環境対応に対する意識が顕著になってきています。それらに対して要求される開発サイクルは短くなる傾向にあります。
技術的には、すべての領域でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が加速しており、いわゆるテクノロジー・イノベーション技術(AI/ロボティクス/ICT)も実用化の段階に入ろうとしています。それに伴い、新技術・代替技術のみならず、巨大IT企業など異業種からの医療業界への参入により事業環境は厳しさを増しています。また、当社グループの医療分野では、患者様ファーストの考えに基づき消化器科、泌尿器科、呼吸器科を中心にケア・パスウェイを広げ、技術開発、イノベーションを通じて診療水準の向上に貢献し、患者様のアウトカムの改善を目指しています。既存の製品・技術に対して顧客のニーズに応じた改良をおこなう「持続型イノベーション」だけでなく、社会環境の変化に対応した新たな発想で技術を実用化する「破壊型イノベーション」とのバランスが重要だと考えています。市場の変化を適切に予測できない、あるいは製品の開発が予定通り進展しないことにより、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴う費用の増加あるいは回収可能額が相対的に低下することによる開発資産の減損損失等が発生する可能性があります。
機会として、当社グループの注力領域における技術開発の発展、およびアンメットニーズに対するソリューション提供を通じた医療への貢献、中長期ではロボティクス技術の普及による、低侵襲治療、医療費削減、医療従事者の負荷軽減の可能性があります。

対応策

当社グループでは、医療分野にフォーカスした機動力のあるコンカレントな技術開発を行うための組織体制を整備しています。また、技術開発およびイノベーションに対して、以下の様な複合的なアプローチを用いるとともにそれを推進する多様な人材の育成、獲得にも注力しています。①既存事業および製品に対する継続的な技術開発、②適切なプロダクトライフサイクル管理による製品の安全性の追及、開発効率向上、開発コストの削減、③M&Aを通じた技術獲得および製品ポートフォリオの拡充、④自社のコア・テクノロジー、コスト、開発期間などを勘案した業務提携、内製・外製の検討、⑤社会課題の解決にもつながる将来の事業および環境対応に配慮した製品開発のためのイノベーションなど。
当社の既存製品に対する技術面での取り組みとして、製品ラインアップの拡充、製品関連法規制への対応、感染予防およびリプロセスへの対応、製品セキュリティ強化の取り組みが必須です。また、感染対策への意識の高まりにより市場のニーズが増している、シングルユース内視鏡に対する複数のラインナップを用意することは優先度の高い開発テーマです。また、当社ではDXを加速させ、デジタル技術を活用したサービスを本格的に始めようとしています。さらに、近い将来に向けて、診療プロセス全体の最適化および新しいビジネスモデル構築のための、より高度なAI、ICTの活用検討、次世代の低侵襲手術に向けたロボティクスの活用検討も推進しています。このような開発活動を通して、予防から診療、予後にいたるまで、患者様がたどる一連のケア・パスウェイに着目し、向上させるためのソリューションを構築していきます。

経営戦略・方針との関連性:Patient safety and sustainability, Innovation for growth, Productivity

サプライチェーンに関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:A
  • 傾向:継続→

リスク

当社グループでは、製品を開発し、必要な部品等を外部の供給元から調達し、生産、製品供給まで、適時に行う必要があります。近年、特に地政学的緊張の高まり、サイバー攻撃、影響力の大きい気象現象、世界的な輸送網の寸断によって、影響力の大きいサプライチェーンの潜在的なリスクが増加しており、原材料および部品調達から製品供給までの不確実性は以前より増しています。貿易における障壁の増加や原材料の入手困難など、外部要因による原材料価格の上昇や製品の不足に対して、強力なサプライヤーマネジメントに集中的に取り組む必要があります。
特定の供給元に依存する部品等について、調達に制約を受ける場合には、当社における生産および供給が中断あるいは遅延する可能性があります。これらのマクロ経済の不確実性および地政学の脅威は、製造供給部門で進めている生産構造改革およびサプライチェーン全体の最適化に大きな影響を及ぼす可能性があります。
世界的な半導体およびその他の部品不足に関しては、全体的な需給は安定化の傾向にあり、リスクも減少方向に向かっています。しかしながら、当社が調達している半導体は供給量が限られ、供給不足が長期化する可能性もあり、引き続き注意が必要です。
地政学的リスク、自然災害、疫病、戦争、内戦、暴動、テロ、サイバー攻撃、港湾労働者によるストライキ、或いは輸送事故などの理由により物流が停滞する場合、配送遅延による売上機会の損失、復旧対応のコスト増加により当社の収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
製品については外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品に不具合等が発生した場合には、リコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、これらサプライチェーンのリスク及び課題に適切に対応することで、生産効率の向上、安定した製品供給、顧客の信頼獲得に繋がり、収益増加の機会を得られる可能性が高まります。

対応策

当社グループでは、不確実性の高い環境下においても、透明性が高く、統合的で強靭なサプライチェーンを構築することを重視しています。事業継続と持続可能な価値創造を見据えて、サプライチェーン方針や、「オリンパスグループグリーン調達基準」を制定し、これらのもとで、法令・社会規範遵守の強化に取り組んでいます。取引先に向けては、法令・社会規範の遵守、汚職・賄賂などの禁止、公平・公正な取引の推進、環境への配慮など、具体的な行動指針を定めています。これらをもとに、公平、公正かつ透明性の高い取引に基づく良好な関係の構築と関係強化に取り組んでいます。
また、当社グループは、サプライチェーンマネジメントの強化を目指しており、部品等の調達から顧客への納品まで、全体を統合したEnd-to-Endサプライチェーンを構築し、顧客満足度およびビジネスの変化対応力の向上、コストの効率化、在庫の最適化を目的とした施策を実行しています。End-to-Endサプライチェーントランスフォーメーションの目標は、製造および調達と緊密に連携してこれらのリスクによる影響を管理し、外的な逆風による影響を制限するための計画および流通プロセスと機能を強化することです。新たに設置されたグローバルディストリビューション機能(End-to-Endサプライチェーントランスフォーメーションの一部)は、安定した配送と、課題やサポートの必要性に対するタイムリーな問題解決をするため、リスクの軽減と対策を、監督および調整しています。サプライチェーン、調達、製造、および営業機能間の緊密なコラボレーションと迅速な意思決定を推進します。
取引先の動向把握や取引先との関係強化を推進するとともに、バックアップ計画の検討を含むBCP(事業継続計画)の強化等を行っており、特に半導体の調達に関しては、社内横断タスクフォースを設置し、取引先との関係強化により、必要量の確保を図っています。また、製品の安定供給のため、各拠点で適切な在庫量を設定するとともに、製造・調達・サプライチェーン機能が一体となって、リスク管理体制を構築し、End-to-Endでのサプライチェーンの変化に対して対応策を講じています。さらに、品質管理部門との協働のもとで、最適な生産システムの構築と品質の向上に努め、製品開発プロセスを事業レビューや技術レビューなどに分けるなど、品質改善活動を推進することで品質問題の抑制を目指しています。製造の観点では、グローバルでの生産負荷最適化、内製/外製の検討、バリューエンジニアリングの推進、製造DXの推進などを通じて、製造コストの最適化を図っています。

経営戦略・方針との関連性:Patient safety and sustainability, Innovation for growth, Productivity

業務提携、企業買収、事業売却および投資全般等に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:A
  • 傾向:継続→

リスク

当社グループは事業ポートフォリオの選択と集中を行っており、特に消化器科・泌尿器科・呼吸器科の領域について優先的に投資を実施しています。事業に係る様々な領域で設備投資や研究開発投資等の投資を実施しており、当該投資に係る意思決定を行った時点から外部環境が急激に変化する等、予期せぬ状況の変化が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 技術および製品開発、販売・マーケティングに関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーに、財務上あるいはその他事業上の問題が発生した場合、また戦略の変更等により提携関係を維持できなくなる等の問題が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って適切に統合できない場合、あるいは既存事業および買収の対象事業について効率的な活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、その他これに伴う費用の発生等が生じる可能性があります。
当社グループは、業務提携の推進等を目的として、投資有価証券等を保有しています。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価および評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、事業ポートフォリオの戦略的な見直しの一環で、当社はノンコア事業と位置付けられた関連会社あるいは事業の売却を実行することがありますが、各国の法規制や経済情勢および相手先の経営状況の変化などにより実施が困難となる場合、あるいは売却損、評価損が発生する場合、当社グループへの経営あるいは財務上の影響が生じる可能性があります。
適切な対応策の下で行われる業務提携および企業買収等を通じて、当社は製品ポートフォリオの拡充や新技術の獲得を進め、ターゲットとする領域および疾患におけるリーディング・ポジションを確立し、長期的な成長と企業価値の向上を実現することが可能となります。

対応策

当社グループでは、投資前には投資評価の妥当性を審議し、投資の可否を判断しており、外部環境の変化等に応じて、投資後も評価を行っています。M&Aや出資の検討に際しては、契約の成立後に深刻な問題が発見されるようなリスクを低減すべく、外部の弁護士や財務アドバイザー等も活用して、各種デューデリジェンスを実施した上で、社内で定められた承認プロセスに従って投資評価の妥当性を審議するなどのプロセスを経て、投資の可否について判断を行っています。また、コンプライアンスを遵守するための内部指針、価値評価モデル、デューデリジェンス項目の見直し定期的に行うとともに、取引が完了した後も対象事業のモニタリングを実施するなど、投資に関するプロセス全体の改善に取り組んでいます。事業売却等においても同様の承認プロセスを経て判断を行い、プロセス全体の改善に取り組んでいます。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth, Productivity

経営全般に影響を及ぼすリスク

コンプライアンスに関するリスク

  • 種類:脅威
  • 影響度・緊急度:D
  • 傾向:継続→

リスク

当社グループおよび当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。また、当社グループでは、規制業種である医療分野を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加えて各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法のほか、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。さらに、不当景品類および不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。当社グループと協力関係にある取引先(ディーラー・サプライヤー)に対しても、高い水準のコンプライアンスが維持されるように取り組む必要があります。
法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰につながる可能性があります。さらに、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には、当社グループの製品に対する需要やそれを使用した症例数の減少などの影響が生じる可能性があります。
当社グループは、世界中のプライバシーに関する規制を受けています。個人情報の取り扱いに関して、世界各国の個人情報保護法制(日本の「個人情報保護法」、欧州連合(EU)の「EU一般データ保護規則(GDPR: General Data Protection Regulation )」)等に違反することにより、政府機関から罰金その他の処分を受ける、またはステークホルダーから訴訟を提起される可能性があります。
当社グループでは、これらの法的規制を遵守することを徹底していますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループではグローバル行動規範において示しているとおり、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しており、贈賄防止や各国の競争関連法を順守することの重要性について従業員への教育を行っています。また、世界中の販売店や第三者を対象に法規制遵守等に係るトレーニングや監査も実施しています。
法務、コンプライアンス、内部監査などの統制部門が、当社グループに適用されるすべての法律、規制、内部方針を遵守しているかどうかという観点から、事業活動をモニタリングしています。また、当社グループは、従業員に対しても必要かつ適切な研修や教育を実施しており、全従業員、第三者、一般の方が懸念事項を報告できる、グローバル通報窓口を開設しています。このグローバル通報窓口は、独立した第三者によって運営されており、365日、24時間いつでも、多言語での受付が可能です。事業を展開するすべてのマーケットにおいて、当社事業に関連する規制をモニタリングし、情報収集を行う体制の構築を進めています。また、関連する法律や規制に改正や変更があった場合には、従業員に対して周知徹底するとともに、その改正や変更に対応した製品を速やかに開発し、供給していきます。
個人情報保護規制に関わるリスク対応としては、2022年3月期にセキュリティおよびプライバシーコンプライアンス戦略を策定し、各地域における個人情報保護関連専門人材の配置を含む対応力の強化を進めるとともに、当社グループ全体での連携をより確実にするためグローバル体制の強化に取り組んでいます。

経営戦略・方針との関連性:Patient safety and sustainability, Productivity

訴訟に関するリスク

  • 種類:脅威
  • 影響度・緊急度:D
  • 傾向:継続→

リスク

国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は研究開発および生産活動において様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたと認識しているものでありますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
当社の連結子会社であるOlympus (China) Co., Ltd.が保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.は、深圳市安平泰投資発展有限公司およびShenzhen YL Technology Co., Ltd.との間で計2件のビジネス上の紛争に関与しており、今後の経過によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

訴訟その他法的な手続きが必要となる事案が発生した場合に、適時に弁護士等の外部専門家と対策を検討することが出来る体制を構築し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社においても社内の関連部署のスキル・専門知識の強化に努めています。また、財務上のリスクを極小化する目的で、訴訟による予期せぬ損失に備えて、保険の付保等を行っています。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth

情報セキュリティに関するリスク

  • 種類:脅威
  • 影響度・緊急度:A
  • 傾向:増加↑

リスク

当社製品やサービスを安定的に継続して提供するため、事業継続を妨げるサイバー攻撃に備え、当社およびステークホルダーの機密情報や個人情報の漏えい防止などの情報セキュリティリスクの低減や、法令違反の防止に努めています。しかしながら世界的に医療機関や製造業、そのサプライチェーンを標的としたサイバー攻撃が急増しており、攻撃の高度化・組織化が進んでいることから、以下にあげるような不測の事態が発生することにより、当社グループの企業価値の毀損、事業競争力の低下、社会的信用の失墜、影響を受けるステークホルダーに対する補償、各国当局からの制裁・罰金により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  • 医療機関に設置された当社の製品を標的としたサイバー攻撃により、顧客医療機関において検査や治療行為が継続できなくなること、あるいは患者様の個人情報が漏洩または毀損すること
  • 当社の顧客である医療機関を標的としたサイバー攻撃により、当社製品の使用やその保守作業を介して患者様の情報が漏えいし、顧客が事業を継続することが出来なくなること
  • 当社やそのサプライチェーンを標的としたサイバー攻撃により、当社において業務が中断したり、保守サービスの提供が滞るなどの結果として、医療機関において検査や治療行為が継続できなくなること
  • 情報セキュリティ対策の不備や内部不正により、当社内に保管される技術情報・顧客情報が漏えいまたは毀損すること

上記の医療行為の継続性に対するリスクは各国の法規制当局にも認識されており、新製品だけではなく既販品も含め製品およびその供給に関する情報セキュリティ・サイバーセキュリティリスクを製品安全性の一環として扱うことが求められています。

対応策

サイバー攻撃等により不正アクセスが発生した場合に、より迅速な対応により顧客やビジネスパートナー、当社業績への影響を最少化するため、全従業員への定期的な教育の実施の徹底や、当社グループ全体を対象とするインシデント対応体制の構築に取り組んでいます。
上記に加えてこれまでの活動をさらに強化するため、まず2022年3月期において、当社グループ全体で情報/サイバーセキュリティ、プライバシーのリスク管理を可能にし、複数年にわたる戦略ロードマップをグローバルで一貫して実行していくことを目的として、新たなセキュリティおよびプライバシーコンプライアンス戦略とその実行のためのガバナンスモデルを策定し、続いて2023年3月期においては、戦略ロードマップ実行に必要となる関係各機能におけるグローバル体制づくり、およびロードマップ施策の実行を開始しました。具体的には、サイバー攻撃に対するグローバル対応体制の整備、製品開発および製造環境における情報資産管理プロセスのグローバル標準化、製品開発フェーズにおけるセキュリティ保証プロセスやセキュリティに関する顧客からの問い合わせへの応対プロセスのグローバル標準化などの活動を開始しました。これにより、以下のことが可能になります。

  • 一般的なITシステムのみならず製品開発環境や製造環境においてもサイバー攻撃への耐性を高めること
  • セキュリティを製品安全の一部と捉え、開発段階だけでなく製品ライフサイクル全体にわたり製品セキュリティを継続的に担保し、当社サプライヤーを含めサプライチェーン全体で安定した製品供給を維持すること
  • 各国・地域の最新動向や法規制に基づき、さらにプライバシー保護を強化すると共に、様々なデータの種類や機密度に応じた保護と利活用を実現すること

経営戦略・方針との関連性:Patient safety and sustainability, Innovation for growth, Productivity

人材に関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:A
  • 傾向:増加↑

リスク

当社グループの競争力を維持するためには、事業遂行に必要な優秀かつ多様な人材を採用し、維持し続ける必要があります。当社グループの業界における人材獲得競争はグローバルに激化しており、コロナ禍を経て労働市場が変化したことによる退職率の高まりも一部地域で見られ、人材の採用、育成、リテンションの重要性が増しています。当社グループではダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンや人権尊重に関する取り組みの推進等、一人ひとりがベストな状態でパフォーマンスを発揮できる健やかな組織文化の醸成を目指していますが、当社が高い技能を有する人材を採用し、維持することができなかった場合、今後の製品やサービスの供給や持続的な成長に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、従業員一人一人がグループ共通の理念や価値観を深く理解し、高い専門性を有する人材をグローバルで適所に配置することが重要であると考えています。この実現に向けて、理念・価値観の浸透のための活動を行うほか、スキルトレーニングプログラムなどを展開しています。経営戦略の遂行に必要となる職務を定義し、グローバル共通のタレント・マネジメントシステムを導入し、重要ポジションから順に後継者育成計画を作成しています。また、国籍や性別等を問わない多様な人材が活躍し、高い専門性を発揮し続けることを可能にする体制の整備も進めています。このほかにも、グローバル共通のリーダーシップ・コンピテンシー・モデルを定めたほか、リーダーシップの発揮を支援するためのプログラムの整備を行い、従業員が高いパフォーマンスを発揮し続けるための文化醸成、人材開発のための取り組みを行っています。報酬についても、常にマーケットトレンドを意識しながら、競争力のある報酬水準と報酬体系を社員に提供しています。例えば、日本地域においては、2023年4月より、職務と成果をより反映した報酬体系に移行しました。また、日本を含むグループ全体では、グローバル共通の職務評価と報酬ポリシーにより公平性を担保するとともに、一定層以上の社員に株式報酬を付与することで、報酬水準の底上げと同時に中長期目標達成へのコミットメントの向上を図ることとしています。人材採用に関しては、新卒などの定期採用に加えて、専門性を有する人材を不定期に採用しており、人材採用の体制を強化するとともに、当社に入社した社員が早期に活躍できるようにオンボーディングの取り組みを充実させています。

経営戦略・方針との関連性:Patient safety and sustainability, Innovation for growth, Productivity

税務に関するリスク

  • 種類:脅威
  • 影響度・緊急度:D
  • 傾向:継続→

リスク

世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響が生じる可能性があります。

対応策

世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth

気候および環境を含むサステナビリティに関するリスク

  • 種類:機会と脅威
  • 影響度・緊急度:C
  • 傾向:継続→

リスク

顧客を含むステークホルダーからのサステナビリティの観点での要請は増加しています。例えば、欧州においては顧客からの入札要件にサステナビリティ(ESGやBCP)の視点が加わるケースが増加しており、他地域でも同様の傾向が見られます。対象は当社のみならず、当社のサプライチェーンも包括的に対象となる傾向があります。また、各地域でサステナビリティ情報開示の法制化が進んでいます。日本のみならず欧州(EU CSRD)、米州(SEC)においても法制化が進んでおり、今後当社への影響が考えられます。これらのステークホルダーからの要請に応えられない場合には、ビジネスにおいて入札に参加できない、投資家からの投資が制限される、地域によっては企業活動に制限が生じるといったリスクがあります。
環境分野については、気候変動の緩和と適応、水資源の保全、持続的な資源利用、生物多様性の保護といった環境課題を認識しています。世界各国において脱炭素・循環型社会の実現に向けての炭素税導入や二酸化炭素の排出規制、資源循環に関する規制、化学物質管理などの規制が強化されることにより、事業コストが増加する可能性があります。また、気候変動に起因する自然災害の深刻化によって、自社拠点の操業やサプライチェーンに影響する可能性が高まり、適切な対応が取れなかった場合に、事業機会の損失等が生じる可能性があります。
気候および環境を含むサステナビリティの課題に適切に対応することで、企業の持続的成長と世界的課題への取組みを両立し、中長期において各地域及びステークホルダーからの信頼を築くことで、収益だけに限定されない企業価値の向上に繋がると認識しています。

対応策

サステナビリティ全体の観点では、当社ESGチームが中心となり、事業活動を通じて当社が定めるESGマテリアリティを実現する活動を推進しています(機能戦略、ESG戦略の一体化)。
環境分野については、環境活動を推進する専門の機能を設置し、ISO14001に沿った環境マネジメント体制を整備しています。本体制のもと、規定類の維持、環境管理責任者および推進者への教育、現地運用のモニタリングと改善を通じて環境法規制への対応を推進しています。
また、当社グループは、重要課題(マテリアリティ)に「社会と協調した脱炭素・循環型社会実現への貢献」を掲げ、2021年4月にTCFDへの賛同を表明しました。長期的に製品ライフサイクル全体のカーボンニュートラルを目指しつつ、2030年までに自社事業所からの二酸化炭素排出量(Scope 1、2*)を実質ゼロとすること、2030年までに自社の事業所で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来とするという2つの野心的な目標を策定しました。
また、脱炭素社会の実現に広く貢献するためには、自社からの二酸化炭素排出量に加えて、サプライチェーン上の二酸化炭素排出量までを含めた取組みが必要であると考え、2023年5月にサプライチェーン全体の二酸化炭素排出量(Scope1,2,3)を2040年までにネットゼロとする目標を策定しました。本目標は、パリ協定で努力目標とされる高水準の1.5℃目標に沿ったものです。
本目標達成およびサプライチェーンでの環境リスク対策として、世界各国の拠点での製造改善活動や再生可能エネルギーの導入とともに、環境配慮型製品の開発や物流効率改善、サプライヤーとの協働による自主削減目標の設定、脱炭素活動への支援に継続的に取り組みます。

* Scope 1:敷地内における燃料の使用による直接的な温室効果ガス排出、Scope 2:敷地内で利用する電気・熱の使用により発生する間接的な温室効果ガス排出、Scope 3:その他の間接的な温室効果ガス排出(Scope1、Scope2を除く)

経営戦略・方針との関連性:Patient safety and sustainability

自然災害、感染症、戦争、内戦およびその他のリスク

  • 種類:脅威
  • 影響度・緊急度:C
  • 傾向:増加↑

リスク

その他、自然災害、感染症、戦争、内戦、暴動、テロ、経済制裁等が発生した場合、収益確保に影響が生じる可能性があります。

対応策

重大な危機が発生した際には、グループ全体に適用される危機対応ルールに基づいて対策本部を設置し、企業価値に及ぼす影響を最小限にとどめるべく、危機管理に努めるとともに、平時においてもBCP(事業継続計画)の策定、定期的な見直しおよびBCPの実効性を高めるための教育・訓練を通じて事業中断リスクへの対応を強化しています。

経営戦略・方針との関連性:Innovation for growth

2023年5月19日更新

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