患者さんの心に寄り添い
社会と社員に“幸せの循環”を
Olympus Korea

オリンパスグループで韓国における医療用内視鏡の販売を担う「Olympus Korea Co., Ltd.」(以下、OKR)では、「“生命尊重実践”の哲学で、社会の情緒的健康に寄与する」という方針に基づいたCSR活動を積極的に行っています。これらの活動はOKRの医療事業と映像事業で培った知見をベースに企画・運営され、韓国の医療施設や文化振興団体、NPOなどとのパートナーシップも実現しており、社会と企業双方の持続可能性に貢献しています。

この記事では、2018年10月に行われたOKRのCSR活動「I am CAMERA~希望旅行~」について、関わった人々の思いを交えて紹介します。

カメラ、ICレコーダー、双眼鏡は、オリンパス(株)が所有・管理する製品ではなくなりました。2021年1月以降、OMデジタルソリューションズ(株)に移管され、販売されております。

“カメラを通じて自分を発見し、旅行を通じて家族の意味をかみしめてほしい”という想いで名づけられた 「I am CAMERA~希望旅行~」は、韓国の小児がん患者とその家族を対象に行うCSR活動です。
この活動では、OKRのスタッフが講師となる野外撮影会のほか、プロカメラマンによる家族写真撮影、文化振興団体の協力によるアート作品づくり、親同士の情報交換会などのプログラムを2泊3日で行います。参加者の選定は、韓国の大型病院に依頼し、2泊3日のプログラムに体調面の心配がなく参加できる患者さんの中から希望者を募る形で行い、万が一健康上の問題が生じたときにはすぐに対応できる体制も整えています。
こどもたちとその親は通院や院内の生活が日常の大半を占めることが多いため、日常とは異なるリラックスした雰囲気で過ごせる時間が貴重です。そのような中、親子で楽しめたり、同じ病気のこどもを持つ親同士で親睦を深めたりすることができる「I am CAMERA~希望旅行~」は、心の安定が得られると、多くの参加者から好評をいただいています。

「I am CAMERA~希望旅行~」は「I am CAMERA」という写真撮影の基礎講座をベースにした活動で、デジタル一眼カメラの使い方を学んでから撮影を楽しめるようになっています。病院からも好評をいただいており、「I am CAMERA」は2015年から 17の病院で延べ170名を対象に行われ、「I am CAMERA~希望旅行~」は 「I am CAMERA」の 受講生とその家族を含めた50名あまりを対象に2017年から毎年1回行っています。

2018年の 「I am CAMERA~希望旅行~」は、韓国政府傘下の公共機関である韓国文化芸術委員会により「民官協力優秀プログラム」に選定されています。また、韓国の文化振興機関である 「仁川文化財団」と共同主催の形で実施しました。

「I am CAMERA~希望旅行~」の1日目は、オリエンテーションから始まりました。司会者が楽しく盛り上げる中、OKR代表者のあいさつ、プログラムや参加者の紹介、親子や周りの参加者との簡単なゲームなどが行われました。


OKR代表者のあいさつ


参加者は薄いグレー、スタッフは濃いグレーの衣装で参加

雰囲気が打ち解けてきたところで、メインプログラムの野外撮影会に移ります。仁川の文化美観地区を親子で歩きながら撮影して、後日実施する写真展示会用の作品をつくります。アート作品や文化的な建物などが点在する美観地区では、こどもたちの興味も尽きません。 OKRのスタッフはカメラの使い方を教えたり、こどもたちの安全を見守ったり、参加者とおしゃべりしながら一緒に歩きます。10月の青空の下、こどもたちのはしゃぐ声や、親やスタッフにじゃれる姿、カメラマンになりきって撮影をする姿などが微笑ましい光景です。親の皆さんもやわらかな表情でこどもたちと写真を撮ったりおしゃべりを楽しんだりしていました。OKRのスタッフも生き生きと活動しています。

日が暮れるころには建物内に戻って、プロカメラマンによる家族写真の撮影会が始まります。スタッフが会場を写真スタジオ風に設営し、テスト撮影まで行います。撮影用の小道具は、スタッフのアイデアにあふれていて、こどもたちも親もさまざまな形で撮影を楽しんでいます。

2日目は夕方まで、こどもと親で別々のプログラムを行います。こどもたちは地元のアーティストやスタッフたちとアート作品をつくります。完成品を親に見せることを楽しみに作品づくりに励みます。親は親同士集まって軽いおしゃべりを楽しんだり、同じ病気のこどもを持つ親としての悩みや気持ちを共有したり、目の前のこどもを心配して過ごす毎日とは異なるリラックスした時間を過ごします。


こどもたちの力作に、親もスタッフも思わずにっこり

夕方からは親子一緒に、家族写真を使った小物づくりのほか、こどもから親、親からこどもへ手紙を書きます。夜にはその手紙を披露するとともに、こどもが親を表彰する表彰式が開かれます。


やわらかい表情で、家族写真の小物づくりを楽しむご夫婦。くるくる回すと写真が動画のように見えます。

表彰式では、先ほどまで無邪気にはしゃいでいたこどもたちが、真剣な表情に変わり、親に感謝状を贈ります。「いつも体が痛いときに看てくれてありがとう。」、「母さんと父さんは私のために良くしてくれたので、表彰します。」、「僕のことをいつもよく見守ってくれるので、賞をあげます。」などの言葉が飛び出し、会場には涙と笑顔があふれていました。

2日目の最後は「ライトペインティング」に挑戦です。部屋を暗くして、カラーセロファンを貼ったスマートフォンで空中に文字を書いて、スローシャッターで写真を撮影すると、黒地にカラフルな文字の写真ができます。スタッフが仕組みを説明すると、こどもたちは興味津々。文字を変えたり、バリエーションを試したり、夜まで元気いっぱいに遊びました。


ライトペインティングの作品。空中に文字を書くタイミングが難しいので、家族もスタッフも声をかけあってチャレンジします。

3日目は、「I am CAMERA~希望旅行~」の最終日です。参加者同士の交流を深めながら、後日行われる作品展示会に向けた作品の仕上げなどを行います。
そして最後は修了式。OKRと仁川文化財団の代表者あいさつの後、家族ごとに感想を語り、暖かい雰囲気の中で昼食をとり、最後に記念写真撮影をして解散しました。